愚者の微笑み 前篇 （仲謀＆公瑾×花）

三国恋戦記ＳＳ　＞　公瑾花　仲謀視点で捏造ＥＤ　です(^^)/

捏造ＥＤの第２弾～（！？）　夢のひとひら　の続きになります！
そして、ＥＤロール後のあの宴の席を捏造しました！<(｀^´)>

賛否両論あるでしょうが……書いちまったものは仕方ない！（＜開き直り？）
どっちにしても公瑾に転ぶと伯符の存在は無視できないようなので、覚悟をきめて書きました。
っても、大した覚悟じゃないです、ご安心ください。
思いっきり掘り下げられるほどの構想力も文章力もございませんので！
所詮素人の妄想ですからね～(^^♪
シリアス系なので下書きからデータ化まで時間はかかってしまったのですが、よろしければお付き合いくださいませ(^^)

それでは…２つに分かれましたが、お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m

玄徳達を送り出した夜。
京城では身内だけのささやかな宴席が設けられていた。
そこで花の姿を見つけた仲謀は、思わずそちらへ足を向けていた。
公瑾が……欲した少女。
愚か者と切り捨てておきながら、その手を放さず掌中におさめてしまった。
玄徳とどう話をつけたのか、一応聞いてはみたが相変わらずの表情でただ、万事つつがなく…とだけ報告を受けた。

「（―――本当につつがなかったのか怪しいトコロなんだが……まぁ、でも。　あいつが自分の為に何かを欲しいと思うことがあるなんて……正直、思った事は無かったな…）」
そう思いながら、仲謀に気付いて顔をあげた彼女に、
「―――お前に言ったって、まぁ…無駄なんだろうけど…」
…そう、話しかけていた。

「？え…と、なんですか？？仲謀さ、ま…」
舌をかみそうなほど言いにくそうに敬称をつける。
相変わらず、身分ある者に対する態度がなっていないと思う。
「…もういいよ！仲謀さんでも！！」
「え！？でも…すごく失礼になるんですよね…？」
「ああ、この上なくシツレイだな！」
「だったら…」
「よくよく考えりゃ大小も俺様を呼び捨てにしてるしな……もういい。あきらめた…。　お前もあいつらと同じだと思うようにする。今決めた」

そう言う仲謀へ、見る間に眉をさげ、情けない顔をして花はうなだれる。
「ご、ごめんなさい、出来るだけ慣れる様にします。だからもう少しだけ、仲謀さんって呼んでもいいですか？」
「もう、ソレでいいっつってんだろ」
「だって……公瑾さんのご主人を、そんな風に呼ぶのって…」
その一言で、花が自分の立場というものを多少は理解していることが分かった。
どうしたって自身の失態は、公瑾への評価を下げることに直結していると……そのくらいは理解しているらしい。
「あぁ…まぁ、そうか…。　なんだ、ちったぁ頭が働くんだな…」
「……スミマセン……色々と足りなくて…」
そう、足りない。
色々足りなさ過ぎる。
出自も知識も経験も、それから……女人としての色気やたしなみも。
「……ったく、なんだって公瑾もこんな奴を…」

けれど、それでも―――――手放さなかったんだ…こいつを。

「お前……これから、大変だぞ…」
「え？？」
「公瑾の家筋はここらで指折りの名家だからな……色々とウルサイ…。　俺様の嫁になる位、ムズカシイと思え…」
「！？よ、め…！？って仲謀さんの！？」
「たとえ話だっ！…てか、食いつくのはソコじゃねぇだろ！………公瑾とは…そのつもりでココにとどまったんじゃねえのかよ？」
「そ、そんな、の……/// 私一人で…決められる事じゃ、ないです…」
真っ赤になって身を縮めて、答える声は尻すぼみに小さくなった。
その様子に仲謀は半ばあきれる。

…なんだ？？
まだこいつらはそういう関係じゃねぇってことか？？
いや、待て……そういやぁ「期待に沿うようなことは何もない」って言ってたか。
じゃあアレは……公瑾一人の思惑ってことか？
でも、乞われてそれに応じたってことは、こいつだって少なからずって事だろう？
それならやっぱり……。

「仲謀さん…？」
己の手の中の酒杯に視線を落として黙ってしまった仲謀に、花は控えめに声をかける。
「お前…」
すいと視線を上げて、仲謀は花を見据えた。
さっきまでとは違う仲謀のその様子に、花も姿勢を正してこちらを見つめる。
「―――俺の、兄貴の事は聞いてるだろ」
「伯符さん……ですか？」
「あぁ…小覇王と呼ばれた男……。　誰もが、この人ならば…と多くを託し多くの夢を賭けた、俺の兄貴―――公瑾の親友だった男だ…」
低く静かな声音。
そこに込められる何かを感じ取ろうと花は少しだけ身を寄せて、仲謀の次の言葉を待つ。
宴の喧騒が―――どこか遠のいて行く気がした。


兄貴を喪ったあの時……今思い出しても、身がすくむような無明の世界に取り残されたように感じた。
ただソコに唯一残されていた兄貴の幻影（ゆめ）……その残像を追うことで、俺は自分と残された者たちを奮い立たせてきた。
そうだ、俺は今も―――あの兄貴の影を追っている。
それは、公瑾だって同じはずだった…。

「俺たちは……いや、この場にいるものはほとんどが…良くも悪くも兄貴の枷をつけている。……囚われて、その鎖を解く事が出来ないでいる。　特に公瑾は―――もうがんじがらめになっていて、兄貴の夢を継ぐという形でしか前に進む事ができなかった…。あいつは違うって言うだろーけど、俺にはそう見えた」
「公瑾」という言葉は「自分」に置きかえられるのかもしれない……。
それほどに鮮烈で力強くて―――惹かれずにはおれない人だった。
誰もがその存在を拠りどころとし、その先の未来を信じて疑わなかった。
だからこそ―――その喪失感は計り知れなくて。
それは身内だけでなく、一番近くで生きてきた者にも暗い翳を落していた…。

「……まぁ、俺が……親父や兄貴の遣り残したことを継ぐってのは道理だとしても、な――― 公瑾は…ソコに引きずり込んでなきゃ生きてなかっただろうな…多分」
そして、失意の底からようやく立ち直った時…気付いた。
兄の傍に控えていた時と自分の傍らに仕えている時の、公瑾の表情の違いに。
その差は本の少し……ごくごくわずかなものだったけれど。
幼少のころから兄の傍で過ごし、２人の様子を見てきた仲謀には…それが分かった。
そして―――孫家への忠義を懸命に果たそうとするその様に、どこかで道を間違えたような気がしていた。

「なんとなく……分かります…」
自分の思考に沈んでいた仲謀を、花の声が現実へ引きもどした……。


　－続く－