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いらっしゃいませ! このブログでは、カヌチ二次創作(緋色の欠片、ウィル・オ・ウィスプ、ラスエス3他)、乙女ゲームの感想など、管理人ベルルの暴走気味の妄想をつらつらと書き綴っております。現在「三国恋戦記」絶賛応援中です!!     -since 2009.7.25-
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三国恋戦記SS > 公瑾花 です(^^ゞ


思いのほか しっとりまとまってしまいましたが。(もっと色々やってみたかったのに…:苦笑)
まあ、結果オーライということですね(^^ゞ。

書けば書くほど、公瑾が ヘタレ度UP で仕方ないのですが……まぁ、素直じゃなかったり腹黒かったり詰めが甘かったりする公瑾は、他の方に書いてもらうことにしましょう(*^_^*)。
ただ(私も含めて)どなたが書いたとしても、公瑾というキャラに共通するのは、 「花ちゃんがいなきゃ生きていけない」て所だと思います(笑)。

それでは、少々迷走の感は否めませんが。
お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m。



 
とある夜。
京城内でいつものように開かれた宴の合間。
花はつかの間、酔い醒ましに宴を抜け出した公瑾と夜の散歩に興じていた。
 
「こうして夜になると―――影が濃くなるからか、同じ風景なのに昼間とは全然違ってみえますね?」
なんだか少し 公瑾の声が聞きたくて、花はそう口にした。
手を繋いで―――ただ歩いていると、夜の静寂の中 ふとした瞬間に 『別の世界』 へでも飲み込まれてしまうような…漠然とした不安を感じたのも理由の一つかも知れないけれど。
「そうですね………恐いのですか?」
「!……こ、子供じゃないですから…暗闇が怖いとか、そんな事ありません」
少し強がって、そう答えてみる。
けれど。

「―――――わたしは…恐いですよ…」
「!…ぇ?」
思いがけない言葉に、花は聞き返してしまう。
「恐いですよ――――夜の闇に乗じて、貴女が何処かへ行ってしまわないかと……いつも思ってしまいます…」
「こうきんさん…」
「だって貴女は…」
「……」
ふ と足が止まり――――月光を背に公瑾が花を見つめる。
逆光になってしまったため、花からはその表情が見えない。

「貴女はとても―――つれないひと、ですから…」
静かなその声には、言葉が持つ以上の意味が込められているように聞こえた。


「そんな…」
どう答えていいのか分からなくて……花の言葉も途中で消える。
『つれない』 なんて―――そんな薄情な人間のように評されるのは心外ではあるけれど。
その言葉を選んだ公瑾の意図が知りたい。 
花が食い入るように彼を見つめると、 
「本当に貴女はつれない人ですよ」
もう一度、公瑾は吐息と共にそう洩らした。

「――――自分から気持ちを伝えておきながら、改めて顔を見せに来た時には、あっさり別れの挨拶を口にしようとするのですから…」
続く言葉に、ようやく何を指して言われているのかが分かった。
あの『偽婚儀事件』の時。
花は公瑾を止めるのに必死になったあまり、自分の気持ちを口にしてしまった。
しかし花自身にはその自覚がなく、その後、玄徳と共に荊州に帰る事になったことを伝えに公瑾のもとを訪れた時には、別れの挨拶を口にしていた。
さらにその際、花は公瑾に『本』を開けば『元の世界』に帰れる事を伝えていた。
―――『元の世界』に帰れば…二度とこちらの人々と会う事はないと知りながら…。

「そ、それは! だって…あの時は一生懸命すぎて自分が何を言ったのか覚えてなくて!」
公瑾の言に慌てて花はいい訳を口にする。
そして、
「でも、それを言うなら公瑾さんだって! 私が挨拶を口にしても…全然…気にした風もなかったじゃないですか。 平然としてて…すぐには引き留めようともしてくれませんでした。 同じじゃないですか…」
と頬を膨らませて抗議すると…。
「何を言ってるんですか、全然違いますよ」
「!?い、痛いです、公瑾さん…!」
空いている方の手で、公瑾は花の頬をつまんで続ける。

「貴女が 『荊州に帰る』 事と 『故郷に帰る』 事では―――全然意味が違うでしょう?」
「!」
「荊州であれば……貴女を拐(さら)って来ることだって出来る。 どんな手を使っても、この腕の中に貴女を閉じ込めておくことが出来る」
「!!」
「けれど故郷に帰ってしまった貴女には――――二度とこの指が触れることはない…。
どんなに焦がれても、風の噂ひとつ耳にすることは叶わない。 そういう事でしょう? 貴女が、『故郷に帰る』 ということは…」
「公瑾さん…」
「――――それなのに、貴女ときたら当たり前の様に別れる事を決めていて。 平然と、挨拶の口上を述べようとするのですから…これを 『つれない』 と言わずしてなんと表現するのですか? 本当に、つれない人ですよ…貴女は」
もう一度重ねて言われ、花は肩を竦めながら、ふ と公瑾を見上げた。
 
なんだろう?
今日の公瑾はやけに自身の心情を饒舌に著わしている気がする。
顔色は……普段と変わらない。
変わらないケレド、これはもしかして………もしかして、酔って…いるのだろうか??
酔って…普段は口にしない心の内を、ぽろぽろと零しているのだろうか?
だとしたら、いつも以上に絡み口調なのは気のせいではないのだろう…。
こんな風に恨み言のようなことを言うなんて…想像もしなかったけれど。

「ごめんなさい……。だって、私その時は公瑾さんには小喬さんていう婚約者がいると思っていたんです…。だから」
「そのまま帰ろうと? 気持ちも確かめないまま?」 
矢継ぎ早に問い詰める公瑾の言葉は、花に一瞬 忘れかけていたあの時の辛い気持ちを思い起こさせる。
「貴女はそれで良かったのですか? 二度と会えないと、分かっていたのに?」
「っ―――だ、て…あれ以上、好きになるのが、辛かったから……。 帰ってしまえば―――最初は辛くても…時間はかかっても―――いつか あきらめられるだろう、て……思って…」
「――――あれほどに強情な貴女が……そんな所だけ、一歩引いてしまうのですか。 わたしをその気にさせておいて……貴女という人は、本当に…」

突き詰める声音に、ようやく呆れたような色がにじむ。
あの時の花の心の内を知ることが出来て……少しは納得したのかもしれない。
『元の世界の帰ること』 が、逃げ出したくなるほど真剣な公瑾への想いのせいでもあったのだと白状させられて、花は改めて羞恥に頬を染めた。
もう 公瑾と恋仲になって随分経つのに、今更こんな風にあの頃の『幼かった恋心』を吐露させられるとは思わなかった。
そう―――初恋であったが故に恋情の機微に疎く、自分の感情も相手の心情も読み解くことが出来ずにいたのだから。
勿論今も、(公瑾に言わせれば)花は自分で思うほど、恋情に敏いとは言い難いのだろうけど。
 
溜息をつく公瑾に苦笑しながら、けれどその先に続くであろう言葉を封じるように、花はそっと彼に体を預ける。
普段は見せない拗ねた様を見せてくれる公瑾がとても、可愛らしく、愛おしく思えた…。
「でも――――今はこうして 公瑾さんの傍にいるんですから………許して下さい、ね?」
「―――仕方ありませんね」
宥めるような花のその言葉に、公瑾は小さく肩をすくめて彼女を抱きしめる。
「わたしから…離れようだなんて、二度と思ってはいけませんよ」
それから 低く囁き落とされるのは―――多分何よりも正直な気持ち…。
決して素直ではないけれど。
でも、真っ直ぐに自分へ向けられるその想いの強さに、胸が熱くなる。
だから花も、それに応えるように公瑾の背に手を廻して彼を抱きしめた。 
 
「――――ハイ、ずっと…私は貴方の傍にいます…公瑾さん」
その言葉を聞きながら花の細い肩に軽く頭を預け…公瑾は小さく頷いた。


 -終- 
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