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いらっしゃいませ! このブログでは、カヌチ二次創作(緋色の欠片、ウィル・オ・ウィスプ、ラスエス3他)、乙女ゲームの感想など、管理人ベルルの暴走気味の妄想をつらつらと書き綴っております。現在「三国恋戦記」絶賛応援中です!!     -since 2009.7.25-
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恋戦記SS > 公瑾花 です^^。

ゲーム感想書きながらSS書いてたら…こっちの方が先に仕上がりました(^^ゞ。

えーーっと、ちょっと…いや、結構ヘタレな公瑾??
時間的には京城に残ってそんなに経ってない頃、でしょうか。
最近気づいたんですが、私の書く男性キャラは かなりヘタレが多いなぁ、と(苦笑)。
いや、まぁ、設定が多いほど いくらでも掘り下げていくので、どうしてもヘタレな方へ進んでしまうのです。
けど、公瑾は自分の事にはヘタレだけど、花ちゃんに対してはそれほどでもないから……まだいいよね(^^ゞ。
(これが孟徳だったらば、大変なことになるから:苦笑)

それでは、少々長くなりましたが。
お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m

―――どうしてこのような事になってしまったのでしょうね…

青い月の光が冴え冴えと辺りを照らす、鮮やかな月夜の庭に静かに響く琵琶の音―――。
京城の庭…四阿(あずまや)に並ぶのは二つの人影。
「――――」
やがて撥を操る手が静かにとまり、傍らでコクリコクリと船をこぐ少女に目を止め、その顔に苦笑と呼べる笑みを乗せる。
琵琶を聞かせて欲しいとせがまれて、1曲だけ…と応じてみれば。
ねだった相手はやがてまどろみ始め、今は琵琶の音が止んだことにも気付かない。
琵琶を置き、俯く顔にかかる横髪をそっと掬いあげその顔を窺ってみれば…。
思いがけず柔らかな頬に指先が触れ、どきりと鼓動が一つ跳ねた。 

このような小娘に、囚われてしまうなどどうかしている、と。
そう思っていたのに…。
まっすぐな―――ただまっすぐなその視線に、絆された。
心の奥深く、澱のように溜まった後悔だとか自責の念だとか…見ないようにしてきた諸々のモノを、まるで呪(まじな)いに使う水鏡のように澄んだその瞳に映していたのかも知れない。
そして―――自分なら目を反らしてしまうそれらを恐れることなく見つめ、受け入れた。

一見頼りないくせに、少女の持つそのしなやかな強さは、かつて自分の傍らにあった―――失ってしまった一番大切だったものを思い出させるから。
彼女を目にするのが辛かった。
今まで目を反らしてきたものを突きつけられるようで、辛かった…。
そのまっすぐな瞳を向けられると、己の罪と不甲斐なさとを感じずにはいられなかった。

「どうして貴女は、わたしの前に現れたのですか…?」
そう問わずにはいられない。
もしも出会わなければ――――。
「多くのことに目をつむり、鬼になり下がろうとも彼(か)の道を突き進めたものを…」
なりふり構わず。
ただ、一つの道を…。
例え心を失っても―――それさえも己の望んだこと。
それなのに。
彼女の瞳が…それを許さなかった。
否―――彼女の視線を受けて尚、その道を進む覚悟が自分には足りなかったのかも知れない。

「どこまでも……情けないのは、己のみ…か」
自虐的な気持ちのまま呟いたその時、不意に彼女の体がグラリと傾ぐ。 慌ててその肩を抱き寄せて向こう側に倒れそうになるのを防いだら、花は小さく体を震わせた。
「……んん…」
起こしてしまったかと思えば…小さく声を洩らして彼女は身をすりよせるように公瑾の胸の中に顔をうずめた。
「…花殿…?」
「……」
胸の中の…公瑾の目に映る花の寝顔は、僅かに眉を寄せていてなんだか辛そうに見えた。 普段の表情がとても明るい…というか少々能天気と称しても良いくらいに無防備だから、このような表情はとても意外なのだが、よくよく考えれば彼女を取り巻くこの環境は、決して『楽しい』の一言では済まされないものだ。
故郷も、家族も、友人も…。
今までの自分を形作ってきた何もかもを捨てて、この地に留まったのだ。
だから…。

「…哀しい夢を……見ているのですか?」
その寝顔にそっと問いかけてみた。
「この状況を考えれば仕方ありませんが――――花、貴女の傍にはわたしがいるのですから……もっと甘えて、頼っていいんですよ…? そして…共にある限りその澄んだ瞳でわたしを見つめ続けて下さい」
眠る彼女の頬をそっと撫でる。
―――その身をこの腕の中に留めてくれたことを感謝しながら。
「…そう言えば、いつぞやは夢の中で貴女がわたしを導いてくれましたね。……いつもこうして…わたしが貴女を眠りに誘(いざな)えるならいいのに…」
そうして公瑾は花の瞼にそっと口接けを落とした。
それから彼女の額に、頬に口接けし、唇へも触れようとしたら…彼女の瞼が震えてその瞳に光が戻った。

「…ん…? ……!!」
至近距離にある公瑾の顔に気付いて花は驚きに目を見開いた。
「お目覚めですか?」
「/// っ…公…瑾さん…!?」
「どうしたんですか?そんなに驚いて…」
「/// だ…て、その…こんな、突然近い距離に…公瑾さんがいると思わなかったので…」
「琵琶を聞きながら うたた寝 し始めたのは貴女でしょう? わたしの琵琶の音は貴女には良い子守唄だったようですね」
「!…ごめんなさい…」
公瑾の指摘を受け、花は慌ててその胸から身を起こそうとしたけれど。
「まだ―――途中ですよ」
「え!?」
公瑾は花の肩をしっかり抱いたまま、もう片方の手で花の顎を捉え仰のかせるとその唇を塞いだ。
2度、3度と唇を重ね…更に強く吸い舌を差し込む…。
「!…ん……」
深く…長い官能的なその口接けから解放された時には、花はぐったりして再び公瑾に身を預けていた。

公瑾は腕の中に視線を落としながら彼女の髪を指で梳きはじめる…。
剣を握るときよりも、琵琶を操るときよりも、ずっとずっと優しく彼女に触れながら。 
「琵琶なら何度でも弾いてあげますよ……それで貴女を心地よい眠りに導けるなら…。 もう一曲、弾きましょうか?」
真っ赤になっている耳元にそう囁けば、潤んだ瞳で公瑾を見上げ花は小さく首をふった。
いつもより格段に優しい公瑾の声音と言葉と…。
けれど―――今欲しいのはソレじゃなくて。
「もう少し……このままで…」
甘えるように花は小さくそう答えた。
こうして身を寄せ合い、互いの温もりを感じたい――――。
公瑾は目を細め口元に笑みをこぼすと、
「ええ―――お望みのままに…」
腕に力をこめ更に強く彼女を抱きしめた。

そうして一つに重なった影はその後しばらく離れることはなかった―――。


 -終-

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