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いらっしゃいませ! このブログでは、カヌチ二次創作(緋色の欠片、ウィル・オ・ウィスプ、ラスエス3他)、乙女ゲームの感想など、管理人ベルルの暴走気味の妄想をつらつらと書き綴っております。現在「三国恋戦記」絶賛応援中です!!     -since 2009.7.25-
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三国恋戦記SS > 公瑾花  です(^^♪

や、タイトルにはちょっと語弊があるかも知れませんが、なんせ昨日思い立って書きだしたものだから、タイトルが決まらなくて~(苦笑)。
とりあえずクリスマスに引っかけて、「それらしい何か」を書きたかったんです(^^♪
ただ結論としては、「どこが?」と言われなくもない…という、非情にゆる~い掛け方になってしまいました!

なんか世間さまはクリスマス寒波ということで、ニッポン全国どこもかしこも冷えておりますが、皆様、風邪などひかないようにお気を付け下さいませ!
(私は先月末にひいた風邪が治りきらないまま、今年第2弾の風邪をひきました!)


それでは。
いつもよりも物足りない感じですが、お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m




「え!今日!?」
「うん、そだよー」
「聞いてなかった??」
大小を前にして花の表情は明らかに動揺の色を滲ませている。
「あの、あの…急用を思い出したので、また後で!」
そう言うと、返事も待たずに花はその場を後にして自室へと駆けこんだ。
そして文机の引きだしの奥から取り出した革袋を握りしめると、花は一瞬思案顔を見せたものの、
「……よし! 正攻法で行こう!!」
ぐっと拳を作って呟くと、外套を手に部屋を飛び出した。



「――――それで?」
「~~~っそ、それで、ですね…こう……両手をパン!とお顔の前で合わせられまして、必死に…訴えられて、ですね…」
状況を説明している間にも相手の感情が冷えていくのが感じられて、門番の兵士は恐怖心から遂に言葉が出なくなってしまった。
「―――通してしまったというわけですか…」
しどろもどろの門兵の前で渋面を解きもせず公瑾は吐息と共に結論を引き継いだ。
「………ハイ…」
「一人で出て行ったのには間違いが無いのですね?」
「は、はい!」
「それで…どちらの方向へ行きましたか?」
「南の大路の方へ駆けて行かれました!」
背筋を伸ばし、敬礼を取りながら兵士が答えると、公瑾はもう一度深く溜息をつき、
「分かりました。 手を取らせて悪かったですね」
そう言って踵をかえすものだから、慌てて兵士は問いかけた。

「あの…!」
「なんです?」
「…その……何か、お咎めがあるのでしょうか…」
秀麗なその顔から何を感じ取ったのだろうか、兵士は不安げな様子で聞いてきたので、
「―――大きな意味で言えば………この地に不案内な軍師見習いが城下で迷子になったからといって、咎があるとは言えないでしょう」
その言葉に安堵の表情を見せた兵士であったが、
「ですが。 通達の内容を、今一度確認・徹底させるよう進言しておきます、責任者に」
「と、都督……」
「邪魔をしましたね…では」
安堵した相手を再び崖下に追いやるような一言を残すと、今度こそ公瑾は城門をあとにした。

ついつい加速していく歩みに気付かぬまま、公瑾は状況を振り返る。
―――花の不在に気付いたのはつい先ほど。
所用があって花の部屋をたずねたら、人の気配がしなかった。
そう言えば今日はまだ顔を合わせていないと思い、他に彼女が居そうな場所――書庫や厨房や、尚香や大小姉妹の下を訪ねてみたが、やはり何処にも彼女の姿は無かった。 公瑾が首をかしげていると大小が、
「そう言えばさっき、花ちゃんってば随分慌ててたよね」
「うん、急用があるって…走っていっちゃったよ?」
などと口走るものだから。
公瑾は何となく胸騒ぎがして再び彼女の部屋へ行き、室内を注意深く観察した。
すると、いつも掛けてある外套が無い事に気付き……その足で城門までやってきて事実確認をしていたのである。
花が―――京城を出たか否かという事を。

渋面の公瑾が城の敷地を突き進んでいると、すれ違うものは皆ギョっとして振り返ってしまうのだが……当の本人はそのような事にまで気が廻らなかった。
ただただ、いつまでもヤキモキしながら城門にへばりついて彼女の戻りを待つくらいなら、探しに出る方がよっぽど自身の精神衛生上マシだろうと思い行動に移しただけなのだ。
大体、不慣れな城下町で迷子になっている可能性と共に、最悪の場合、性質の悪い連中にかどわかされる事も十二分に考えられる。
とにもかくにも一刻も早く彼女の無事な姿を確認できなければ、どうかしてしまいそうな心持ちになっていた。
「本当に―――貴女は自分の事が、分かっていません…」
「え!?何かおっしゃいましたか?」
小さくごちた言葉を聞きとめて、馬を連れてきた従僕が公瑾に問いかける。
「いえ…こちらの事です。…あぁ、悪いのですがコレを子敬殿の元へ届けて下さい」
公瑾は一言二言書きとめた竹簡を手渡すと馬に乗り、城下町へと繰り出した。



京城の城下町にはいつも多くの人やモノが溢れている。
この活気は何よりも自慢の一つでもあるのだが、今に限って言えば少々…いや、かなり厄介でもある。
人が多すぎてこの中からたった一人を見つけ出すなど…無謀な事のように思えたが、それでも馬の背から見下ろすと視線が高い分、徒歩で人探しをするよりも何倍もマシだろうと思うことにした。
公瑾は馬の歩をゆっくりと進めながら、人がたかっている場所は特に注意を払いつつ行き交う人々の群れを眺める。
一往復、二往復…路地の一つ一つも覗きながら、大きな露店が立ち並ぶ大通りを具(つぶさ)に見て―――けれど目当ての人影を見つけられず思わず大きく息を吐き出した。
その時。

視界の端で一瞬揺れた、見覚えのある淡い青の布地があって。
はっとして振り返った視線の先には路地に消えていく淡い青…。
公瑾はすぐさま馬を下り、馬屋に預けると人混みをすり抜けて先ほど目算をつけた路地に入った。
「!…花…!」
見覚えのある外套が少し先に揺れ、思わず声あげて名を呼んだのに、相手は足を止める気配が無い。 一気に距離を詰め、公瑾はその肩を掴んだ。
「ひゃ!?」
「!!」

驚いて振り返ったその顔は、別人のものだった…。
「――――」
「な、なんですか!?」
怯えた風を見せた娘も公瑾の容姿に一瞬で頬を染め、ある種の期待に満ちた眼差しをこちらへ差し向ける。
「ぁ…いえ、人違い…でした。失礼しました。 あの、この外套は何処で手に入れたのでしょうか? これはわたしが探している人が身に着けていたものと同じものなのです」
驚いたのは勿論公瑾も同じだったが、すぐさま気を取り直して外套について問いかける。
すると娘はこの付近の露店で、花らしき少女から買ったのだという。
「そうですか……申し訳ありませんが、貴女が出した金額の倍額をお支払いします。 どうかこれを譲って頂けませんか?」
公瑾の言葉に、娘は一も二もなく頷いた。

「(―――やはり、分からない…一体貴女は何を考えているのですか?)」
買い戻した花の外套を手に、公瑾は娘から聞き出した露店のある通りを目指し突き進む。
そう、今回の事は分からないことだらけだ。
そもそもなぜ彼女は誰にも告げず一人で城を出ていったりしたのだろう?
こちらの土地勘のない彼女に公瑾は、一人で城を出てはいけないと何度も言い含めてきた。
仕事でお使いを頼まれたとしても公瑾に声をかけるように言ってある。
公瑾が手を離せない時は彼の信頼できる兵士や従僕が道案内を務める事になっているし、実際今までそうしてきたのだ。
今更一人で外出しようとする理由が分からない。
それほどに急ぎの用事でもあったのだろうか?
それとも他になにかもっと重大な理由が――――?

「………見つけた…」
やがて少しばかり人通りの緩やかな通りに行きついた公瑾は、露店の店先の一つで、しょんぼりと項垂れて立つ花の姿を視界に認めたのだった…。


 -続-

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自己紹介:
乙女ゲームもブログもまったくの初心者が管理人をしております。
お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。

こちらで取り扱いますゲームの内容やそれに関連する創作SSに関しましては、製造元などとは一切関係がございません。あくまでも個人的に書き連ねているものですので、ご理解・ご了承のうえお楽しみ下さいませ。

なお、内容に関しましては無断転記等一切ご遠慮下さいますようお願いいたします。
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