いや、順調なのはここまでですよ。
これは、「うそつき姉妹~」を書く前から手をつけていたものなので、むしろストックを吐き出した形になります。
今年の目標 SS書くゾ! は、これから踏ん張っていかねばならないのですっ<(`^´)>
・・・なんてね。
こちらの事情はどーでもいいです。
ちょっと前回と被る所が無い事も無いのですが。
まぁ、相変わらず小喬さんが良い意味で仕掛けをしてくれるので、話の展開は作りやすいです^^。
さあ、正月休みのラストスパートですよ!
それではいつも通りの感じですが、お楽しみ頂けましたら幸いです^_^
「あれ、花ちゃん、この筆って公瑾のじゃない?」
「あ、そうですよ。 公瑾さんから頂いたんです。 新しい筆は使いにくいからって。その筆入れに入っている筆はみんな、公瑾さんからのお下がりなんですよ」
「………ふーーん…」
花の説明に小喬は改めて花の自室にある小物や道具類を見回した。
「…あの玉飾りも見覚えがある…」
「あれは、公瑾さんの帯刀の飾りだったんですって。でも糸が切れてしまって新しいものと取り替えたから、髪飾りに仕立て直してくれたんですvv」
「………」
さらに小喬は書棚に目を遣り、
「これって、公瑾の写本だよね!?」
「字の練習用に、昔公瑾さんが書き写した教本を譲ってくれたんです♪ 他に詩や物語や譜もありますよ」
顔をほころばせながら説明する花を、小喬は苦笑して見つめる。
「花ちゃんさぁ…」
「あ、今日はもしかしたら琵琶を持ってきてくれるかも知れません。公瑾さんが子供の時分に楽師の先生から頂いて大切に使っていた物らしいんですけど、少し小さいから…きっと私の手には馴染むだろうって……」
頬を染めて話す花は兎に角嬉しげで……何もかもが公瑾の思惑どおりに進んでいる事に面白くないと感じて小喬は、
「花ちゃん、本当に無邪気だよねー」
「え!?」
「あのね、コレは公瑾の罠なんだよ!」
「えぇ!? どーいうことですか!?」
あまりいい響きではない言葉をぶつけられて花は驚いて小喬を見た。
「つまりね! 花ちゃんの身の廻りの物のほとんどが元は公瑾のものだった訳でしょ?」
「え……えぇ、そうですね」
「……大体付き合いの長い連中は、花ちゃんの持ってるソレが元々は公瑾のモノって分かるわけ」
「……はい」
「それってさぁ、花ちゃん自身が『公瑾印』をつけてるって感じに見えない?」
「!!??……え、っと…?」
「つまりね、花ちゃんは公瑾のものだぞ~って主張してるってことなの!花ちゃんは気付いてないけど周囲(まわり)はそう見るし、公瑾は絶対『そのつもり』だよ?」
「/// う、そ…」
小喬の言葉の内容を理解するや否や花の顔は一気に赤く染まる。
「やることが姑息なんだけど、まぁ公瑾らしーっていうか……ある意味 微笑ましいよね~」
「/// 私…私…そんなつもりは…」
「うんうん、分かってるけどね」
「ただ、公瑾さんの大切にしていたものを譲ってもらえるのが、嬉しくて…。だって、それだけ心を許してもらっているような…感じがして…だから…///」
手を頬にあてて心底困ったような様子で花は、あっちへウロウロこっちへウロウロ…。
落ち着きなく部屋の中を歩き回った。
「(花ちゃん、ホント可愛いなぁ♪ 公瑾には勿体ないよ!!)」
「え…と、あ!じゃぁ、これってお返しした方がいいんでしょうか!?」
「! ダメダメ! そんなの公瑾が許すわけないから! 絶対に!!」
妙に確信めいた言葉で断言してくれる。
しかしそれでは一体どうすれば良いのか…?
問題提起のみで解決策を提示してくれない小喬を、花は恨めしい気持ちで見つめた。
「でも、それじゃ…」
「むしろ、もっとアレもコレも欲しいって言っちゃった方が公瑾も嬉しいんじゃない??」
「え!? なんでですか!?」
「だって、罠を仕掛ける前に自分から飛び込んできてくれるんだよ?しめたもんでしょ」
「罠って…そんな」
あんまりな小喬の言い様に花はさらに眉を下げた。
「あはは、ゴメンゴメン、花ちゃんの反応が楽しいから、つい…。でも、なんてゆーか、……罠に掛ける方も掛かっちゃう方も、それで満足してるみたいだからいーんじゃないかな?」
くすくす笑いながらそう言い残して小喬は部屋を出ていった。
小喬からの爆弾発言に心を揺らしながら、花は自室を出た。
自室には公瑾縁のものがありすぎて、冷静に物を考えられる場所では無いように思えた。
(『公瑾さんの、もの』……かぁ///)
改めて思うと頬に熱が上って来る。 そんな事、考えた事も無かったが―――本当にそんな風に見られているのだろうか??
けれど、小喬の言葉はそれなりに説得力があった。
「どうしよう……、いままでもずっと…そんな風に見られてたのかな…」
半ば公然の事実とはいえ、表向き花は軍師見習いの立場にあるのだから、公瑾の行いは公私混同…というか、花自身ももっと色々と気遣うべきだったのだろうか…。
(う~~~ん、分からないよ…、ソレが良い事なのか悪い事なのか…)
泣きたい気分のまま廊下を渡っていると、前方から件の人物が現れた。
「花殿…ちょうど良かった、今からそちらへ伺おうと思っていたのですよ」
前から歩いてきた公瑾に声をかけられる。
その声が少し弾んでいるようなのは、気のせいではないだろう。
「公瑾さん、…なんですか?」
少しだけ緊張しながら花は努めて静かに答えた。
「以前お話したでしょう。…琵琶が届いたのですよ」
そういって公瑾は小脇に抱えていた包みを示した。 丁寧に布にくるまれたそれを開くと、少し小振りの琵琶が姿を現した。 しかし琵琶そのものの色合いや装飾の美しさは、今まで見たどの琵琶よりも抜きんでていて…花は思わずその美しさに引きこまれていた。
「わぁ…!!」
「私がまだ子供時分に、楽の師匠から頂いたものです。とても気に入っていたのですがご覧のように少し小ぶりで…今のわたしには扱いづらく、もう何年も弾いていないのですよ。貴女の手になら収まりが良いだろうと思うのです…」
「でも、そんな大切な品を私なんかが…」
「貴女の琵琶の腕前も随分上達しましたし…もうこれくらいの楽器を扱っても恥じるものではありませんよ」
恐縮して怖気づく花に穏やかな笑みを向け公瑾は琵琶を差し出した。
その公瑾の言葉に背を押されたかのように恐る恐る伸びてきた花の手が、琵琶に触れる前に不意に動きを止める。
「? 花殿…?どうかしましたか?」
そんな花の様子に首をかしげ、公瑾はそっと花の顔を覗き込んだ。
するとそこには―――真っ赤になって、動揺を隠しきれない様子の花…。
「!?一体、どうしたというのです?」
「あの、あの…/// お気持ちは嬉しいんですけど! この琵琶、とても素敵だし、きっと音も素晴らしいんだろうって思うんですけど!! でも、その…!」
「?要領を得ませんね…、一体何をそんなにうろたえる必要があるというのです?」
茹でダコのようになってしまった花を見れば、おそらく一緒に居る公瑾が何かしでかしたのだろう…と傍から思われることは想像に難くない。
が、身に覚えのない理由で後々 からかわれるのも納得がいかない。
公瑾は瞬時に周囲へ目配りして人の目のないことを確認すると、花の肩を抱き寄せ、手近にあった空き部屋に彼女を連れ込んだ。
-続-
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
現在お礼文3件UPしています!
(超小ネタSSSより OZMAFIA1・緋色1・
ブラコン1・2013.8.13.)
fxwill.com
お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。
こちらで取り扱いますゲームの内容やそれに関連する創作SSに関しましては、製造元などとは一切関係がございません。あくまでも個人的に書き連ねているものですので、ご理解・ご了承のうえお楽しみ下さいませ。
なお、内容に関しましては無断転記等一切ご遠慮下さいますようお願いいたします。