気づいたら、こうなってました(苦笑)。
まさか、本命CPのシリアスなSSを書く前に、こんなややこしいSSを書くとは夢にも思いませんでしたが(^^ゞ。
うーん、多分アレですね。
他ルートでの真弘先輩が原因です(笑)。
(自分も想ってるクセに)なんだか応援団長のように頼もしい先輩を見せつけられたので(^^)。
ついでに言いますと。
真弘先輩・祐一先輩のコンビも大好きです。
ここの友情部分について、もっと突っ込んで書こうかとも思ったんですが。
今はこれまでにしておきます^_^
それでは、お楽しみ頂けましたら幸いです♪
「……ったく、しょーがねぇなぁ…」
放課後――いつもの屋上で。
真弘はポツリと呟いた。
視線の先にあるのは当代玉依姫の…寝顔……。
いつもお昼を食べるベンチで一頻り、泣きながら言いたい事を言って。
それを合いの手を入れながら聞いてやって。
しばしの沈黙の後……微かに聞こえてきた寝息…。
目元が少し腫れて、睫毛には先ほどまでの涙の名残が一粒。
「――――安心しきってんじゃねぇよ……バカ」
しかし返ってくるのは、穏やかな寝息だけ。
ここの所いつもそう…。
鬼斬丸を封印した後、珠紀と祐一は付き合い始めたが。
どちらも相手を想いすぎて、今一歩踏み込めなくて……。
心なんてとっくにお互いしか必要としていないくせに、2人とも言葉が足りない……。
だから不安になって……でも言い出せないから、言える相手にぶちまけにくる。
そして、笑われながら背中を押されて…戻っていくのだ。―――愛しい男のもとへ…。
「…冗談じゃねーよ……いい迷惑だっつーの…」
指先で、そぅっと涙の名残を拭ってやる。
目覚めてくれたら、と願いながら…。
そうしたら…自分はまた、笑って送り出す事が出来るのに。
この想いを無理にでも押し込んで。
でも。
その瞳に光が射す事は無くて…。
「…………」
こんな所で無防備に、眠りこけるお前が悪い―――。
もしも、目覚めたら……そう言ってやる覚悟をして…。
真弘は体を屈め、珠紀の寝顔に顔を寄せる。
その唇へ。
自分のソレを重ねようと…して……。
一瞬の…無風……。
そしてガラリと変わる…空気の感触……。
「―――…遅ぇよ……」
静かな声…。
屋上の入口に立つ祐一の存在を感じ、真弘は体を起こした。
「―――眠っているのか…」
「あぁ………不貞寝だよ、不貞寝…!―――…お前が……泣かせるからだ、バカ」
「……すまない」
ようやく振り返り、見交わす瞳。
そして真弘は屋上の入口へ足を向け、代わりに祐一が眠る珠紀の元へ足を進める。
「………言っとくけど未遂だからな」
その一言に、なんの意味があるのか。
分からなかったけれど、言わずにはおれなかった。
それは自分への戒めなのか。
相手への牽制なのか。
「……真弘……」
珠紀を見つめながら祐一は静かに声をかける。
「…俺は……お前が好きだ…」
「んぁ!?……てめっ……言う相手が…」
「だがそれ以上に…珠紀を想っている……」
静かなその言葉にはしかし、それ以上の強く激しい感情が隠れていて…。
長い付き合いで…そんなことも分かってしまったりして…。
真弘は肩をすくめて祐一を見る。
「だぁかぁらぁ……言う相手が違うっつってんだよ…」
ニヤリと笑って。
「……そうか…」
チラリと振り返る祐一も又、微笑っていて。
「けど」
真弘は声を一段落とす。
「あんまりこいつを泣かせるな。――俺はこいつが泣いてるのなんか見たくないんだ。………俺だったら、こんなに泣かせたりしないぜ?」
「……………」
「……ま、だけどな」
そして一つ息をつく。
しょーがない…という面持ちで。
「こいつは泣きながら言うんだ…お前が好きだって。…お前が好きだって…泣くんだよ…。だったら………俺に出来ることなんて、1つしかないだろ……!」
話を聞いて。
笑い飛ばして。
背中を押してやる。
次の一歩を踏み出せるように。
今の不安を……どこか遠くに吹き飛ばしてやるだけ…。
「…悪いが……これだけは譲れない」
「ったりめーだ、バカ!―――もしそんな事言いやがったらまず一発殴ってから、絶交だ…お前とは!」
「――――出来るのか…?お前に…」
真弘の言葉を聞いて、艶然とした笑みを口元に浮かべながら祐一は聞き返す。
この面倒見のいい幼馴染が…今までに誰かと絶交した話など終ぞ聞いた事はない。
その性格ゆえに大ゲンカをする事はしょっちゅうなのだが…。
う…と詰まって真弘は祐一を見る。
「…にゃろう!…余裕ぶってんじゃねーよ!」
そしてビシっと祐一を指差して、
「お前に足りないのは言葉だ!…俺様みたいにお前のプロじゃねーんだよ、そいつは!……だから、全部言葉にして伝えてやれ!…分かったな!!」
祐一の肩が少し揺れていたのが気に入らないが、それだけ言うと真弘は屋上を後にした。
「―――聞いていたか…?」
「………ハイ……聞こえました……」
真弘が去って祐一は珠紀に声をかける。
するとゆっくり身を起こし珠紀が祐一を見上げた。
その目が少し…赤い。
「……俺は言葉が足りないらしい…」
「真弘先輩は多すぎです…」
温かい協力者の事を思い微笑む。
そんな珠紀の頬に祐一は手を添えて、
「俺は今まで…自分の思いを言葉にすることが無かった…その必要がなかったから……。
でもお前には、沢山伝えたいと思う。
お前の事が好きだという気持ち。
誰よりも愛しいと思うこの感情。
側にいてお前を守り…抱きしめたいというこの想いを……受け取ってくれるだろうか…」
まっすぐに自分を見つめる金色の瞳の中に…嘘偽りのない真摯な想いを感じ取って。
珠紀は自分の頬に触れる祐一の手に自分の手を重ね、まっすぐ見つめ返した。
そして、静かに頷く。
「私も……祐一先輩の事を誰よりも大切に想っています。…大好きです、先輩。――私の想いも、受け取ってくれますか?」
「あぁ…喜んで…」
珠紀の言葉に微笑んで頷くと、祐一は珠紀を自分の胸に抱きいれて囁いた。
「誰よりもお前を…愛している――珠紀…」
- 終 -
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現在お礼文3件UPしています!
(超小ネタSSSより OZMAFIA1・緋色1・
ブラコン1・2013.8.13.)
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お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。
こちらで取り扱いますゲームの内容やそれに関連する創作SSに関しましては、製造元などとは一切関係がございません。あくまでも個人的に書き連ねているものですので、ご理解・ご了承のうえお楽しみ下さいませ。
なお、内容に関しましては無断転記等一切ご遠慮下さいますようお願いいたします。