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いらっしゃいませ! このブログでは、カヌチ二次創作(緋色の欠片、ウィル・オ・ウィスプ、ラスエス3他)、乙女ゲームの感想など、管理人ベルルの暴走気味の妄想をつらつらと書き綴っております。現在「三国恋戦記」絶賛応援中です!!     -since 2009.7.25-
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戦国LOVERS SS > 五右衛門ゆきの です~(^^ゞ

戦国Lの攻略途中ですが―――堪え切れず雅恋(PSP)に手をつけてしまいましたm(__)m
まだ触りだけですが、結構良いです^^。
主人公ちゃんが可愛いし、攻略キャラも…ふふふ、なかなか美味しいです♪

ということで、SSは五右衛門からの矢印で。
や、姫からの矢印を前に書いてるので、対になっていいかな~?とか思ったり思わなかったり(苦笑)。

ちなみに、幸村から次の攻略は 越後 直江兼続にいってますが。
EDを二つ見ようとするととっても根気がいるので、基本は極楽終幕かつ攻略して萌えられた人だけを細々と感想書こうかな…とか悩み中です。(だって進まないんだもん)
うん、言い訳はいいから、サクサク書けよってことなんですけども。

とりあえず。
(矢印なので)甘くはないですが。
お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m


「あーあ…やりすぎちまったなぁ」
暗く狭い石牢に押し込められて五右衛門は溜息をついた。
「―――ゆきの……」
たった一人の……己の全てを捧げる相手の名を呼ぶ。
「ごめんな……独りにしちまって。 …不安がってるだろーな…」
奥州 伊達家に身を寄せたものの、当主政宗に目通りが叶わず、しびれを切らして直談判しようと寝所に忍び込もうとしたら見つかった。
「~~~~っ なんであんなに見張りがいんだよ、上にも下にもよ!…自分の城だってのに厳重過ぎるだろ…」
それはつまり―――政宗の夜這い避けなのだが、そうとは知らない五右衛門は罠に飛び込んだ兎の如くあっさりと見つかり、捕縛される羽目になった。

「ゆきの…」
小さな頃からずっと一緒だった。
可愛くて、生意気で、時々頑固で、でも五右衛門が傷を負えばその姿を見て泣いてしまう優しい少女…。
だから五右衛門は、少女を泣かせたくない一心で修業に励んだ。
その顔に涙は似合わないから。
いつも笑っていてほしいから。
なのに。
全てを燃やしつくしたあの夜――――。
家族も仲間も主君も全て奪われた…あの夜。
絶望に堕ちそうになったこの手に、たった一つ残された希望の光。
唯一無二の…あでやかな花。
五右衛門だけの―――愛しい姫…。



「行くぞ!ゆきの!! ここはもうダメだ! 逃げるんだ!!」
焼け落ちる城を背に五右衛門はゆきのの手を引く。
「でも! あそこには父上も母上も…! 石川だって!」
「もう無理なんだ! お前だけでも!!」
「そ…れなら…私も!――――私だって武家の娘! こうなってしまっては取るべき道くらい心得ています!!」
そういって懐へ伸ばそうとするゆきのの手を、五右衛門は咄嗟に押さえた。
震える声…
青ざめた顔…
繋いだ手は指の先まで冷えていた。
それでも、溢れんばかりの涙を必死で堪えて唇を噛むその姿に。
「ダメだ! それだけは絶対、ダメだ!! 生きるんだ…ゆきの!! それが大殿様の、奥方様の望み!…この国の全ての民の、…俺の願い!!」
「でも!!五右衛門!」
城へと戻ろうと手を引こうとするのを逆に引き寄せて、五右衛門はゆきのを強く抱きしめた。
「頼む…生きてくれ!! 生きてさえいれば、仇を討つことだって出来るんだ!!」
―――違う、コレはエゴだ。
別の誰かの想いを建前にした……俺の我が儘なんだ!
こいつを、死なせたくないと…。
―――失いたくないと…。
花のように芳しい、太陽のように温かい…誰よりも美しく愛らしい自分だけの姫を、彼岸になどやりたくないと…!!
生き延びるこの道が、辛い道だと分かっていても―――こいつのいない世界なんて俺が耐えられない…と。
ただその思いのみでゆきのの自害を思いとどまらせた。

「―――なんにも…無くなってしまったのね…」
「ゆきの…」
落ちのびる為国境の峠にさしかかった時、かつての領地を振り返ってゆきのは小さく言った。
まだ燃え燻って立ち上る煙の筋が何本も見える。
「――――私…忘れないわ。 この光景も…皆の無念も。 だから………五右衛門、最後までついてきてくれる?」
まっすぐに城のあった場所を見据えるゆきのの視線は、さっきまでのものとはガラリと変わっていた。
そのことに胸の痛みを覚えるけれど。
「あぁ…何処までだってついていくぜ。 俺はお前を裏切ったりしない…ずっと―――お前だけの従者だ」
「ありがとう、五右衛門」
そしてこちらへ視線を戻すゆきのが五右衛門を見つめる。
「これより後、我が国は私と五右衛門の二人きり…。ただ二人だけの…っ」
「ゆきの…!!」
言葉を詰まらせたゆきのを抱きしめてしまいそうになって…五右衛門は慌ててその手でゆきのの頬を包み込んだ。

「いいんだ…! 泣いていいんだぞ、ゆきの…!!…俺たち二人きりなんだ……何も隠すな…。 そして何でも頼ってくれ。その為に俺はお前の傍にいるんだからな…!」
「……………ぅん…」
五右衛門の手に自分の手を添えて…生者の手であることを確かめるように撫でながらゆきのは小さくうなずいた。
「大丈夫だ……お前は一人じゃない。 俺がいる…ずっと、傍にいてお前を守るから―――」 
「二人ぼっちの国だけど…五右衛門がいてくれて、良かった…」
泣き濡れた顔を歪ませて微笑うゆきのの額に五右衛門はそっと己の額を併せた…。
「俺も、…なんにも要らないんだ……お前がいてくれるなら」
「五右衛門…?」
「さぁ…行くか」
ゆきのの顔の涙をその手で強引に拭ってやり、五右衛門は前へ進むことを促した。
まだ後ろ髪引かれる思いで何度も振り返るゆきのの手をひきながら…五右衛門は前を見据える。
この道の先にどのような未来が待っていても。
この胸に渦巻く想いが………報われることが無いと分かっていても。
ただ生きて…そこにいてくれるだけでいい。
そして―――二人は夜の闇に乗じて故国の地を後にした…。



ぼんやりと己の手を見つめていた五右衛門は頭を振った。
「もう…引き返せない。心を決めろ――――生きていてくれるだけでいい……そう願ったのはお前だろ、五右衛門」
政宗に、ゆきのを引き会わす―――その先にあるだろう未来に気づかない振りは出来ない。
それでも。
あの日初めてゆきのを抱きしめた―――最初で最後の、その事実だけを糧にして。
「絶対…何とかしてやるからな。…ゆきの」
決意を込めた五右衛門の呟きは―――石牢の中の冷えた空気に溶けて消えた…。


 -終-
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