ネタバレだし、ED後のような…ED直前のような…(苦笑)。
ビミョ~な感じ(^^ゞ。
(前にUPしたED後のクラトSSより、時系列的には前の時期にあたりますね…)
ちなみに、別件でクラトアキのネタで話をしていた時に頂いたネタです。
私ではこれが精一杯でした(^^)
…それでは、お楽しみ頂けましたら幸いです…
細い細い雨の粒が冷たい墓標をしっとりと濡らし続ける……。
「………」
その墓の前に立ち、じ…と見つめる。
『クラト・エスタ』
そう刻まれている名前を見つめ、アキは小さく吐息をつく。
「……クラトさん……バルハラにも、雨は降りますか…?」
そして手にしていた小さな花束をそっと捧げる…。
この辺りでは見ない白い花弁の可憐な花だ。
「昨日ここに来た後、採取に行った先で見つけたお花です。
なんて名前か分からないんですけど、あんまり可愛かったからクラトさんに見てほしくて…。クラトさんならこのお花の名前、分かりますか…?」
今にもその答えを教えてくれそうなクラトの顔が目に浮かぶ…。
切なさにアキはキュと唇を噛んだ。
「何してんの、お前……こんな雨の中…」
背後からの突然の声に驚いて振り返ると、少し不機嫌な顔でアクトが立っていた。
そして手にしていた外套を、アキの頭の上からバサリと被せる。
「やっと来た…!と、思ったら…!なに!?」
「馬鹿じゃねーの……風邪引く気かよ…お前……」
ぶっきらぼうに言いながら墓へと向き直り、じっと墓標を見つめる。
「何だよ、イミナ、入ってないじゃないか?」
「…だって、私はまだ契約してなかったから…知らないんだもん…。タカマハラに帰ってこれたら契約しよう…って言ってたから。…だから…」
「…っと、馬鹿じゃねーの、アイツ…」
「もう…!ようやく足を運んだと思ったら悪態ばっかり…!」
アキが怒った風を装うと、アクトはチ…と舌打ちして片方の手に持っていた瓶を墓にかざした。
「クラト…あの夜に飲んだ酒が……最後になったな…」
そして栓を抜き瓶を逆に向ける。
トクトク…流れ出るマテ酒は墓石を頭から濡らし、静かに大地に滲みていった。
「いつもは…平気なんだよ?毎日いろんなことがあるから…。でも、雨が降ると…」
言い訳をするようにアキは続ける。
「…雨の日はいつも――クラトさんと雨宿りした日を思い出すから……。おじいちゃんとケンカして、家を飛び出したところで急な雷雨になって…。森の小さな洞窟で雨宿りしてたら、雨の中捜しに来てくれたクラトさんに会って、それで…」
色んな意味で苦い思い出だが、あの時初めてクラトの優しい気持ちに触れたのかも知れない…。
そう思うと、こらえきれず涙がこぼれた。
どうして…今雨が降っているのに貴方はここにいてくれないんですか……?
どうして雨の中を……捜しに来てくれないんですか?
私は…ここにいます、クラトさん……。
俯いたアキの頭を軽く抱き寄せアクトはなだめるように撫でてやった。
「…っと、馬鹿な奴だよ…アイツ…」
「………アクトさん……今も…クラトさんのこと、憎んでる…?許せない…?」
「―――さあな…。…正直……不思議だよ。…あんなにあいつを殺したいって思い続けていたのに……いざあいつが居なくなっちまったら、まるで足元にあった確かな何かが抜け落ちたみたいで……。
あいつを許せなくて。
…許したら自分が自分で無くなる気がして。
意地になってあいつを憎んでた…。
頑なに…許すことを拒んでいた……。
けど、憎む気持ちの裏側であいつを…あいつの存在を、こんなにも頼りにしていたなんて……滑稽だな、まったく…。失うまで―――取り返しのつかないところに行きつくまで分からないなんて…俺もあいつも、大馬鹿野郎なんだよ…」
「……アクトさん……」
「今なら―――あいつと解りあえるはずなのに…仲の良い兄弟に戻れるはずなのに―――全てが遅すぎるんだ……」
「…全てが……遅すぎる…」
アクトの言葉は重くアキの心に沈んでいった。
「―――ほら、もう行くぞ。ここにいたって、あいつは帰って来やしないんだ…」
「…アクトさん……」
「―――お前を風邪ひかせたりなんかしたらアイツ…化けて出てくんじゃねーの?」
「…もぅ……クラトさんはそんな人じゃないよ…」
やむ気配のない雨の中、アクトに促されてアキはようやくクラトの墓の前から離れた。
何度も振り返り、そして心の中で呟く…。
もう一度…貴方に会いたいです……
♪BGM with 【中島美嘉:見えない星】
……寂しさ共感(わか)り合えた人より こんな寂しさくれるあなたが愛しい…
THE FIN
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現在お礼文3件UPしています!
(超小ネタSSSより OZMAFIA1・緋色1・
ブラコン1・2013.8.13.)
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お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。
こちらで取り扱いますゲームの内容やそれに関連する創作SSに関しましては、製造元などとは一切関係がございません。あくまでも個人的に書き連ねているものですので、ご理解・ご了承のうえお楽しみ下さいませ。
なお、内容に関しましては無断転記等一切ご遠慮下さいますようお願いいたします。