書こう、書こうと思っていた温泉シリーズも流聖分がやっと仕上がりました(^^ゞ。
ネタ的に少し弱い(他の2人に比べると)ですけど流聖はどうしてもヒネリが無いので、そうなってしまう…。
でも、書いちゃうんだよね…(*^_^*)
でも、反省!! > この時季に温泉はないわ!
書きながら 「暑い!暑くて『熱』とかありえない!!」 ってPCの前で悶えてしまいました~(苦笑)。
や、季節感は大事です…(^^ゞ
それでは。
お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m
部屋で一人で待つのは好きじゃないから、一緒に風呂に行こうよ。
流聖さんと温泉に来て、交代で温泉に入りに行こうと言ったら、そう言われてしまった…。
時間を決めて出てきたら、大浴場の前の休憩スペースで落ちあえるから、と。
(…知らなかった…結構流聖さんって、寂しがり屋なのかな??)
友人や家族と温泉に行くときでさえ、時間をずらして入るのが当たり前だった私は、流聖さんの「部屋で一人で待つのは好きじゃない」発言の意外性に顔をほころばせてしまう…。
「…ちょっと早く出すぎちゃった…」
普通に考えて、女性の方が身支度に手間がかかるから慌てて出てきたけれど、休憩スペースには流聖さんらしき人影は見えなくて。
大きな窓の側にあるベンチに座り、いつの間にか降り出した雨だれを聞きながら、ふと昔聞いた歌を思い出していた。
若い恋人同士の2人がお風呂屋さんへ行った時のことが歌詞にあった歌…。
「ふふ…ちょっと似てるなぁ…」
その歌を頭の中で歌っていると、
「ごめん!待たせたね!?」
男湯ののれんをくぐって、私を見つけた流聖さんは慌てて駆け寄ってきてくれた。
「大丈夫です、そんなに待ってませんから」
見ると洗いざらしの髪から水滴が落ちている。
美容師でもあるこの人が、髪を十分にふかないまま慌てて身支度を整えて出てきてくれたんだと思うと、なんだか嬉しいような申し訳ないような…心の中がくすぐったい気持ちでいっぱいになる。
「なんか、慌てさせちゃったみたいで、髪から水滴が……。ちゃんとふかないと」
使っていないタオルを取り出して、流聖さんの頭から被らせてふいてあげる。
髪の先から零れる水滴が浴衣の肩口を濡らしていた。
「いや、本当にゴメン。 サウナに入ったら、先に入ってた人となんか…ガマン大会みたいになっちゃって」
「サウナ、でガマン大会って、大丈夫なんですか!?」
「うん、俺はね」
「え!?」
「あぁ…冷たくて気持ちいいな…」
タオルを乗せてあげた私の手を捕まえて流聖さんは、にっこり笑ってそのまま―――自分の頬にあててしまった。
「り、流聖さんっ…」
なんていうか……こういう事、自然にしちゃうあたりが流聖さんらしいっていうか…。
大人で、スマートな行動をするかと思ったら、自然に甘えてこられたりして。
一緒にいるといつも当たり前のようにドキドキさせられて―――私、もうすでに何年か寿命が縮んでいると思う…!
「ん?」
「え?」
私の手を頬にあてたまま、流聖さんは表情を改める。
何だろう…?
何か…おかしかったかな?
「!」
それから徐(おもむろ)に流聖さんは私を体ごと抱きしめた。
「あ、の…?」
「―――随分……待ったんじゃないの? こんなに体が冷えている…」
突然の行為と耳元での低く甘い囁きにびっくりして…ドキドキが加速する。
「へ、いきです…流聖さん…」
少しは冷えたかもしれないけれど、こんな風にするのは大袈裟すぎると思う、のに。
流聖さんは私を抱きしめる腕にさらに力を込めて、
「手だけじゃないよ…。 肩も背中も―――風呂上りなのに、こんなに冷えてる。 これじゃ君の方が湯冷めして風邪をひいてしまうよ」
ギュゥと抱きしめられて。
湯上りホカホカの流聖さんの熱に包まれて。
恥ずかしいけれど、こんな風に心配されたりするとうれしくなってしまう…。
「さっき………昔の歌を思い出してたんです」
「ん?」
「恋人同士の2人がお風呂屋さんに行って…出てくる時間を約束してるのに、いつも女の子の方が先に出て待たされちゃう…っていうちょっと古い歌…。 雨だれを聞きながら流聖さんを待っていて、なんだかその歌をふと思い出してたんですけど―――やっぱり歌とは違うって今思います…」
「うん?」
「だって……こんな風に温めてくれて、こんな風に気遣ってくれて…。 あの歌の恋人たちより流聖さんの方がずっとずっと私を想ってくれてるって思ったら―――私、すごく幸せだな…って感じて…」
「……いずみ…」
私の言葉に流聖さんは腕の力を少し緩めて、顔を覗き込んできた。
「顔、赤いね?…もしかして熱がある??」
流聖さんの真剣なその表情に、私は思わず頬を膨らませていた。
ひどい…。
人が本当にそう思って…素直に言葉にしたのに。
信じてくれないなんて。
「ゴメン! なんか、すぐに信じちゃったら、『冗談です』って言われた時…立ち直れないなと思って。 いつもはこんなに素直に気持ちを伝えてくれないだろう? だから、ちょっとだけ誤魔化してみたんだ…嬉しい気持ちを」
「む~~~、もういいです」
私が拗ねたようにそう言うと、流聖さんは笑いながら私の顎に手を添えて……あっという間に唇を重ねてきた。
「ん…っ……」
拗ねた私の気持ちを浮上させるには十分すぎるくらいの……甘いキス…。
「…怒った顔もそそられるな…。 続きは、部屋に戻って布団の中で―――たっぷり気持ちを込めて埋め合わせするから…ね?」
そんなふうに囁くから、熱が冷めない顔を俯けて私は無駄と知りつつも小さく抗議する。
「///そ、そういう事を言ってるんじゃ…ない、です…」
「俺の熱で君のこの冷えた体を、あっためてあげるよ…」
私の言葉なんて全然聞こえていないフリをして、自分の着ていた羽織を脱いで私の肩からかけると、流星さんは漸く私を解放してくれた。
「さ、戻ろうか…」
流聖さんの体温を含んだ羽織に包まれて、俯いたまま私がうなずくと流聖さんはその大きな手で私の手をひいて歩き出した。
熱に浮かされた私の耳には、ただ雨だれの音だけが大きく響いていた…。
-終-
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現在お礼文3件UPしています!
(超小ネタSSSより OZMAFIA1・緋色1・
ブラコン1・2013.8.13.)
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お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。
こちらで取り扱いますゲームの内容やそれに関連する創作SSに関しましては、製造元などとは一切関係がございません。あくまでも個人的に書き連ねているものですので、ご理解・ご了承のうえお楽しみ下さいませ。
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