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いらっしゃいませ! このブログでは、カヌチ二次創作(緋色の欠片、ウィル・オ・ウィスプ、ラスエス3他)、乙女ゲームの感想など、管理人ベルルの暴走気味の妄想をつらつらと書き綴っております。現在「三国恋戦記」絶賛応援中です!!     -since 2009.7.25-
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クラトアキのお話です。
昨日UPしたものの、対にあたります。

いえ、何に悩んだって、クラトをアルファベット表記した場合、Kで書くかCで書くか…どちらがいいんだろう?って事でした(笑)。
ま、どっちでもいいはずなので、間違えにくいであろうK表記にしました。
だから、sideK です。
(ちなみに、sideA のAはアキのAです。…アクトのAじゃないです、念のため。)

前作同様、ネタバレです。
アキ側の話を書いたとき、クラト視点もあったほうがいいなと思って書きました。
どんなもんでしょうね?
クラトの「妹思い」が変化していくきっかけになればいいなと思いました(^^)

それでは、お楽しみいただけましたら幸いです♪


さらさらと霧雨のように細い雨がバルハラを濡らす……。
その雨粒を手の平に受けながら、クラトはもの珍しげに呟きを洩らした。
「――バルハラにも……雨が降るんだ……」
「バルハラに降る雨は涙雨さ…クラト…」
「え!?」
背後からの声に驚いて振り返ると、黒髪の少女が厳しい顔をして立っていた。

「カヤナ…!…えっと……なみだあめ…?」
「そう…。地上にいる者がバルハラへ旅立った者を想って涙を流すと、その一部がバルハラに届くんだ。―――誰かが…お前を想って泣いているんだよ……。バルハラに雨を降らすほど……な」
「……………」
戦女神の言葉にクラトは首を傾げる。

―――自分の為に泣いてくれる者………?
両親や身内以外でそんな人、思い当たらない…。
大体両親は、王立警備隊に入隊した時にそれなりの覚悟をして送り出してくれた。
なんといっても王の命の盾となる身……。不測の事態は常に想定済みだろう。
もちろん、まさかこんな形で別離が訪れることまでは想定できなかっただろうが、訪れた別離をここまで悲しんだりはしないと思う…。

―――では、誰が……?
…まさか、アクトが……?…いや、それは有り得ない。自分を斬ったことを悔いる日が来るとしても、その事で涙するなど――やはり有り得ない。

「ホラ、クラト…あそこだ」
足元に広がる地上を指差し、カヤナが言った。
「……!!あ、…アキ!?」
「ずっと見ていたが……毎日お前の墓に通って花を手向けているぞ…」
「アキ……」


―――最初の頃……ちょっとだけクラトさんの事、好きでした…―――


審判の刻の前日…心の一部を吐露してくれた少女…。
妹のように想っているその少女が、濡れそぼつ地上の淋しい墓の前に一人、立ちすくんでいる…。
しっとりと雨を含んだその姿に、胸がしめつけられる。

「!……泣いてる……アキ…あいつ、泣いてるよ…!」
俯いて、顔は見えないのに何故かアキが泣いているように感じられた。
「…あいつの感情が泣いているんだ。…生身ではない私たちには、それを感じることが出来る…」
クラトは手を伸ばそうとして、見えない壁に阻まれる。そもそも届く訳もないのだが、目の前のその光景をやり過すことなんて出来ない。

「アキ…アキ…!―――泣くなよ、アキ………俺なんかの為に…泣くなってば…!
お前が泣くことなんて………ないんだよ…」
拳を握りしめて、声を絞り出す…。
「―――バルハラに…届くほどの涙なんて……」

こんな風に泣かせるなんて―――思ってもみなかった…。
大切に想っていたから……守りたかったから……!
この命を失ったことを後悔はしていない。
でも。
こんなにつらい思いをさせてしまうなんて…!
そして…それをどうしてやることも出来ないなんて……。

「ここからでは…声も届かない…。手を差し伸べてやることも出来ない…。ただ、見ているだけ――。……あいつが泣いているのを、見ていることしか出来ないんだよ…」
カヤナの言葉が絶望的に響く…。
「そんな…。…アキ……ごめん……ごめんな、アキ…」

―――クラトさん…雨が降っているのに、どうして貴方はここにいてくれないんですか…?

「!!アキの声…!?」
「…アキの…強い想いが、ここまで届いたんだな…」
難しい顔でカヤナもアキの様子を見ている。
「何とか…ならないのか!?…なぁ!カヤナ!!」
「…無茶を言うな…。(しかし…このままでは…)…おや、あれは…?」
アキの元に誰かが近づいて、頭から外套を被せた。
「あれ…アクトか!?」
少しの間二人で何か話していたが、アクトにせっつかれるようにしてアキもその場を離れる…。
何度も振り返る姿がいじらしい……。

「やれやれ……。きっと明日もあそこに来るんだろうな…。明後日も、その次も…」
「俺はもう――お前には何もしてやれないんだ……アキ………」
何もしてやれないこと――それがどんなに辛くやるせないことか……クラトはここにきて初めて思い知る…。

もしも、この声が届くなら…。
今、この手が届くなら…。
伝えてやりたいのに…慰めてやりたいのに…。
もはやそれは……叶わないこと―――。

クラトの切ない思いを濡らし、涙雨はまだバルハラに降り続いていた…


♪BGM with 【L’Arc~en~Ciel:Piece
……泣かないで泣かないで 大切な瞳よ 悲しさにつまづいても真実を見ていてね…

THE FIN
 

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