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いらっしゃいませ! このブログでは、カヌチ二次創作(緋色の欠片、ウィル・オ・ウィスプ、ラスエス3他)、乙女ゲームの感想など、管理人ベルルの暴走気味の妄想をつらつらと書き綴っております。現在「三国恋戦記」絶賛応援中です!!     -since 2009.7.25-
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お久しぶりの、ラスエス3から 柊いずみ です!

ネタ自体は随分前から頭の中にほわ~んとあったんですが、なかなか形にする覚悟というか、気持ちの方向が定まらなくて。
ようやく書き始めて…なかなか書き終わらなくて、ようやくUPにこぎつけました^^。

柊さんに諏訪部さんのお声はすっごく合ってると思うんですが、諏訪部さんのあの色っぽいお声は…作ってああなのでしょうか?
それとも地のお声があんなに素敵なのでしょうか…?
公瑾もそうだけど、この系統の声には勝てないんですよね(笑)。
ED後のギャラリーとかシーン回顧とか。
何度も見て萌えてます~vv

それでは。
長くて申し訳ないのですが、お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m
 



ざわついた店内で、一瞬時が止まったのかと思った。
「姫?どうかしました?」
柊さんが私の様子をうかがうけれど、私の心は急に冷えて…。
「なんでも、ないです。―――あの、酔ったみたいなので、少し外の空気を吸ってきます」
私に触れようとするその手から逃れるように席を立って、私は店を出た。

―――どうして、気付いたんだろう。
今日の柊さん…いつもと香水が違ってた。 割とお客さんから色々プレゼントされてるみたいだけど、柊さんが香水を変えたことって1度もなかったのに。
それとも私と逢う時はコレで、他の人とは別のとか使い分けてるのかな?
柊さんならそれくらいやりそうだけど…。
どうして、こんなことで心がざわつくのかな…?
カッツェの近くの自販機の前でそんな事を考えていると。
「あれ?いずみさん、入らないの?」
酔ったお客さんをタクシーに乗せて帰ってきたつばさ君に声をかけられた。

「え、と、ちょっと…しんどくて」
「??具合悪いの? なら店長に言って、奥で休んでたら?」
「うぅん、このまま帰ろうかなと思って。 あの、荷物取ってきて…ってお願いしちゃ、ダメ?」
「いいけど―――理由によるかな? ボクも店長に恨まれるのはヤだし」
私の言葉に頷きつつも、注意深くつばさ君は探りを入れてくる。
それはそうよね。
一時留まるかどうかのお客より、職場環境の方が大事だもの。
「あの…笑わない?」
「内容によるかなぁ?」
「もう! 意地悪…!」
「ハハ、ごめん、冗談! いずみさんがそんな顔してるの珍しいから……ゴメンね! で?店長と何かあったの??」
さらっと私の気分を方向転換させて、軽くさせてくれる…。
こういう所がつばさ君は上手いなぁ…。

「別に何も…。ただ」
「ん?」
「香水――変えたのかなって…。 今まで変えたりしなかったから。…その、誰かから貰ったものを身につけて…っ!」
そうだ―――言葉にしたら急に何がモヤモヤしてたのかが、分かった。
香水―――身につける、その香りが『他の誰かのモノ』って……感じてしまったんだ。
私じゃない…誰かのモノ……。
そんなふうに思ったら急に柊さんを遠く感じてしまって、変わらない笑顔を向けられるのが苦しくなったんだ…。
「い…いずみさん!?」
ようやくそう気づいたら涙があふれていて。
慌てるつばさ君には悪いけど、私はポロポロと涙をこぼしていた。

「ごめっ……すぐ、止めるから…」
「いいけど。―――あの、さ」
困ったように私を見ていたつばさ君は、不意に私の肩を抱き寄せる。
「え!?なに!?」
「シ!…そっと顔をあげて? 道の向いに居る客引きの男…見えるでしょ?」
戸惑う私の耳元につばさ君はそう囁く。 言われた先に視線を移すと、黒のスーツに身を包んだ男性が、道行く人を眺めている。
「うん…それが、何?」
「あの人実はさ…ここしばらくずっと店長につきまとってるんだけどね」
「!?え…? 何?よくわかんない……どーいう事?」
つばさ君の言葉に私は耳を疑う。

「だからさ―――あっち系の人らしいんだ。 で、店長に惚れたらしくて、しつこいんだって…お誘いが。 今日はプレゼントに持ってきた香水を吹っ掛けられたって、言ってた」
「……それって…」
「だから、いずみさんの気の回し過ぎだと思うよ?」
「―――――」
「っていうかさ、良い機会だからアイツに思い知らせてやったら? 店長にはもう決まった相手がいるって」
「!で、でも…そんなの、他のお客さんだっているのに」
「大丈夫!あいつにだけ見せつければいいんだよ♪ ココならあいつからはバッチリ見えるしね」
やたら楽しそうに見えるのは気のせいじゃないと思う。けど。
私はもう一度通りの向こうに視線を向ける。
「お、やる気になった? んじゃ、店長呼んでくるね~」
そう言ってつばさ君はカッツェに戻っていった。

1人になって、ドキドキして柊さんを待つ。
でも、見せつけるって? 見せつけるって言ったら…もしかして、アレ?
うぅ…そんな事したことないし!…デモ、同性以外に男の人までライバルなんて…対処のしようがないし!
柊さん―――怒らないかな…?
ぐるぐると色んな事を考え過ぎてパニックになりそうな所で店のドアが開いて、つばさ君に背を押された柊さんが出てきた。
「おやおや、ずいぶん長い酔いざましですね?」
相変わらずの態度で小さく私を非難する。
そんな柊さんの後ろから、つばさ君が身ぶりでGOサインをだした。
「…いずみ…?どうかし…!」
私の様子がおかしいのを見て一歩近づいた柊さんのスーツの襟元をぐいと掴んで引き寄せると、私はもう大博打を打つような気持ちで柊さんの唇に自分のそれを重ねた。

「!!」
(っ…歯、が当たっちゃった…)
流石に、相手の胸倉をつかんでキスをしたことなんてないから…距離感とか力加減がわからなくて、キスというよりは噛みついている…みたいな感じがしたかも知れないけど。
ほんの数秒…そうして強引なキスをして―――あまりの恥ずかしさに顔にのぼる熱を抑える事ができなくて、私は真っ赤になって柊さんから目を逸らして俯いてしまった…。

「―――まったく…なんて乱暴なキスをするんでしょうね、わたしの姫は…」
頭の上からそんな呆れたような声がしたのと、ぐいと顎を捕えられたのはほとんど同時で。
何事!?と目のあげたその先には柊さんの顔が迫っていた。
「!!な、に…っ」
「いつもしてるでしょう? キスは―――このように奪うんですよ…」
「んっ…!」
そうしていつも以上に力強く…激しく、唇を奪われた―――。

私を逃がさないように腰に廻された手に更に力が込められて、意識とは反対にお互いの体はピタリと密着していて。
差し込まれた舌が…私の感じるところを執拗に攻める。
頭の後ろの方が熱く痺れて何も考えられない。
もう何もかもどうでもいいと思えるくらい、そのキスは私を酔わせた―――。
「何のつもりか知りませんけど…見物料をとりますよ?つばさ…」
膝が折れて立っていられなくなった私を胸の中に抱きとめて柊さんがそう言うのを、私にはどこか遠くの方で聞こえた気がした…。


「だって…店長が誰かを襲う事はあっても、誰かに襲われることなんてないでしょ?」
後日―――悪びれずに彼は言った…。

「それって……分かってて嘘の情報を話したってこと?」
「うーん、全部ホントのことだよ? そっち系の人に迫られてたのもホントだし、渡されたプレゼントの香水を強引にふっかけられたのもホントだし。 ただ、全てが【同時】には発生していなかっただけのことで♪」
どうやらあの時つばさ君に示された男性は、本当は全く関係のない人だったらしく。
つばさ君のいたずらにいいように利用されたのだと知ったのは、後になっての事…。
(この子…策士だわ)
私が呆れて彼を見ると、彼は更に聞き捨てならない事を言った。

「でも、意外といい絵が撮れたんだよ?」
「え!?」
「あれ?店長から聞いてない?? いい記念になると思って写メを撮ったんだけど」
「!? 写メ!?」
「うん、でも店長の携帯に送ったら、すぐにボクの携帯取り上げられちゃってデータ丸々消去されて返ってきたから…もうボクの手元には無いんだけどね?」
「~~~っなにそれ…!/// 人権侵害!肖像権の侵害よ!」
「あはは~、そーだよね? 唯一のデータをアノ店長に握られちゃぁね?」
軽く笑い飛ばしてくれるけど。
違う!
論点はソコじゃない!
けど、確かに柊さん相手じゃ分が悪すぎる。

「何よ!人事みたいに!! つばさ君!どーしてくれるの!?」
「でも店長はご機嫌だったから、結果オーライでいいんじゃない?」
「それは!つばさ君だけでしょ!!」
「おや、2人とも、仲がいいですね」
「!!」
他の指名を終えて、柊さんが卓にやってくるとつばさ君はあっさりと席を立った。
「…じゃ、ボクはこれで」
「つばさ――2度目はないですよ?」
「……は~い」
「(お、嚇されてる?)」
「姫?どうしました?」
私の方へ向き直り、柊さんは少し楽しげに聞いてくる。

「/// 携帯!!」
「はい?」
「携帯に……あの時の写メが残ってるんでしょう? つばさくんから取り上げた」
「ええ、ありますよ。 見たいのなら転送しましょうか?」
「そ、そうじゃなくて! 消去!!してください!」
「イヤですよ、大事な証拠品ですからね」
予想通りあっさりと突っぱねられる。
「!? な、なんの証拠ですか!?」
「そりゃもちろん、あなたに熱いキスを奪われた、証拠にね?」
「っ…う、奪うも何も…その後存分に奪い返してたじゃないですか!!」
「そうでしたっけ?…あぁ、その証拠写真もありましたっけね…」
い、一体いくつ写メを撮ったのよ~、つばさ君は!!

それから柊さんは私の肩を抱き寄せて、
「つばさにはきつく言っておきましたけど、あまりあのテのいたずらに乗せられないようにして下さい。 貴女に悪戯していいのは、わたしだけなんですからね…」
声を落として低く囁かれると私の鼓動は一気に早くなる。
「///どうして―――悪戯って分かっててあんな…」
「ふふ…姫があんなふうに妬いてくれる事なんてないでしょう? どうせ嫉妬するなら、その身を焦がすほど激しく―――嫉妬してほしかったので」
「―――」
「それにしても…」
そして意味深な視線を私に向ける。

「奪われるより奪うほうが性にあっているのですが、貴女に奪われるのは―――なかなか良かったですよ?」
「!!!」

「貴女になら―――イロイロ奪われてもいいと、思いました」
「!!も、もう、しばらくはあんな事!しませんから!!」
動揺して、慌てて否定した私の言葉に柊さんは笑いながら、
「おや、ほとぼりが冷めた頃、また奪う…というのですか?」
「!そ、そう言う訳じゃ…」
「ふふ、楽しみに待っていますよ?」
「うぅ~~~///」
完全に手の上で踊らされている敗北感に満たされながら私は柊さんを見上げた。
そして鼻をくすぐるいつもの香りに妙な安心感を覚える。
―――これは、もしかして…。
「どうしました?」
「いえ!! なんでも…」

慌てて視線を反らしながらも、認めたくない事実に気付いてしまってショックを覚える。
―――もしかして……私、柊さんの匂いに慣らされてる、のかな?
こうしてこの香りが傍にあることに安心するなんて…。
これって柊さんの思う壺なんじゃ…!
…でも―――悔しいから、柊さんには絶対に言わないでおこう…。


THE FIN

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乙女ゲームもブログもまったくの初心者が管理人をしております。
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