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いらっしゃいませ! このブログでは、カヌチ二次創作(緋色の欠片、ウィル・オ・ウィスプ、ラスエス3他)、乙女ゲームの感想など、管理人ベルルの暴走気味の妄想をつらつらと書き綴っております。現在「三国恋戦記」絶賛応援中です!!     -since 2009.7.25-
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三国恋戦記SS > 公瑾花 ですm(__)m。


いつのまにやらカレンダーが…(苦笑)
ちょっと夏の疲れを癒していたら、急に仕事が忙しくなって…(苦笑)。
あぁぁ、本当に時の流れって非情…。
更新止まっていた間も、様子を見に来ていただいていた皆様、本当にありがとうございますm(__)m。

ということで、お久しぶりの 公瑾花 です(^^)。
履歴を見ると、およそ2ヶ月ぶりの公瑾花でした~(>_<)。
私の中ではそんなに空いた気はしないんですが…、ただ、『星読み指南』的には「序」の続きの話になるんですよね(苦笑)。
なんか二人の距離感が微妙な感じになっているのは―――時が非情な所為ですよ!!
それでも、結構最初のころから書きたいネタではあったので、なんとか形になってよかったです(^^)。
(ここの記事を書いてる途中でも、PCがフリーズして下書きが3分の1程飛んでしまいましたが…:涙)

それでは、100% 自己満足な内容ですが、ご興味のある方は続きの先へお進み下さいませm(__)m
お楽しみ頂けましたら幸いです(^^)。


あれは、北辰(ほくしん)―――北の空にいつも同じ位置に輝く星です。

京城の城壁におかれた楼台から、初めて星見の手ほどきをうけた一番最初に教わった星…。
それが「北辰」という名の星だった。
「(北の空――――…あ、北極星のことかな)」
指をさされたその先に輝く星を見上げながら花は公瑾の次の言葉を待った。
「常に北の……極の位置に輝いていて、星を読むときの基準になる星です。 他の星々があの星を中心に空をめぐっていることから、夜空の中心―――地上にあっては『天帝』を現す―――とみなされています…」
「天帝、を現す…」
「つまり―――皇帝になるものの運命(さだめ)の星、ということです…」

「―――――」
「どうしました?」
「……公瑾さんにとって、とても大切な星…だったんですよね?」
「!」
窺うようにこちらを見上げた花を、公瑾は驚いて見つめた。
「なぜ……そう思うのです?」
「…気に障ってしまったら…ゴメンナサイ」
しまった、という風に手で口元を覆い、花は肩をすくめた。
そんな花の肩を抱き寄せると公瑾は首を振った。

「そういう事を言っているのではありませんよ。ただ、なぜそう思ったのかと…」
「……なんとなく…伯符さんの事を想っていたかな、って」
「そんな風に、見えましたか…」
「公瑾さんにとって『天帝』の星を持つ人は、伯符さん以外いないんだろうなって―――私が勝手に思っただけです」
「…そうですね……」
花の言葉に、何かを思案するように少しの間があって。
「仰る通り……あの星を見上げるのは、随分と久しぶりです」
静かな声が頭の上から響く…。
「久しぶり過ぎて――――あの星はあんなにも強く輝いていたのかと…今更 驚いています」

「公瑾さん、 あの……あの」
ただまっすぐに極の星を見つめる公瑾の静謐(せいひつ)な瞳…。
その裏側にある心情を測りかねて、花は公瑾の衣をそっと掴みながらすがるように身を寄せて躊躇いがちに口を開いた。 そんな花の様子に公瑾は穏やかに促す。
「どうしました?」
「あの…………無理に、とは言わないんですけど…」
迷いながらも、花はずっと胸に隠し持っていた一言を口にした。

「伯符さんの話を、してくれませんか?」

突然の花の言葉に、公瑾は怪訝な顔を見せた。
「私の元いた世界では…人が亡くなると、その晩に身内や親しい人が集まって、夜通しその人の思い出を語り明かすんです。 その人の黄泉路が寂しくないようにっていう事なんですけど、同時に残された人達にとっても、亡くなった人との思い出話で笑ったり懐かしんだりして、その人の死を受け入れられる様になるんです…」
「――――」
「今夜あの星を見ることが出来て、公瑾さんの胸の内に伯符さんへの想いがあるなら、言葉にして沢山沢山思い出を語ったほうが……その…」
「伯符への苦い想いを、昇華できると…?」
花が躊躇う言葉の先を公瑾は引継いで問うた。
控えめに花は頷き、公瑾の表情を窺う。
 
心の内から。
色々なものをそぎ落としてまで歩もうとした修羅の道は、伯符への消えぬ後悔ゆえだった。
それは親友の死を受け入れられなかった公瑾自身のうちに、今も消えずに存在している。
けれど、苦過ぎる別離に覆い隠されてしまった伯符との数えきれない思い出こそが、公瑾の心を軽くする一助になる筈だと花は思う。
公瑾の弱音を聞いたあの時から…過去を振り返り見つめる事でしか、その傷を癒すすべはないと。

ただ、そうしたほうが良いということを、どのように伝えればいいのかが分からなかった。
下手に話題を振ってしまえば、更に公瑾を傷つけてしまう気がして…。
だから偶然にも北辰の話と、そしてそこから伯符の話題へ転じることが出来た今がその提案を口にする好機だと感じた。
それは花にとっては、まるで何か特別なちからがそのような機会を、巡り合わせてくれたように思えた。

「………公瑾さん…?」
けれど…少しの間広がった沈黙が、その提案を拒絶しているように感じて、花は何だか息苦しくなった。
余計なことを言っただろうか?
時が解決してくれるのを待つべきだっただろうか?
けれど―――公瑾の己自身に対する厳しさには、そんなものを期待できる余地は無い。
現に、花と出会う今に至るまで、彼は苦しみ続けていたのだから。

「貴女はずっと……そのようなことを考えていたのですか?」
「え!?」
思いがけない言葉に花が目を丸くすると。
公瑾の手が花の両頬を包み込み、そっと慈しむように撫でた。
「それでは………わたしのお願いも聞いていただけますか?」
「ぇ…何でしょう、私にできることなら…」
目の前にある公瑾の瞳が一瞬、やわらかく笑んだ。
「貴女にしか、できないことですよ」
「……は、い…?」
 
「わたしが伯符の事を話す代わりに、貴女も貴女の家族や世界の事を、わたしに話していただけますか?」

「……え…?」
「――――元の世界の事を思い出して、辛いと感じさせてしまうかも知れませんが……貴女のいた世界をわずかでも共有したいのです」
「こうきん…さん」
「貴女が、どうしようもなく辛くなった時に心の内を吐き出す相手はわたしだけであってほしい…。そのために貴女の世界の事、家族の事…少しでも多くを知りたい」
「でも、それじゃ…」
「わたしが言えたことではありませんが、貴女が遠い遠い地にある故郷を想う自由まで、奪うつもりは無いのですよ…」

頑なだと思っていた。
冷酷で非情で底の見えない人だと。
けれど関わっていくうちに、この人の優しさだとか弱さだとか…そういうものが見えてきて、印象が変わると同時に少しはこの人の事を理解したと思ったいたけれど。
それはなんて甘い―――勘違いだったのだろう…。
 
「こうきんさんは………優しすぎます…」
にじんだ世界―――その中心にいるのは、何を捨てても共に生きたいと願った相手。
守られる以上に、守りたいと思った相手。
そうしてようやくその一歩を踏み出せたと思ったのに、逆に自分を包み込む大きな愛情に気付かされてしまう…。
見えるものも見えないものもあるけれど、この人はいつも気遣いと優しさに満ちている…。
それに気付けた事が―――この上ない幸せなのだと花は感じた。

「そうでしょうか……。わたしには、貴女の方がよっぽどお人好しで単純で考えが甘くて――――危なっかしい位に他人に心を傾ける人に見えますよ」
「~~~…ひどい…」
公瑾の言い様に、涙に滲んだ瞳が少し歪む。
けれど一瞬でその表情は笑顔へと転じ、
「でも、…じゃあ、お互い様、ですね」
「そうなのでしょうね…」
そうして少し気恥ずかしくなって…照れたようにお互いに笑い合った。

それから―――楼台の腰かけに並んで座り 長い夜話に興じ始めた2つの影を、天の極星は静かに見下ろしていた。

 -終-
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こちらで取り扱いますゲームの内容やそれに関連する創作SSに関しましては、製造元などとは一切関係がございません。あくまでも個人的に書き連ねているものですので、ご理解・ご了承のうえお楽しみ下さいませ。

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