はい、後篇です。
思ってたより長くなったので、とりあえず2つに分けて。
でも構成上はこういう形になってようやく落ち着いたという感じ^^。
書き方に迷ったんです。
書いておきたいことが沢山あって。
でもソレ(書いておきたいこと)の一つ一つは、エピソードとしては微妙に弱かったので(^^ゞ。
だらだらした文章で申し訳ないですm(__)m
それでは続きの先の後篇へ。
お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m
陽が傾きかけたころ、花は公瑾と共に京城へ帰った。
帰路はなんだか口数も少なくなってしまったが、花の手の中には公瑾から贈られた蓮の花を象った櫛が握りしめられていた。
「遅いよ!公瑾!!」
城門の前で待ち構えていた小喬が公瑾にそんな第一声を浴びせた。
「すみません、滅多にない時間でしたので有意義に過ごさせていただきました」
しかし公瑾は気にした風もなくさらりと答える。
「花ちゃん!誤魔化されちゃダメだよ!」
「え?」
「恋人の大切な日を忘れていた最低男なんだからね!公瑾は!!」
「えぇ!?」
「結構な言い草ですね?小喬どの?」
「だって本当のことでしょ!さ、行こう花ちゃん!」
公瑾と小喬のやり取りを聞いてもピンとこない花は、小喬に手をひかれながらも公瑾へ救いの眼差しを向ける。
「こ、公瑾さん!?」
「いーから!ホラ!!急な話だったから、あんまり準備出来なかったけど」
そうして連れられてきた中庭には、敷物が敷かれ料理や酒が用意され、灯篭に火が入り見知った顔が幾人か集まっていた。
「え!?何の集まりですか!?」
「何言ってんの? お祝いだよ!花ちゃんの!」
「え!!??」
「お誕生日なんでしょ!」
「!!!っ…」
「もう…公瑾ってば、そんな大事なことも忘れててさ? お昼過ぎなんだよ?急に準備しておいてほしい…なんて言って、自分は花ちゃんと―――ん?花ちゃん??」
ぶつぶつ文句を言う小喬の言葉が遠のいて行く。
ぼやける視界の先には―――。
「正解…でしたか?」
少しだけ…苦い色を含んで微笑む公瑾の姿…。
「な…んで……」
声が震える。
喜べばいいのか…。
謝ればいいのか…。
沢山沢山言葉が溢れてくるのに…この気持ちを表すのに適切な表現が思い浮かばない。
どの言葉が一番この人に届くのか―――分からない。
ぽろぽろと涙をこぼす花に歩み寄ると公瑾は彼女の頬を両手で包み込む。
「私…一言も、こんな…」
「だから、自覚が足りないんですよ……貴女はとても分かりやすいんですから、わたしに隠し事なんて…無駄な事です」
「でも……」
「今日の貴女の…ちょっと不審な行動の理由を、わたしなりに考えた結果ですよ」
公瑾はそう言って、自分の推理が正しかった事に安堵の笑みを浮かべた。
きっかけは―――公瑾の仕事を手伝っていた午前中こと…。
「…あ…!」
帳簿に書きつけていた花が小さな声をあげて手を止めた。
「どうしました?…書き損じでも…?」
「ぁ………いえ…その、なんでもありません。大丈夫です」
公瑾の問いに少し慌てた風に花は答え、
「すみません、驚かせてしまって。大丈夫です、ちゃんと書き写せてますから安心して下さい」
まだ時折小さなミスをしてしまう自分のフォローも兼ねて、こうして同じ部屋で仕事をさせてもらっているのに、多忙な公瑾の手を止めるわけにはいかない。
花は済まなそうにそう言って笑い、再び帳面に向き直った。
何か言いかけた公瑾だったが、花がこちらへ視線を向けようとしないのでとりあえずはそのままにしておくことにした。
やがて仕事に一区切りつき、公瑾が花に昼食をとるよう勧めると、
「あ、あの…公瑾さん…」
花がためらいがちに声をかけた。
「どうしました?」
公瑾の視線を受けると、何だか言いにくそうに花は言葉を詰まらせた。
「?…花殿?」
「…あの!コレ…声に出して読んでもらえませんか?…出来れば、理由は聞かないで欲しいんですけど…」
がばっと目の前に差し出された紙に書き連ねられていたのは、公瑾が花から手ほどきを受けている彼女の国の文字だった。
「?声に出して、ですか?」
「は、はい…」
「…いいですよ」
紙を受取り、そこに書いてある文字を眺める。
花の教えもあって書いてある文字は読める――――が、その意味までは分からない。
およそ10文字程のその言葉は、彼女にとっては意味のある言葉なのだろう。
敢えて「理由を聞かないで欲しい」というほどなのだから、その程度の想像はつく。
一瞬、泣きそうな顔を垣間見せたことも気になるが……とにかく、彼女の望みを叶えてみれば何か掴めるかも知れない…。
そう思って公瑾が書いてある文字を声に出して読もうとした瞬間、
「やっぱり、いいです!ゴメンナサイ!!」
「!?花殿!?」
公瑾の手から紙を奪い取るや花は逃げ出すように執務室を出て行ってしまった。
「……一体…なにを…?」
あっけにとられて彼女の出て行った扉の方を眺めていた公瑾だったが、改めて花の書きつけていた帳面を手に取りパラパラとページをめくり始めた。
そして、とあるページでその動きが止まりじっと書面を眺める。
「………」
何事か考え込んでいた公瑾だったが、小さく息をつくと手早く机の上を片付けて足早に部屋を出て行った。
「―――帳面の…今日の日付を書き記した所の墨が少し滲んでいましたよ」
「たった……それだけで!?」
「それだけですけど…何か言いにくそうで、でも言いたそうな貴女の様子と掛け合わせて―――貴女自身に関する、暦の事と言えばおのずと答えは定まるでしょう?」
「でも…」
「うっかりしていました……寂しい思いをさせてしまいましたね?」
労わりを含む優しい声音がまた気持ちを高ぶらせる。
どうしてこの人はこんなにも…こんなにも、心の全てで包み込まれているような―――切ない愛おしさを、感じさせてくれるんだろう?
「いいえ、いいえ…!だって今日は、一緒に街歩きしてくれたじゃないですか! この櫛を…買ってくれました!私にとって今日は…このお祝いの席がなくてもすごく幸せで大切な一日でした…! 公瑾さんこそ…私の為に、また無理をして…」
「わたしも楽しかったですよ? あまり店を巡るような事をしたことがないので、色々な物を見たり味わったり――――それも貴女と一緒だからきっと楽しく感じたのだと思います」
「でも公瑾さん…ズルイです………こんな不意打ち…」
「ふふ…驚かそうと思ったのですから、予告なんてするはずないでしょう?」
「もう…!」
涙にぬれた顔に笑みが戻る。
見交わす瞳にお互いを映し―――その距離が近づく前に。
「花ちゃーん!主役がいないから始まらないよ~!!」
小喬の呼び声が届く。
一瞬動きを止めて少し残念な思いで微笑みがこぼれ、
「今行きます!」
そう返事して、始まろうとする宴の席へ向おうとする花の耳元へ。
「――――」
低く小さく囁き落とされた言葉に驚いて花は公瑾を振り仰ぐ。
「……公瑾さん…」
「こちらも、正解?」
花のその表情に、ニヤリと笑む公瑾の憎らしい顔…。
くやしいのに…嬉しくて。
幸せで泣きたくなる。
「もぅ いっかい……言ってください…」
誰よりも大切に想い想われるその人へ、希う…。
公瑾は微笑んで頷くともう一度囁いた―――。
はっぴばーすでい、花―――。
-終-
◇ 言い訳デス ◇
恋戦記では公式に誕生日だとか年齢だとか決められていなかったので、便宜上発売日を花ちゃんの誕生日に見立てて書きましたm(__)m。
(実際は少し遅れてのUPになりましたが…)
そもそもを言うと、あの世界で使われている「※月※日」が現代の日付とイコールではないことは花ちゃんも承知の上、でのお話です^^。
だって、お誕生日が無いと淋しいでしょ?
まぁ…あの…色々と捏造設定込みのお届けで、申し訳ありませんでした~(^^ゞ。
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現在お礼文3件UPしています!
(超小ネタSSSより OZMAFIA1・緋色1・
ブラコン1・2013.8.13.)
fxwill.com
お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。
こちらで取り扱いますゲームの内容やそれに関連する創作SSに関しましては、製造元などとは一切関係がございません。あくまでも個人的に書き連ねているものですので、ご理解・ご了承のうえお楽しみ下さいませ。
なお、内容に関しましては無断転記等一切ご遠慮下さいますようお願いいたします。