このネタは実は…手習い~ を書いたころからずっと頭にあって。
公瑾ならこのくらい訳ないだろうな…と。
だって孟徳は忙しすぎるし…彼の興味は現代社会の仕組みなどに向かっていて、もっと身近な所には目が行かないかな?とも思うのです。
それに玄徳も、現代社会の仕組みには興味がありそうですが、同時にその世界の事を恐れている=花を連れ戻される…みたいな感情を抱いているんじゃないかと。
最後に仲謀は、花の元の世界の事なんて OUT OF 眼中!(笑) 丸っきり無視出来てるんじゃないかな?
花の元の世界の事を理解し、認め、受け入れること出来るのは、公瑾と…孔明くらいかなと思うのです。
勿論、時々は不安に思うこともあるのでしょうけどね(*^_^*)
それでは…微妙に甘い?甘くない?(苦笑)ってカンジですが。
お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m
「花殿…」
「はい?」
「これは、なんですか?」
形のいい指で書面を指され、花はしまったと思う。
「?…どうしました?」
「いえ……あの…」
いくつもの漢字が羅列した書。
修練の甲斐あって、何とか判読できる程度には上達していた花の文字。
いわゆる練習帳替わりの紙の束に書かれたその文字達の片側には、ふにゃふにゃと小さく何かが記されていて…目敏くソレを見つけた公瑾に指摘されてしまった。
「ごめんなさい…」
「?…何を謝る事があるのですか?」
「これ……私の元の世界で使っていた文字で『ひらがな』って言います。…漢字も使っているんですけど、漢字と組み合わせて使ったりして―――あちらの国の言葉……文字の基本なんです。…その……やっぱり、こちらの文字だけでは一気に覚える事ができなくて、読み方や意味を書き添えていたんです。 ごめんなさい」
そう説明して頭を下げると公瑾は意外にも、
「何故謝るのです?――――そうですか……これは、貴女の国の文字ですか」
そう言って、じっと書面を眺めている。
「?……公瑾さん?」
「花殿……」
不意に公瑾が視線を上げて花を見る。
「はい…?」
「…貴女がわたしから文字を習うように、わたしも…貴女の国の文字を習いたいのですが…」
「…えぇ!?」
「いけませんか…?」
突拍子もない事を言われ、花は返す言葉を一瞬では思いつかなかった。
「いえ……いけない事はないでしょうけど、でも、あの」
「はい?」
「だって……全く使えませんよ? こちらの世界では意味が無いっていうか、見ての通り暗号のようなもので…」
実際、ひらがなやカタカナはまだ、この世界の何処にも存在しない…。
この世界のどこかにあるかも知れない『日本』にもこの文字は誕生していないはずだ。全く―――未来を先取りした文字…ということになる。
花が懸命にこの文字に有用性が無い事を説明すると(そうだろう、通じる相手がいなければそれは文字というよりはただの線画でしかない)、公瑾は可笑しそうに笑った。
(!!…わ、わ……今の笑った、かお……すごく ///)
花の前でもそうそう見せてはくれないその公瑾の笑顔に見惚れていると、更に彼は
「貴女の言いたい事は分かりました、けれどね――――」
そこで少し目を細めて花を見つめる。
「貴女と……貴女の国の文字で言葉を、書を取り交わす事はとても魅力的だと思うのですよ」
「―――――」
「………二人で、誰にも分からない文字でやりとりするのは、中々面白いと思いませんか?」
―――秘め事を、共有するみたいでしょう?
いたずら好きの子供のような顔でそう言い足した。
こんな風に子供みたいに笑う公瑾の顔を見るのは初めてで―――何だかドキドキしてしまう。
(公瑾さんも……こんな風に、笑うんだ…。こんな、子供みたいな顔を見たの初めてだなぁ♪ いつもにこやかだけどあまり感情が読めない表情でいるから―――なんか、嬉しいな……)
(こちらの世界に残って…最初の頃よりはずっと、公瑾さんの端正な顔や…二人きりで過ごす状況に慣れたとは思うけど―――まだまだ知らない表情(かお)や一面があるものなんだ……)
(そういえば…最初はすごく、すごく大変だったな……公瑾さんと二人でいることを意識しすぎて―――いっぱい緊張して……ふふ、懐かしい♪)
花が呑気にそう思いめぐらせていると…。
「―――花殿?」
黙ったままの花を気遣うように覗きこむ公瑾の顔が間近にあって。
それはお互いの体温を…素肌で感じる事が出来るほどの至近距離で……。
突然のその距離に驚いて、花は息を呑む。
「!!!っ… (ぜ…前言撤回!! 慣れません! 慣れませんって!!! こんな近くに…こんな…!! ダメです! 心臓に悪いです!!)/// あ…の、公瑾さん!!…すごく近いです!!」
思わずそう言って手を出して突っぱねようとしたら―――逆にその手を取られて公瑾の腕の中に囚われてしまった。
「!? 公瑾さん!」
「悪いのは貴女でしょう? 急に黙ってしまっては、心配になって当然です」
「そ、それは…あの、そうカモですけどっ……でも」
腕の中で慌てふためく花を感じ、公瑾はしてやったりの笑みを口の端に乗せる。
警戒心や羞恥心というものを、持っているようでいて持っていないようなこの少女に、ソレを意識させるには……彼女の許容できる限界を超えてお互いの距離を詰めてしまえば良いと―――この策士は、ここ数カ月の間に学習していた。
「それで?……どうなのです?文字を教えてくれるのですか?くれないのですか?」
身を縮めて困窮している花の顎を捉えて仰のかせると、そう問いただす。
「あ…の、離して下さい…」
「…連れないことを仰るのですね?」
「だって……こんなの、いじわるですっ…」
「わたしは―――やさしい男ではありませんよ?」
ご承知でしょうに…と独り言ちて、そのままあっさりと花の唇を塞ぐ。
「んんっ……!?」
「…答えていただけるまで……こうして、貴女の唇を塞いでおきましょうか…」
「そんな…!…こ、答えようにも…それじゃ答えられません!」
「おや、気づきましたか…?」
残念…という風に少し眉を下げて公瑾は微笑う。
「っ…公瑾さん……わ、分かりましたから…!もう…離して下さい///」
耳まで赤くした花を見つめる公瑾の顔を見上げてそう言うと、花は心持ち唇を尖らせた…。
おやおや、そんな風にいつも…こちらの思惑通りに頬を染め瞳を潤ませるから、いつまでも手の内で可愛がりたくなるんですよ?
いいじゃないですか…。
もうしばらくはこうして―――わたしの手の上で踊っていればいいんですよ…。
公瑾は心のうちにそう言って、その愛らしい顔を眺めるのだった……。
-終-
▽ おまけ ▽
「公瑾さん…」
「はい?」
「あの、私……厳しくお教えしますからね!」
「………」
腕の中から語気強く言われ、公瑾は思わず目を丸くしてから頬を緩ませた。
「!?なんですか!…可笑しい事、言ってませんよ!」
「はいはい、分かりました。―――お手並み拝見といきましょう?」
「それから…」
「まだ何か?」
「―――――っ、いい加減、離して下さいっっ」
必死になって言う花に、ようやく公瑾は腕を緩めて解放してやった。
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現在お礼文3件UPしています!
(超小ネタSSSより OZMAFIA1・緋色1・
ブラコン1・2013.8.13.)
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お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。
こちらで取り扱いますゲームの内容やそれに関連する創作SSに関しましては、製造元などとは一切関係がございません。あくまでも個人的に書き連ねているものですので、ご理解・ご了承のうえお楽しみ下さいませ。
なお、内容に関しましては無断転記等一切ご遠慮下さいますようお願いいたします。