なんの裏もない ちょっとした日常の一幕。
そして単に…ベタベタした話が書きたかっただけ(*^_^*)。
なんというか…花ちゃんが少しを望めば、その一歩先を行く返しをしてしまう公瑾が 萌(笑)
私にとってはそんな話です^^。
それでは。
サラッと書いてしまいましたがお楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m
それはある日の午後のこと。
公瑾の執務室で、花はつい先ほど見た京城での大騒ぎの一部始終を公瑾に話して聞かせていた。
「…それで、その鶏が急に方向転換したからみんなビックリして、きゃあきゃあ言いながら逃げ回ったんですよ♪」
「そうですか」
楽しげな花の声に相槌を打ちながら、公瑾は書簡を巻き終えて盆に入れた。 その手は更に休むことなく次の1本へと伸びる。
書類は待ってくれない。 公瑾の決済が下りねば先に進まない案件が、とりあえず今目の前に 軽く山となって鎮座している。
それでも、愛しい人の軽やかな声に耳を傾けながらする仕事の捗り具合は、それがない時と比べると見違えるものだ。
そう、高く低く歌うように話す彼女の声はどこまでも耳に心地よく、その息遣いさえも音とリズムを伴いながら、公瑾の心に言い知れぬ軽快さを与えてくれる。
「でも、そこに猫が飛び込んできて……」
「えぇ」
「…………」
「……」
「……」
「? 飛び込んできて、どうしたのです?」
不意に音は途切れ、一瞬以上の間が訪れる。 どうしたのかと思いたずねると、
「ちゃんと聞いて下さい…」
少し拗ねたように頬を膨らませた恋人の顔。
「聞いていましたよ。 どうして頬を膨らませるのですか?」
「だって……仕事の手は止まらないし、こっちを見てもくれないし…」
「でもちゃんと聞いているでしょう? 鶏騒動の場に猫が乱入してきたのでしょう?」
花をそう宥める間も仕事の手を止める事がない。
忙しい中、他愛ないお喋りに付き合ってくれるのは嬉しい。
が、顔も上げてくれないのが寂しい―――なんていうのは、やはり我が儘だろうか?
「花?」
「だって………小喬さんを相手にしてるのと変わりないじゃないですか」
少しだけ零す不満…。
いつもならそんな事、気にしたりしないのだけど。
何故か今日はそれを口にしてしまっていた。
「なるほど…。小喬どのと同列に扱われたのが気に入らないという訳ですね」
「! そ、そんなこと言ってません!……ただ……」
そこで花はそっと手を伸ばして公瑾の頬に触れ、目線を合わせるようにその顔を覗きこんだ。
「/// お話しするときは、ちゃんと顔を見たいんです」
目の前には青灰色の瞳…。
いつも冷静に物事を見るその瞳には、自分の小さな我が儘がどのように映るのだろうか―――?
本の少しだけ……不安に心が揺れた…。
「……分かりました」
花の瞳をまっすぐに見つめ返し、公瑾は自分の頬に触れる花の手を取ると、そのまま静かに引き寄せて己の膝に座るように導いた。
「…ぇ…」
「では、息抜きがてらお話を聞きましょう。続きを聞かせていただけますか?」
そう言いながら花の腰に手を回しピタリと体を密着させる。
「!?な、なんで。 こんな…くっつかなくても!」
頬を染めて花は身をよじる。
まさかこんな風に火をつけてしまうとは思っていなかった。
ただ、下らないとはいえお喋りの合間に瞳を見交わす事もないのが寂しいと…そう思っただけだったのに。
けれど触れ合った場所からじんわり広がっていく熱に侵され、火照っていく自分が止められない。
「愛しい人と、ただ向き合うだけなんて……わたしの方がもて余してしまいますよ。 わたしは、貴女の顔を見たら 触れたくて仕方なくなるのです。 さぁこれでお互いの願望が叶いましたね?」
半分吐息のような掠れ声で囁かれ、耳まで真っ赤になりながら花は、
「こ、こんな距離で…お話するような内容では…」
「では、わたしの耳に唇を寄せて小さな声でお話しなさい……。それなら、話自体が他愛ないものであっても、睦言を交わしているようで…心が躍るでしょう?」
「公瑾さん…///」
「さぁ、続きをどうぞ? お話が終わるまで貴女を自由にはしてあげませんよ?」
公瑾の瞳に浮かぶ本気の色に観念して、花はそっと身体を預けながら彼の耳元に囁き声で話の続きを披露する。
「それで―――」
その様に満足げに頷いて、公瑾は愛しい人のぬくもりや重みを抱きしめながら彼女の声に聞き入るのだった。
-終-
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(超小ネタSSSより OZMAFIA1・緋色1・
ブラコン1・2013.8.13.)
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お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。
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