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いらっしゃいませ! このブログでは、カヌチ二次創作(緋色の欠片、ウィル・オ・ウィスプ、ラスエス3他)、乙女ゲームの感想など、管理人ベルルの暴走気味の妄想をつらつらと書き綴っております。現在「三国恋戦記」絶賛応援中です!!     -since 2009.7.25-
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……ナゼこうなったのか、自分でも分からないんですが。
気づいたら、こうなってました(苦笑)。

まさか、本命CPのシリアスなSSを書く前に、こんなややこしいSSを書くとは夢にも思いませんでしたが(^^ゞ。
うーん、多分アレですね。
他ルートでの真弘先輩が原因です(笑)。
(自分も想ってるクセに)なんだか応援団長のように頼もしい先輩を見せつけられたので(^^)。

ついでに言いますと。
真弘先輩・祐一先輩のコンビも大好きです。
ここの友情部分について、もっと突っ込んで書こうかとも思ったんですが。
今はこれまでにしておきます^_^

それでは、お楽しみ頂けましたら幸いです♪




「……ったく、しょーがねぇなぁ…」

放課後――いつもの屋上で。
真弘はポツリと呟いた。
視線の先にあるのは当代玉依姫の…寝顔……。
いつもお昼を食べるベンチで一頻り、泣きながら言いたい事を言って。
それを合いの手を入れながら聞いてやって。
しばしの沈黙の後……微かに聞こえてきた寝息…。
目元が少し腫れて、睫毛には先ほどまでの涙の名残が一粒。
「――――安心しきってんじゃねぇよ……バカ」
しかし返ってくるのは、穏やかな寝息だけ。

ここの所いつもそう…。
鬼斬丸を封印した後、珠紀と祐一は付き合い始めたが。
どちらも相手を想いすぎて、今一歩踏み込めなくて……。
心なんてとっくにお互いしか必要としていないくせに、2人とも言葉が足りない……。
だから不安になって……でも言い出せないから、言える相手にぶちまけにくる。
そして、笑われながら背中を押されて…戻っていくのだ。―――愛しい男のもとへ…。

「…冗談じゃねーよ……いい迷惑だっつーの…」
指先で、そぅっと涙の名残を拭ってやる。
目覚めてくれたら、と願いながら…。
そうしたら…自分はまた、笑って送り出す事が出来るのに。
この想いを無理にでも押し込んで。
でも。
その瞳に光が射す事は無くて…。
「…………」
こんな所で無防備に、眠りこけるお前が悪い―――。
もしも、目覚めたら……そう言ってやる覚悟をして…。
真弘は体を屈め、珠紀の寝顔に顔を寄せる。
その唇へ。
自分のソレを重ねようと…して……。


一瞬の…無風……。
そしてガラリと変わる…空気の感触……。


「―――…遅ぇよ……」
静かな声…。
屋上の入口に立つ祐一の存在を感じ、真弘は体を起こした。
「―――眠っているのか…」
「あぁ………不貞寝だよ、不貞寝…!―――…お前が……泣かせるからだ、バカ」
「……すまない」

ようやく振り返り、見交わす瞳。
そして真弘は屋上の入口へ足を向け、代わりに祐一が眠る珠紀の元へ足を進める。
「………言っとくけど未遂だからな」
その一言に、なんの意味があるのか。
分からなかったけれど、言わずにはおれなかった。
それは自分への戒めなのか。
相手への牽制なのか。

「……真弘……」
珠紀を見つめながら祐一は静かに声をかける。
「…俺は……お前が好きだ…」
「んぁ!?……てめっ……言う相手が…」
「だがそれ以上に…珠紀を想っている……」
静かなその言葉にはしかし、それ以上の強く激しい感情が隠れていて…。
長い付き合いで…そんなことも分かってしまったりして…。
真弘は肩をすくめて祐一を見る。

「だぁかぁらぁ……言う相手が違うっつってんだよ…」
ニヤリと笑って。
「……そうか…」
チラリと振り返る祐一も又、微笑っていて。
「けど」
真弘は声を一段落とす。

「あんまりこいつを泣かせるな。――俺はこいつが泣いてるのなんか見たくないんだ。………俺だったら、こんなに泣かせたりしないぜ?」
「……………」
「……ま、だけどな」
そして一つ息をつく。
しょーがない…という面持ちで。
「こいつは泣きながら言うんだ…お前が好きだって。…お前が好きだって…泣くんだよ…。だったら………俺に出来ることなんて、1つしかないだろ……!」
話を聞いて。
笑い飛ばして。
背中を押してやる。
次の一歩を踏み出せるように。
今の不安を……どこか遠くに吹き飛ばしてやるだけ…。

「…悪いが……これだけは譲れない」
「ったりめーだ、バカ!―――もしそんな事言いやがったらまず一発殴ってから、絶交だ…お前とは!」
「――――出来るのか…?お前に…」
真弘の言葉を聞いて、艶然とした笑みを口元に浮かべながら祐一は聞き返す。
この面倒見のいい幼馴染が…今までに誰かと絶交した話など終ぞ聞いた事はない。
その性格ゆえに大ゲンカをする事はしょっちゅうなのだが…。

う…と詰まって真弘は祐一を見る。
「…にゃろう!…余裕ぶってんじゃねーよ!」
そしてビシっと祐一を指差して、
「お前に足りないのは言葉だ!…俺様みたいにお前のプロじゃねーんだよ、そいつは!……だから、全部言葉にして伝えてやれ!…分かったな!!」
祐一の肩が少し揺れていたのが気に入らないが、それだけ言うと真弘は屋上を後にした。


「―――聞いていたか…?」
「………ハイ……聞こえました……」
真弘が去って祐一は珠紀に声をかける。
するとゆっくり身を起こし珠紀が祐一を見上げた。
その目が少し…赤い。

「……俺は言葉が足りないらしい…」
「真弘先輩は多すぎです…」
温かい協力者の事を思い微笑む。
そんな珠紀の頬に祐一は手を添えて、
「俺は今まで…自分の思いを言葉にすることが無かった…その必要がなかったから……。
でもお前には、沢山伝えたいと思う。
お前の事が好きだという気持ち。
誰よりも愛しいと思うこの感情。
側にいてお前を守り…抱きしめたいというこの想いを……受け取ってくれるだろうか…」

まっすぐに自分を見つめる金色の瞳の中に…嘘偽りのない真摯な想いを感じ取って。
珠紀は自分の頬に触れる祐一の手に自分の手を重ね、まっすぐ見つめ返した。
そして、静かに頷く。
「私も……祐一先輩の事を誰よりも大切に想っています。…大好きです、先輩。――私の想いも、受け取ってくれますか?」
「あぁ…喜んで…」
珠紀の言葉に微笑んで頷くと、祐一は珠紀を自分の胸に抱きいれて囁いた。

「誰よりもお前を…愛している――珠紀…」


 - 終 -

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乙女ゲームもブログもまったくの初心者が管理人をしております。
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