繋いだ 手 （公瑾×花）

三国恋戦記ＳＳ　＞　公瑾花　です(^^)。


ＰＳＰへの移植がこの夏頃とのことです＾＾♪。
雑誌などにも新規スチルが公開されていて、わくわくが止まりません。
ゲームをする時間はとれませんが、雑誌くらいは読めるんです（苦笑）。
色々面白そうな新作情報も出ているのに、それらは積ゲになりそうですが…恋戦記だけは少しずつでもＰＬＡＹしたいです♪

ということで、久しぶり過ぎて少々微妙な感じですが。
お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m。

 

「それじゃ、おやすみなさい」

女官に声をかけて部屋をでる。

大小姉妹にせがまれて子守歌代わりに童話を話してやっていたのだが、彼女らが眠りについたのでようやく開放されたのだ。

「―――今晩は、まだまだ終わりそうにないなぁ…」

自室へ足を向ける花の耳に宴の喧騒が届く。
 

仲謀軍の人達は、主の性格もあってかとても人間味が豊かだ。

酒好きだし陽気な人間も多い。

なによりも仲間意識が強く、ちょっとしたことで宴になり朝まで盛り上がること しばしばだ。

「（玄徳軍の宴とも…少し雰囲気が違うよね…）」

最初は律義に顔を出していた花も、自身は酒を飲まないことに加え公瑾がいろいろ理由をつけてその場から遠ざけようとするので、特に出席を求められない限りは顔を出すのをやめてしまっていた。

「（…公瑾さん、飲み過ぎないといいけど…）」

花のその心配は杞憂でもある。

公瑾は仲謀軍でも指折りに酒が強い。

これまで宴で酔い潰れたのを見たことが無い。

飲み方が上手…というのもあるのだろう。

どのような事も卒なくこなす公瑾のこと、例え酔っていてもそうと気付かせたりしないだけなのかも知れないけれど。

どちらにせよ、花は「酔った公瑾」を知らない…。

 

「あれ、公瑾さん！？」

大小の部屋を出てすぐ、廊下を渡っているとその途中の柱にもたれて立つ人影を見つけた。

近づくと、思考の相手 その人だと気付き、花は小走りに近づいた。

「宴はもういいんですか？」

「…ちょっと酔い醒ましをしていたのですよ。　貴女こそ…こんな時分に」

「あ、大喬さんたちに子守歌代わりにお話をしてあげてたんです」

小言になりそうだったので花は慌ててそう答えた。
 

「そうですか。 ―――では、部屋までお送りしましょう。　貴女一人ではどうにも心許ない…」

「え、そんな、一人で大丈夫ですよ」
意外な申し出に慌ててそう答えると、

「この間…小さな段差を踏み外して転倒したのは、どなたですか？」

あっさりと切り返されて花は眉を下げた。
「ぅ……スミマセン」
「いいえ。　酔い醒ましのついでですから」
 

そう言って公瑾は姿勢を正し、花へと手を差し出した。

花はくすぐったい気持のまま、その手に手を重ねる。

こうして――― 部屋まで送ってもらうことはもう数えきれないほどあるのに、手を繋いで歩いたことは数えるほどしかない。

「（こういうのって……やっぱり照れくさいのかな？　こんな時じゃないと、公瑾さんと手を繋ぐことってないよね…）」

心地いい力加減で握られる手―――。

体温と共に気持ちも伝わるようで、嬉しい気持ちになる。
 

「…どうしました？」

「え？」

不意に公瑾から声がかけられる。　まるで何かを見透かしたようなそのタイミングに驚きつつ彼を見上げると。

「足音が…少しはずんでいるように聞こえます…」

ふわりと微笑んでのその言葉に、花は小さく肩をすくめた。

本当は…この人には何もかもが見えているのではないだろうかと、そんな錯覚さえ抱いてしまうほど的確に言い当てられてしまう。

「……こうして公瑾さんと歩けることが、嬉しいんです」

『手を繋いで…』とは流石に言えなかった。

けれど、ソコすらもきっと伝わってしまうのだろうと思う。
 

「…そうですか…」

「はい」

「では、もう少し…このまま城内を歩きましょうか？」

「いいんですか？」

「もう少し………酔いを醒ましておきたいのですよ」

「じゃあ少しだけ…お願いしますｖｖ」

花がそう答えると公瑾は軽く頷いて―――。

二つの影は月明かりの中、城内を巡る夜の散歩に向かった。


　－終－