どうにもタイトルが…思いつかなくて。スミマセン…。
気を取り直して、三国恋戦記SS > 玄徳花 です!!
書いていて、この人結構迂闊だな…と(笑)。
深く考えているのかいないのか、よくわからない人になってしまいました(^^ゞ
それより何より、うじうじ悩ませ過ぎないようには気をつけましたね。
基本イメージは。
『悩みはするけど、過去を振り返らないタイプ』??
だから、暗くはならない―――悩んでもすぐ浮上出来るから。
これが雲長ならまず無理。
どん底まで悩み尽くして(しかも浮上しない)、しまいにどこかへ行ってしまいそう…(苦笑)
だけど、SS的ベストサポーターの地位は不動なので、絡み役としては重宝される役どころ。
ごめんよ、今回の相談は結構きつかったよね…(書いてる私がきつかったわ…)
とりあえず、玄徳ED後SSで。
お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m
夜中に―――ふと目が覚めて、傍らに眠る恋人の存在に顔を綻ばせた。
少し丸くなって身を寄せる彼女が愛おしくて……その唇が欲しくなり顔を近づける。
しかし突然、玄徳はソレに気付いた―――思ったよりも長い睫毛につかまった涙のしずくに…。
「―――泣いているのか? 夢を見て…?」
彼女を泣かせる夢など、許せないと思った。
その肩を掴んで揺すり、起してしまおうと思った。
けれど――。
「……故郷の事を、夢に、見たのか?」
自分と生きる為に多くのモノを捨てた少女…。
例えソレを決めたのが彼女自身の意思だったとしても、その手をつかんでしまったのは、自分だ。
だからもし……彼女が故郷を想い涙しているなら…その涙を拭い、その想いを慰めてやるのは自分の責だろう…。
「……花…」
そう思いながら、彼女の瞼にそっと口接けてその涙を拭ってやると、玄徳は起こさないように彼女の体を抱きしめた。
「玄兄…」
「ん?」
朝議を終え、相談があると言われて雲長は玄徳の執務室へ来ていた。
しかし山となった書簡を見るに見かねて、つい仕事を手伝っていたのだが…肝心の『相談』とやらを聞いていないことに気付いて声をかけたのだ。
まさかこの書簡の山を何とかしてほしい…というのがその内容だった訳ではあるまい…との希望を胸に抱きながら。
「何か、相談があると言っていましたが……」
「あ、あぁ…。 なぁ…雲長、やはり故郷とは…恋しいものだろうか?」
「は?」
「戻る道を閉ざされ、もう2度と故郷に戻れぬとしたら……やはり、時には涙する程恋しく思うもの、なんだろうか…」
「…………さぁ…俺は……故郷を思い返すヒマなど無かったので…よく分かりませんね。良い思い出のない地であれば、それほど恋しく思うことは無いと思いますけど」
「……国が安定し、生活も豊かだった―――争いがなく飢えることもない…というのであれば、やはり悪い世の中では無かっただろう…。少なくとも―――ここよりは…」
悩んでいるというよりは、分析し納得しているような主の姿に、雲長は小さく吐息をついて言った。
「…本人に直接聞いたらいいじゃないですか…」
「いや、でも……もし本当に、彼の地が恋しいと言われたら、俺には何もしてやれない――――んん?」
「?はい?」
「……花の事だと…俺は言ったか?」
「………………直接には……言ってませんね…」
キョトンとした玄徳の顔があまりに常の彼から懸け離れていたので、雲長は思わず口元を緩めてしまった。
「…人が悪いぞ、雲長……引っかけたな?」
「誰が聞いても、まず間違いなく花の事だと言い当てますよ、今の話なら…。ああ、翼徳以外は」
雲長がそう言うと、玄徳はそうか?と首をかしげながらも苦笑を洩らす。
「その事を考えて、仕事が手につかなかったんですか? ま、こればかりは俺の言葉は当てにならないと思いますよ」
「…そうだな…」
「玄兄」
「ん?」
「気分転換に…庭にでも出て仕事をしてきてはどうですか?書簡を2つ3つ持って行って…あとは急ぎのものを選って俺が持っていきますよ。明るい太陽の下でなら仕事も思考もはかどると思います」
「…そうか……そうだな、そうしてみよう」
そう言って玄徳は早速手元にある書簡を持てるだけ持って、庭へと出て行った。
ポカポカの陽射しと青草の香りは、とにかく心地いい。
「なるほど、これはいい気分転換になる」
適当なところに腰を下ろし、持ってきた書簡を広げる。
民からの訴状…役人からの報告書…文官や武官からの色々な提案書……。
いくつも自分の下に届けられるそれらの書状の内容は、かつて客将の身であった自分には良くしてやることも悪くすることも出来ない事だった。
今この益州の地を手に入れてこうして民の為に働くことのできる状況を、感謝してもしたりないくらいなのだ。
よい主君たろうと思う。
よい漢であろうと思う。
自分の為に多くを尽くしてくれた彼女の為に…。
彼女の顔が曇らぬように……哀しませぬように。
「(……いかんな…結局全部、花の事を考える種になっている…)」
苦笑して…読み終わった書簡を『是』と書いた山に積んだ所で、背後に足音が聞こえた。
「雲長か…?悪いな、ここに置いてくれ。……あぁ、さっきの話は、花には内緒に……!」
「え…」
「!……花…」
書簡から目を上げると、そこにはいくつかの書簡を抱えた少女の姿があって。
思わず息を呑んだ玄徳の前で、見る見るうちに彼女の表情は曇る。
「な、んですか…?…ないしょ、て…」
「(謀ったな……雲長の奴…)いや、その…」
「玄徳さん……ここの所なんか、そわそわしてるっていうか…落ち着かないっていうか……何かあるんだって、薄々…感じていましたけど…」
切れ切れの言葉は、それでも懸命に感情的にならずに話そうとしている努力の表れなのだろう。
そんな所まで健気でいじらしくて…そう思うと玄徳は、手を伸ばして彼女を抱き寄せていた。
「!?なんで…っ…玄徳さん!?」
内緒事がある相手に…それがバレた直後に…どうしてこんな?
「違う、花…聞いてくれ。―――お前が不安に思うことじゃない」
「!?…で、も……内緒って…!」
「―――お前は……………………元いた世界を、思い出すか…?」
「え!?」
「いや…思い出して当然だ。 思い出すな、とも言えない。 むしろそこへの想いは…大切にして欲しいと、思う…」
「……玄徳…さん?」
「…悪い……意味が分からないよな?―――つまり、お前が故郷を想うのは自然な事だが………もしも…もしも―――恋しいと、思っていたら…帰りたいと思っていたら…と思うと、仕事が手に付かなかったんだ…俺は。その事を雲長には…話していたから…」
「――――あの、なぜ…さっきから元の世界の事ばかり言うんですか??」
ようやく彼女は、至極当然な疑問を口にした。
それには玄徳も一瞬口ごもり、それから…少しだけ声を落として…、
「/// ……何日か前の夜、目が覚めたらお前は夢を見て…泣いている様だった…。故郷の事を夢に見て、泣いているのかも知れないと…思って…」
言いにくそうにそう言った。
それを聞くと花はホッとしたような表情になり、それから両手を玄徳の両頬に添えた。
「……花?」
「元の世界の事は…偶に思い出しますよ?私…要領が悪いし不器用なので…他の人みたいに、玄徳さんにちゃんと尽くせていないですから。 元の世界は…色んな意味で便利でしたし…。でも――――」
まっすぐに…玄徳の瞳を見つめ返し、花はふわりと笑んで、
「私、この世界に、お嫁に来たんです。 今この世界で玄徳さんと生きる事が私の全てなんですよ? 帰りたいなんて思った事はありません――玄徳さんに望まれた、あの日から…」
そう言うから……。
これだから―――手離せなくなる…。
こうも容易く…あっさりと…彼女は自分の心を救いあげてくれるから。
「……お前には…敵わないな…」
コツンと額をあてて玄徳は笑う。
「花…俺はいつも、こうしてお前に…お前の存在に救われている…」
「私はこの世界に来てから今もずっと…玄徳さんに救われてますよ?玄徳さんの優しさ、広さ、温かさ…全部で守ってもらって、救けてもらいました。―――おあいこですね?」
「……そうだな…」
そう答えると玄徳は腕に力を込めて彼女を抱きしめる。
そして……あの夜得られなかった彼女の唇の温もりを…改めて確かめた…。
それから……仕事の大半を片づけた玄徳がこの後、ずいぶんと久しぶりに雲長の頭をわしゃわしゃと撫でまわしたとかしなかったとか……。
-終-
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現在お礼文3件UPしています!
(超小ネタSSSより OZMAFIA1・緋色1・
ブラコン1・2013.8.13.)
fxwill.com
お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。
こちらで取り扱いますゲームの内容やそれに関連する創作SSに関しましては、製造元などとは一切関係がございません。あくまでも個人的に書き連ねているものですので、ご理解・ご了承のうえお楽しみ下さいませ。
なお、内容に関しましては無断転記等一切ご遠慮下さいますようお願いいたします。