………我が家では…23日に1日早いクリスマスをしたので。
実はもうクリスマスは終わったと認識していたのですが……。
まだまだ、クリスマスは終わりません(爆)
ということで、ウィスプから、ジル×ハンナ…行ってみましょうか^^。
…お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m
―――あぁ…歌が…聞こえるわ…
これは…carol……クリスマスキャロルね……
遠ざかっていく歌声につられるように私は目を開ける。
横になっている私の傍らには、私の手を握って祈るように額にあてていた愛しい人の姿……。
「…ジル…?」
私の呼び声に彼は跳ね上がるように顔を上げ、私の顔を覗き込んだ。
「…姫…!あぁ…よかった……どこか痛む所はない?…苦しい所は…?」
そっと私の額にかかる前髪をかきあげて、感情を押し殺した静かな声で尋ねる。
けれどその声は少し震えていて、その表情はとても憔悴していた…。
もともと白い肌の色がより一層白く見えるほど、血の気がひいていて、その様子に私はどうしてこうなったのかを思い出し、慌ててジルに謝った。
「ごめんなさい、心配かけて…。私は大丈夫だから…」
そんな顔をしないで…と続けようとする私の言葉を遮って、彼は身を起こそうとする私を制する。
「急に動いてはいけないよ、ハンナ。それに…わたしがついていながら、君の転倒を許してしまったのはわたしの罪だ。――――どうか、許してほしい…」
そう言って彼は瞳を伏せ、未だ握ったままの私の手の甲に触れるだけの口接けをおとす。
―――そうなのだ。
確か私は…近くの教会で行われるクリスマスのミサに出かけようとして、家の前の道でそれはもう見事に滑ってしまい……多分後頭部をぶつけて昏倒してしまったのだ。
思い出してしまうと、頭の後ろがズキズキと痛み始める…。
「許してだなんて……。私の不注意の所為なのに…」
自分を責めるジルの姿に、申し訳なさと恥ずかしさでいっぱいになってしまう…。
「―――我が姫…例えどのような状況であれ、わたしは君を傷つける全てのモノから君を守りたいのだよ……。それが例え…道端の石であってもね…。だからこそ…わたしは…自分を…」
「―――ジル…」
唇をかみ尚も自分を責める言葉を発しようとする彼を、私は慌てて押しとどめる。
「ジル…ジル!…私が悪いのよ!ちゃんとあなたの手を取っていれば…」
いつも、私には甘過ぎるくらいに優しいジル…
あなたをこんなに苦しめることになるなんて…!
あの時素直にあなたに手を引かれていれば良かった!
子供じゃないの…と意地を張ったりせずに……。
そうしたらあんな派手に転ぶこともなかったし、今こうしてジルが悲しい思いをすることもなかったのに…!
後悔の念が…胸を満たす…。
大好きな人をこんなにも苦しめていることが――痛い…。
「―――――でも君は…手を引かれるのは好きではなかったのだろう?…嫌がることを無理には…」
「嫌がるなんて、そんな事…!」
そうじゃないわ、ジル…!
そうじゃなくて……………ただ、恥ずかしかっただけなの…。
あなたと手を触れあわせたら……私の中から溢れ出るあなたへの想いが、伝わってしまいそうで。
「……では、次からは…わたしの手を取ってくれる?…我が姫」
ようやくジルはその美しい金の瞳をこちらに向け、縋るように私を見つめた。
「―――わ……分かったわ…ジル……。でも、あの…冬の間だけね…!」
根負けしてつい頷いてしまった私に、彼は安堵の笑みを向ける。
「本当に…?……ありがとう…姫」
「…少しは……安心できる?」
その表情にホっとして私も笑顔になりジルにそう尋ねると、彼はうなずいて私をそっと抱きしめた。
「でも――――もう少し、安心させて欲しいな…我が姫」
「え?……!っ…」
問い返すと同時に私の唇は塞がれて。
……それから彼の手が背中から腰へ廻されて更に強く引き寄せられ、私たちの体はピッタリと重なり合う…。
「…ジ…ルっ……!」
「―――きっと今日は……神様も不埒な行為を見咎めはしないだろうからね…?ハンナ…どうか君の温もりをわたしに分けて欲しい……。君の甘い吐息を…わたしに施してくれないか…?」
切なる願いを湛えたその金の瞳に魅せられて……。
私はYesもNoも言えなくて、ただ彼を見つめ返すだけ。
「…沈黙は肯定だよ…?……愛しい我が姫…」
再び…彼の柔らかい唇が優しく私の唇をついばみだして…。
彼の体温と私の体温が混ざり合って……更に熱を高め合う…。
家々の玄関口を回る子供たちの唄うキャロルが再び聞こえてきて。
その可愛らしい響きを聞きながら…私はジルの与えてくれる甘い毒に酔いしれた―――。
THE FIN
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(超小ネタSSSより OZMAFIA1・緋色1・
ブラコン1・2013.8.13.)
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お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。
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