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いらっしゃいませ! このブログでは、カヌチ二次創作(緋色の欠片、ウィル・オ・ウィスプ、ラスエス3他)、乙女ゲームの感想など、管理人ベルルの暴走気味の妄想をつらつらと書き綴っております。現在「三国恋戦記」絶賛応援中です!!     -since 2009.7.25-
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三国恋戦記SS より 孟徳花?です(*^_^*)

孟徳クリア前に書いてたSSです。
まだ物語の前半――孟徳軍に囚われてすぐの頃。
ありえないけど、襄陽で過ごした邸の庭にて…?? …うぅ―――やっぱ、ありえないと思う!(苦笑)


ちょっと今……私自身、盛大に凹むことがあって。
なんていうか…孟徳に側に居て欲しい気分っ(笑)。
そう、こういうときは公瑾じゃなくて孟徳だと思う。勿論師匠でもダメ。
例え自分をダメにするって分かってても、甘やかされたい時ってあるじゃないですか?
そんな感じ…って、何言ってんでしょうね。

それでは…ちょっと微妙な感じですが、お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m



「花ちゃん?」
彼女に会いたくて孟徳はその部屋を訪れたのに、彼女の姿が無いのに首をかしげる。
「―――彼女は何処へ行った?」
侍女の1人に尋ねると、半刻程前に散歩に出ると言って出て行ったと言う…。
「……散歩…ねぇ?」
散歩にしては…不在が長い気がする。
そう思いながら彼女の部屋を出て廊下をわたり、庭に下りようとした所で元譲とでくわした。

「何処へ行く孟徳…先ほど届けた書簡はもう処理したのか」
「悪いね元譲、書簡よりも彼女だ…。散歩に出て戻らない。迷子になってるかも知れないから、探してくる」
「待て!!お前が行かずとも」
「彼女が心配で仕事にならない。…じゃ、後は任せた」
ひらひらと手をふって、孟徳は庭に下りて行ってしまった。
「――――慣れない土地なのはお前も一緒だろう。……ったく!おい、誰かいないか!」
ムとした表情を隠そうともせず、元譲は衛兵を呼びつけた。

空にはぼんやりと月が昇っていた。
その月明かりを頼りに、手入れが行き届いてるはずの庭の奥の奥へと突き進み。
そして…草が伸び放題になっている一帯にぶち当たった。
「……見るからに怪しい…」
呆れて肩をすくめながら、孟徳はその草むらに踏み込んでいく。
「っと、太守の居城の一部が……こんなに荒れてていいの??」
面倒になって、長剣で草を薙ぎ払いながら足を進めていると、キラリと光る何かに気付いた。
傍まで近寄り手に取ると、桃色の小さな物体…。

「コレ…あの子の…!花ちゃん!!花ちゃん!?いるのかい!?」
辺りを見回して大声を上げる。
「孟徳さん!?」
「!花ちゃん!!…ドコ!?」
「下です!!」
どこからともなく聞こえてきた声に指摘されて足元に目を遣ると、少し先の草むらの中にポッカリと大きく口を開けた古井戸の跡があった。
覗き込むと目当ての少女の姿がある。

「花ちゃん!いま行くから!」
「え!?待って下さい、孟徳さん!」
止めるのも聞かず、孟徳は古井戸の中に飛び込んだ。
「花ちゃん!良かった…!心配したよ、大丈夫!?ケガしてない!?」
下りてみれば分かるが、中には枯草やら落ち葉が程良く堆積していてかなりフカフカしていた。
これなら、多少変な落ち方をしても大丈夫なように思える。
「私は大丈夫です、でも…孟徳さんまでこんな所に来ちゃったら―――ここ、登れないですよ?」
心配半分、呆れ半分といった少女の声に、孟徳はためらいなく腕を伸ばし彼女の細い体を抱きしめた。

「も、孟徳さん!?」
突然のことに彼女が体を強張らせたのを感じたけれど、孟徳は腕の力を緩める気にはならなかった。
「だって―――怖かったでしょ?心細かったでしょ??…そう思ったら、側についてあげたくなった。大丈夫だよって…ちゃんと触れて伝えてあげたくなった。…確かに、中からここを這いあがるのは無理だけど、俺の不在を許す奴はいないからね。みんな血眼になって探し回るに決まってる。それなら君の心細さを取り払ってあげる方が先決だと思ったんだ…」

そんなふうに頭の上から響いてくる温かい言葉に少女は涙が溢れそうになった…。
確かに怖かった。
心細かった。
このまま誰にも見つけてもらえなかったらと思うと…不安だった。
抱きしめられてその温もりに心が溶けだしたような気がしたのも、事実だった。
「………っ…でも……だって、孟徳さんは……みなさんの大事な人なのに…。私の為に、こんな……ダメです」
「…俺が俺の大事な人の為に、懸命になっちゃダメなの…?」
「そ…それは……でも…」

腕を解いて、彼女の両頬を手で包み込んで…孟徳はその顔を覗き込む。
淡い月光の下でも、彼女の瞳が潤んでいるのは見てとれた。
良かった…迷わずここへ下りてきて正解だった…。
「君にこんな表情(かお)―――させたくないよ……。一緒に側にいさせてよ、ね?元譲には言ってきたから…すぐにあいつが見つけてくれるよ」
少女の気持ちを解きほぐすように努めて優しく囁いて。
「ごめんなさい…ご迷惑、おかけして…」

気が緩んで涙声になりながらの健気なその言葉に、どうしようもなく心が揺さぶられる。
もっと甘えてしまえばいいのに…それをしない彼女に対してまた興味が増す。
「なに言ってるの?こうして君と2人きりになれたんだから……役得、役得♪」
けれど今は、明るく笑い飛ばす方が上策なのかも知れない。
笑いながらそう言うと少女は漸く少しだけ微笑んでくれた。

「…役得ついでにさ…」
孟徳は少女の肩を抱き寄せた。
「こうしていようよ…ほら、温かいでしょ…」
たしかに触れ合う肩や腕は、お互いの体温で温めあう事になる。
少し緊張しながらも少女が小さくうなずいたから…そのまま2人で井戸の壁にもたれて、並んで腰をおろした。

「―――あ、お月さま…綺麗ですね」
視線を上げると、井戸の丸い形の空の真ん中に月が見えていた。
その月に向かって少女は子供のように手をのばす。
「うん…あぁ…すごいな、コレってそのまんま井蛙なんだ…」
孟徳が感心したように洩らすと、少女は聞きなれないその言葉に首をかしげた。

「せいあ…?」
「ん……井の中の蛙…だよ。ここから見える、あの丸い空しか知らないんだ……あの空が世界のすべてだった…」
「聞いたことあります」
「へぇ?」
「でも………孟徳さんは、そうじゃないですよね?」
「ん?」
「…空の広さも、山の高さも、川の大きさも…知ってるじゃないですか?このちっぽけな空だけを知るような…視野が狭いと言うよりは、むしろより多くの事を知っていて…それで」
「あはは…そーだねぇ、でも」
少女の言いたいことを遮って孟徳は口を挟みそれから、少女の頬に触れ髪を掻きあげる。

「君のことは何も知らないよ?―――女の子の事なら分かるつもりなんだけど……君がどうしたら俺に心を寄せてくれるのかは、分からないんだ……困っちゃうね?」
「えぇ……と…」
「…もっと、君に触れたいな………。触れていい?」
「え!?」
そうしてゆっくりと彼女の唇を目指して顔を寄せて…。
「ッ……も、」
息をのむ少女の反応と…声と…そして―――。

「もーとくーっ、もーとくーっ!!」

野太い声がして、武具の鳴る音と草を踏み分ける音が近づいてくる。
「孟徳…!!」
「うるっさい!!」
少女を腕に抱え込んで、いいことろを邪魔された孟徳は地中から一喝した。
その声に、古井戸の中を覗き込んだ元譲が少しばかり安堵の表情を見せ、用意していた梯子をおろさせて2人はようやく地上に帰ることができた。

「あの…ご迷惑をおかけしてすみませんでした」
少女は目の前で渋い表情の元譲に頭を下げる。
「いや…その……大丈夫だったか?…色々と」
「え?」
「あいつと2人で………あんな場所では…まぁ、その…」
「聞こえてるぞ!元譲!」
古井戸を埋める指示を出していた孟徳からの声を背中にうけ、元譲は身を縮める。
「くす…心配いただいてありがとうございます。でも…大丈夫でしたよ?………孟徳さんは、私がよくわからないんですって♪」
言葉の後半をこそっと小声で囁いて、少女はにっこり笑う。

「あ”ー…まぁ…そう、だろうな…」
なんだかぎくしゃくと答えながら、その気持ちが分からなくはないなと元譲もまた、思ったのだった。
 
 -終-


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