Ｈａｐｐｙ Ｍｅｒｒｙ Ｃｈｒｉｓｔｍａｓ！～現代版カヌチＳＳ～（アクト×アキ）

申し訳ありませんm(__)m

こちらはルート分岐後の内容になっております。
是非前半部分をご覧いただき、ルート選択をして頂きますようお願いいたします。

このお話の前半部分はコチラ

……ルート選択にてアクトをお選びの方は、続きへお進み下さいませm(__)m

こちらは…Ｈａｐｐｙ　Ｍｅｒｒｙ　Ｃｈｒｉｓｔｍａs！～現代版カヌチＳＳ～にてアクトを選択された場合のお話です＾＾。



　→　観覧車にアクトと…


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観覧車に乗るための整理券を渡されて、アキは戸惑ったように２人の顔を交互に見る。

自分に選べと言っているのだろうか…！？
でも、そんな事…出来るはずは無い。
「じゃあ俺は荷物番してるから、アクトとアキで行っておいで…」
いつものようにそう言って、クラトは２人の背を押す。
「で、でも…」
一瞬浮かんだアキの不安げな表情を見逃さず、クラトはそっとアキに囁く。
「大丈夫だから……行っておいで…」
「……クラトさん…？」

「アクトも、ほら！ちゃんとアキの手をひいて、誘導してやるんだぞ」
アキの背をおしてアクトの方へ押し出す。
「……分かってるよ…」
面倒臭そうな顔のままアクトはアキへ手を差し出す。
「え！？」
「手！…お前、トロくせーから、こういうのうまく乗れなかっただろ…？ほら、行くぞ」
てっきり断ってどこかで行ってしまうのかと思っていたら、意外にも（乗り気ではないにしろ）拒否る事はなく…。
アクトに手をひかれて、アキは観覧車乗り場へ向かった。

さほど待つ時間も無く順番が来て。
大きな赤いカゴが目の前にやって来る。
それを緊張した面持ちで見つめるアキの頭にポンと手を置いてから、アクトは苦笑しつつ彼女の手を掴んだ。
「ほら、来たぞ」
「わ…わ…！」
係の人が開けたドアに手をかけ、アクトは体半分を先に入れるとアキの手をぐいと引っ張りカゴの中へ引き入れる。
その勢いに、アキは奥の方まで一気に突っ込んで、バランスを崩して座席にぶつかりペタンと座りこんでしまった…。

「…いった～～～…」
「マジにトロイ……ったく、スキーのリフトとか、エスカレーターとか！動いてるやつに乗り込むの…どーしてこんなに下手なんだよ、お前…」
心底呆れたように言って、アクトもアキの傍らに座りこむ。
「だって…足元が動いてたりとかって…苦手なんだもん……しょーがないじゃない…」
頬をぷぅ…と膨らましたアキを笑って見ていたアクトは、不意に表情を改める。

「？……アクトさん…？」
「…お前さ…」
何だろう？と首を傾げてアクトの言葉の続きを待つアキを…複雑な表情で見つめ、アクトはプイと視線を逸らす。
「？？なに？…何か言いかけたよね？」
いつもの彼らしくないその態度を不審に思い、アキはアクトの視線の先へ体をずらして視界に入りこんで、聞き返した。
「何でもねぇ」
「うそ、何か言いかけた！…気になるよ。言って？」

眼を合わせないままの相手に、苛立ちと不安が募る…。
「アクトさん！」
「――お前……クラトが好きなのかよ…？」
「え！？」
唐突なその言葉に……アキは返す言葉を探して…。
けれどもう、ずいぶん煮詰まっていたらしい相手はその返事を待つ時間もじれったくて…。

「！！ん…っ…！」
アキの肩を抱き寄せて顎を捉えると…その唇を奪っていた―――。

１度為らず２度までも。
突然の行為を重ねられて…。
冷静さも何も吹き飛ばされて……ただ必死になってアキはアクトの胸を押し返す。けれど、そんな抵抗などにはびくともしない程の力強さで、アクトはアキを抱きしめる。

「や…！なんで…！？」
「…好きな女とこんな密室にいたら………欲しくなって当然だろ…！」
「え…！？…え、何…？」
「何で分かんねぇんだよ……いつも…クラトばっかり頼りやがってよ…」
頭の上から響く…初めて聞くような、もどかしげな声…。
それから。
今…この人はなんて言った…？

―――好きな、女……？

「な…に、それ…私…そんなの…」
アクトの胸に顔を押し付けたまま……茫然と返す…。
一体何をどうしたら。
こんな想像だにしなかった事態になるというのか…！？
クラトの言う大丈夫とは…こういう事を含んでいたのだろうか…！？

「大体なんで…ソレで、クラトさんが出てくるの…！？」
強引なキスよりも…。
アクトの口から発せられた「クラトが好きなのか」という言葉と「お前が好きだ」という言葉は…アキを相当混乱させていて。
「―――お前がいつも…クラト、クラトってうるせーから…」

「！？そんな事無いよ！…だけど、何か頼んだり…あと、失敗したりした時…クラトさんがいつも上手に慰めてくれるから…」
「違うね…！…チビの頃からお前は…クラトにばっかり懐いてよ…。あいつの後ばっか追いかけてた…！…仕方ねーから…お前を構うにはちょっとばかしひねくれた方法しか無かっただけで……」

ホントは俺だって…いつも優しくしてやりたかった……

言葉にならなかった声が…聞こえた気がした―――。
「くそ…！…んで、こんな鈍感、好きになってんだよ…俺は…！」
苛立ちすら含んだ声…。
けれど、抱きしめる腕の力が緩められる事は無く…。

「……アクトさん…」
「…んだよ…」
「…クラトさんは確かに優しいけど…私にはお兄ちゃんみたいな人だよ…？」
「………」
「それに…ぶっきらぼうでもいじめっ子でも…アクトさんが私の事を…大切にしてくれてるのは、ちゃんと知ってるよ…？」
「何だよ…いじめっ子って…」
はぁ…と大きな溜息が背中に落ちる。
アキは少し体に力を入れて手をアクトの背に廻し、彼の体を抱きしめる。

「で―――クラトが『そう』で………俺は…どうなんだよ…」
ボソリと…呟く。
「……アクトさんは……」
アキが言葉を紡ぎ出す前。
アクトは腕を解くと彼女を見つめる。
その言葉の真偽を見極めようとするかのように…彼女の眼をじっと見つめる。

「私に……幸せをくれる人……」

頬を染め、でもしっかりとした口ぶりでアキはそう言った。
「………分からねぇ…、もっとはっきり言えよ…！」
あっさりそう言ってアクトは再びアキの顎を捉え、
「俺に…分かるように…言えよ…」
吐息と共に発せられる囁きが消える前に。
……彼女の柔らかな唇に…熱を落とす―――。

「っ……ん…アクト…さ、ん…」
「俺はお前が……好きだって言ってるんだよ…」

彼女の唇を奪いながらも………自己嫌悪の思いが胸の内に広がる…。
これではきっと…彼女の心を手に入れるなんて、無理に決まっている。
こんな風に奪われる事を望んでいない事くらい…分かってる。
けれど、もう―――。
この無防備な少女を、自由になんてして置けない。
自分でないなら早く…他の誰かのモノになってくれ…！
そんな…矛盾した思いさえ抱いていて…。

「…好……き…」
「………え……？……アキ…？」

小さな……吐息のような…声が届いた…。
それは確かにアキの声で。
聞き間違いでなければ、その音は、す・き…と聞こえた…？

「アクトさん…が…好き……」

もう一度…と請う前にアキは同じ言葉を口にした。
すっかり自分に体を預けている少女の顔を覗き込み、アクトは震える手で彼女の頬を包む。
「…もう１度……言ってくれ…」
「アクトさんが好き…。ずっと…ずっと前から……好きだったんだよ……？」
「……で…も…お前……」
「―――今日の約束……する時に…クラトさんには多分、気付かれたんだと思うの…。だからこの観覧車は、クラトさんの気遣いなんだと思う…」
「……あいつ…」
「でも…こんなの、ズルイよ…アクトさん……」
うっとりと眼を閉じて、アキは囁くように小さな声で言う。

「何が…」
「これじゃもう…アクトさんの事以外…考えられないよ……？」
「―――いいじゃねぇか…それで…」
「いいの…？……私がワガママ言うの…怒らない…？」
「そりゃ、お前…ちょっとくらいなら聞いてやる…」
「失敗したら…怒らない？」
「……２回に１回は我慢してやるよ…」
「それから…」
「まだあるのかよ…」
「私だけ、見てくれなきゃイヤだよ…？」

「―――そんなの……昔っから変わってねぇんだよ…！」
ぐっと腕に力を込めてアキを抱きしめる。
自分に刻み込むように…。
「もう…お前は俺のものだからな…」
「うん……アクトさんも…ね？」
「あぁ……」
そうして――お互いをしっかりと抱きしめあって…。
初めて恋人同士として迎えるこの聖なる夜の出来事を心の中に刻み込んだ…。

……Ｈａｐｐｙ　Ｍｅｒｒｙ　Ｃｈｒｉｓｔｍａｓ…


♪ＢＧＭ with 【ＧＬＡＹ：ずっと２人で…】
……言葉は時として　傷つけてしまうけれど　２人抱きしめた恋を　離せずに永遠の祈りを…

ＴＨＥ　ＦＩＮ