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いらっしゃいませ! このブログでは、カヌチ二次創作(緋色の欠片、ウィル・オ・ウィスプ、ラスエス3他)、乙女ゲームの感想など、管理人ベルルの暴走気味の妄想をつらつらと書き綴っております。現在「三国恋戦記」絶賛応援中です!!     -since 2009.7.25-
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基本に帰って、 カヌチ から、シンアキSSです!^^
ここのとこラスエスが続いていたのでね……やっぱ基本は大事ですよ(^^ゞ

時々、シンはどこまでアキを甘やかすのかな~??と自分でも首を傾げてしまうのですが。
でもきっとシンのことなので、迫るときは容赦なく攻めてくるでしょうから、そこら辺でバランスがとれるのかな…と(苦笑)

とりあえず。
お約束の状況を、お約束の展開でご提供いたします~m(__)m
………お楽しみ頂けましたら幸いですっ^^。

 



空はピーカンに晴れていて。
どこまでもどこまでも風が通り雲が浮かぶそんな空の下。
心がウキウキして、きっと何かいい事がある…。
そんな予感がしていたのに……。


「あれ?……アキちゃん?おーーい、アキちゃーん!?」
アキと2人で出かけた採取地で、シンは採取かごを前に立ち尽くす。
ついさっきまでこの付近で素材を掘り返していたはずなのに、今アキの姿は見える範囲には無い。
「あれれ?ドコまで行っちゃったのかなー??」
鍛冶に関することならば、他の誰にも負けない程の勢いで熱中してしまうアキの事だから……素材探しに夢中になり過ぎて森の中へ踏み入ってしまったのだろうけど。
「……こりゃ早いとこアキちゃんを回収しないとね…」
シンはいつも携えている愛剣を確認すると森へと足を向けた。

「あ……あれ?」
手ごわい素材を掘り出して、満足げに一息ついたアキは我に返って辺りを見廻す。
「……シンさん?……はぁ…またやっちゃった……」
戦利品を手に大きく溜息をつく。
「…ダメだなぁ…私。…シンさん、心配してるだろうな……」
わざわざこんな所までつきあって貰っているのに、ここまで存在を忘れて素材探しに夢中になるのもどうだろうか?
シンは優しいからそんなことで怒ったりしないだろうが……甘え過ぎるのもいい加減にしないと、本当に愛想を尽かされるかも知れない。
そう思い、自分の行動を改めようと決意したアキだったが、珍しい素材の大きな塊に彼女の眼は釘づけになっていた……。
それは―――むき出しの崖から半分程姿を現していた。

森に入ってしばらくしてようやく、シンはアキの影を見つけた。
といっても、それは崖の下から、むき出しになった素材を目指してよじ登ろうとしている姿で…。
シンは慌てて現場へ足を向ける。
「……アキちゃん!!」
「シンさん!?」
「あ、危ないよ!俺がとってあげるから!」
シンが辿り着いた時にはもう、アキは自身の背丈ほどの高さまで登っていて。
「もう…ちょっとなんです……だいじょ…ぶ」
アキの右手が懸命に伸びて素材をつかむ。
風化してもろくなった岩盤からソレはポロリと外れて。
しかし同時にアキが足場にしている岩肌も同じような状態で…素材を獲ったと思った瞬間にアキの体を支えていた岩が鮮やかに崩れ落ちた。

「!?キャ…!!」
「アキ!!」
バランスを失ったまま重力に任せて落下しようとする体。
受身も天地も捉えきれないままアキの体は強い衝撃を受けた。
「!!!ッ…!」
けれどそれはあり得ない柔らかさを伴っていて……頭の上から深く長い息が吐き出されるのをアキは感じた。
「……………シン…さん…?」
恐る恐る顔を上げるとシンの腕が我が身を捉え、彼の胸の中にすっぽりとおさめられていた。

「…ふぅ~…間一髪…だったね…。けがはない?…どこか、痛くしてない?」
彼女の落下地点に滑り込んで抱きとめて…シンは安堵の溜息を吐く。
「あ…あの、スミマセン!私は大丈夫です!それよりシンさんが」
「へーき、へーき……そんな軟(やわ)な鍛え方はしてないから。……でも」
もう一度深く息を吐いて、シンはアキの頬をそっと撫で、
「ホントに痛いとこ、無い?……ここは?」
それから肩口や背中、腰のあたりまでそっと撫で擦る。

「っ…だ、大丈夫…です……っシン…さん!」
体を触れられている事を妙に意識して身を縮め、見る間に真っ赤になってアキはシンの手から逃れようとするけれど。
「ホントに無事なら―――いい…」
「シンさん!!?」
小さくつぶやいた瞬間に恐ろしいほどの力で抱きすくめられた。

「―――ね…アキちゃん…」
頭の上からは…何かを押し殺したような低く静かな声が届く。
「…俺の前でだったらどんな無茶をしてもいい。…何があったって、俺が君を守ってあげられるから。けど―――こういうのはもう…無しにして?…俺の目の届かないところでこんな無茶―――マジで心臓がいくつあっても足りない……」

抱きしめる腕に更に力が込められて。
息苦しささえ覚えるのに……どうしてだろう。
シンにこんなことを言わせている自分がどうしようもなく腹立たしくて、情けなくて。
「ゴメンナサイ…シンさん…!ごめん…なさい…迷惑ばかりかけて…」
「違うよ…怒ってるんじゃないんだ。ただ俺が―――怖いだけ。…ハハ…情けないね?」

かすれたつぶやきの中には、どれほどの想いが込められているのだろう。
「シンさん…」
アキはそっと手を伸ばしてシンの背中にまわすと、きゅっと抱きしめた。
「ごめんなさい…もう、しないから……シンさん…ごめんなさい」
シンの広い胸に身を委ねながらアキは心の底からの後悔と感謝を込めて、何度も何度もシンに謝った。

随分長い時間―――2人はその場で抱き合ったまま身動きしなかった。
しかし太陽の陰りを感じると、ようやくシンはアキを抱きしめる腕をゆるめて。
「……ゴメンね…採取、あんまり出来なかったね…」
「そんな…!私の方こそごめんなさい!……シンさん…シンさんこそ本当にケガしてないですか!?」
「大丈夫だよ……心配性だなぁ?」
「シンさん……」
「……ごめん……ありがとう、オレの心配してくれて。でも本当に大丈夫。―――大丈夫じゃないのは…オレのココかな?」
そう言ってシンは自分の胸を軽くトンと叩いた。

「……シンさん…」
「……ね、アキちゃん…忘れてるかも知れないけど………君は俺の大事な大事な女の子なんだからさ…?1人の時はあんな無茶しないって…約束してくれる?―――俺の為に…」
「……はい」
真剣なシンの瞳に、頷く以外の答えなんて存在しない。
アキがシンの瞳を見つめ返し真剣な表情で頷くと、シンはようやくほっとしたような表情になり笑みをこぼした。

「さ、じゃあ…帰ろうか。街まで戻ったら陽が暮れちゃうね…」
「………シンさん……私…」
「ん…」
アキを起こし自分も立ちあがるとシンは手を差し出した。
「え?」
「……手…繋いで帰ろう?……今は君の手を、離したくないんだ」
「……」
おずおずとアキの差し出した手を、力強く握りしめてシンは森の外を目指し歩き出した。
その後に続き、アキは心の中がひどく切ない…けれど温かい想いでいっぱいになっていることに気付く。
そして…。

「―――シンさんっ」
「!?」
繋いだ手を引き寄せて、シンの腕に抱きつく。
「アキちゃん?」
「今度からはちゃんと、シンさんの側で無茶します!!だから……いつも私の側にいて下さいね?」
「―――――…くす……お手柔らかに頼むね…?」
その言葉に苦笑を洩らし、けれどどこか嬉しそうな響きの声で答えるとシンはそっとアキの額に口接けた。
それからお互い顔を見合わせて笑い…森の外へと再び歩き出した。


ピーカンだった空は陰り始め…ほんのり赤みを帯びている。
強く握った手と寄り添う心を抱えて2人は街への帰路を辿る。
しかしその歩調は急ぐでもなく……。
2人で行くその道程を楽しむように時折瞳を見交わして…。
それから――――いつもよりずっと軽い採取かごを持て余すようぶらぶらと振りながら足を進めたのだった。


♪BGM with 【Mr.Children:抱きしめたい
……抱きしめたい 溢れるほどの 想いが こぼれてしまう前に…

THE FIN

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自己紹介:
乙女ゲームもブログもまったくの初心者が管理人をしております。
お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。

こちらで取り扱いますゲームの内容やそれに関連する創作SSに関しましては、製造元などとは一切関係がございません。あくまでも個人的に書き連ねているものですので、ご理解・ご了承のうえお楽しみ下さいませ。

なお、内容に関しましては無断転記等一切ご遠慮下さいますようお願いいたします。
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