恋戦記SS > 公瑾花 です。
三国恋戦記は、PS2への移植が決まりましたね!
PCゲームからPS2への移植なんですね…PSPじゃなくて。(^^ゞ
(や、ちょっとPS2ってのが、意外でした)
と、同時に今月19日で発売1年でした!
それに合わせて書いていたはずの、発売1周年記念SSです…(汗)。
まあ、ここまでくれば かなりの捏造で(苦笑)。
急に思い立って書き始めたので中々感じが掴めていないのですが…お楽しみ頂けましたら幸いです~m(__)m
京城の城下町。
その大通りに立ち並ぶいくつもの露店を覗きながら花は公瑾と歩いていた。
(気を使って―――くれたのかなぁ…)
隣を歩く公瑾の様子を窺いながら、花は小さく溜息をついた。
花が京城の町を歩くのは初めてではない。
しかし、こうして公瑾と二人だけで出歩くのは……考えてみれば初めての事だった。
玄徳軍と仲謀軍の同盟が成立しても、まだまだ多忙を極める公瑾には「遊び歩く」時間どころか休日すらほとんど無いような毎日で。
(ダメだな…私。いつまでも公瑾さんの手を煩わせて…)
思わずもれた花の溜息に気づいた公瑾が気遣うように声をかける。
「花殿…?」
「な、何でもありません…!」
(だ、ダメダメ…!私が暗くなってたらまた公瑾さんを困らせちゃう…!こうなったら、公瑾さんに気分転換してもらわないと…)
ぶんぶんと首を振って花は公瑾を見上げた。
「お腹が空きませんか、公瑾さん…! 実は私…お昼を食べ損なっているので何か軽く…あ、アレとか食べてみたいです!」
言いながら花は美味しそうな匂いを放つ饅頭の屋台を指した。
「いいですよ、でもそれならもっとちゃんとしたものを食べられる店を…」
「違うんですよ、公瑾さん。 ああいうのを食べながら歩くっていうのが楽しい…って、ゴメンナサイ! あの…すごく、いけないコト…ですよね?」
買い食いして街歩き…なんて、元の世界では当たり前の事だったし、それを好きな人とするのは まるで下校デート―――のような軽い気持ちで口にしてしまったが、もしやこの世界では大層行儀の悪い行為なのかも…と花は提案を取り消そうとした。
「大丈夫ですよ、どれが食べたいんですか?」
大通りへ戻ろうとする花の腕をひいて、公瑾は屋台を覗き込んだ。
「どうせなら違う味のものを買って、お互い味見をしますか?」
「はい…!」
思いがけず公瑾の同意を得られて花の表情が明るくなったのを見て、公瑾もまた満足気に頷いた。
「ほぅ…これは良い細工ですね」
とある店で花が思わず手にとった何かの花を象った桜色の櫛を見て公瑾が言った。
「…石は珊瑚……意匠は蓮の花…ですね。 いいんじゃないですか?可愛らしさと清廉さを表していて―――」
「ぇぇ…と、わ、私には似合わないですね!」
公瑾の大袈裟な表現に花は手の中の櫛を棚へ戻そうとする。
「公瑾さん!?」
そんな花の手を押さえて公瑾は怪訝な表情をみせた。
「何故戻すのですか?貴女にとても良く似合うと思いますよ…ホラ、髪をこうしてまとめ上げて…」
そう言って花の髪を軽く掬い簡単にねじってまとめ上げると、花の手から件(くだん)の櫛を抜き取り、軽く当てて見せた。
「/// 公瑾さん…」
突然の事に花が身を強張らせていると、
「ほら、やっぱり。…どこぞのご令嬢のようですよ」
満足気に頷く公瑾の脇から、
「おや、良くお似合いですよお嬢さん」
店の者もそう声をかける。
「これにしましょう。 他にも何か気に入ったものがあればそれも…と、花殿?」
真っ赤になって俯いてしまった花は、公瑾が勝手に話を進めてしまうので慌ててその手にすがった。
「公瑾さん、いいんです。さっきも色々出してもらいましたし、こんな高そうなものまで」
「大丈夫ですよ、貴女は何も心配しなくても。 それに…今思い出しました」
「え、何をですか?」
「貴女には少し飾り気が足りないと…尚香様にお叱りを受けた事を…」
神妙な顔で公瑾がそう言うと、先ほどとは別の意味で花は顔を赤く染めた。
(尚香さん…そういうことは公瑾さんじゃなくて私に言ってくれればいいのに…!)
小さく頬を膨らませる花のその様子に公瑾はくすりと笑みをこぼした。
「ありがとうございます……大切にします」
公瑾から品物を手渡され、花はそれを大事そうに胸に抱きしめてそう言った。
「いいえ、大したことではありませんよ。 …それにしても貴女は…」
「? なんですか?」
一瞬ためらうように口を閉ざした公瑾だったが、花があまりに食い入るように彼を見つめるものだから…肩をすくめて吐息混じりに花の耳元へ囁いた。
「本当に…甘えるのが上手ではありませんね?」
「!?え…!?」
「こういう時は、アレもコレもと欲張りすぎるくらいに ねだってくれるほうが男としては嬉しいものなんですが…」
「///……す…みませ、ん」
「まぁ『ソコ』も貴女の良い処なのですが―――もっとわがままを言って色々と甘えて欲しいのだという事を…知っておいて下さいね?」
身を寄せて……そんな事を囁かれては。
「///っ公瑾さんっ……わがままなんて、もう…沢山聞いてもらっています!」
頬を染めつつ花がそう反論すると、
「そうですか?」
「だって、一緒にいたいって言ったあの時から今まで―――公瑾さんが私の為に色々大変だったのを、後で聞いたんですよ。 深く考えずに側にいたいって…言ってしまった私のわがままを……一番のわがままを聞いてくれたじゃないですか。それに今だって……一緒に街歩きをしてくれる、そんな時間を持てる事が何より嬉しいんです」
「貴女に側にいて欲しいと望んだのは、わたしも同じですよ。 むしろ……帰るべき場所があるのに、そこへの道を閉ざさせてしまったのは、わたしの方のわがままでしょう。…だから、貴女は…」
公瑾はまた言葉を切り、花を見つめた。
「公瑾さん?」
「貴女は―――わたしに何か、言いたい事があるのではないですか?」
公瑾の言葉に花は一瞬息をつめた。
「!…いえ…何も」
「………そうですか…」
問い詰めはしなかったその口ぶりが、逆に胸にくる。
でも。
「…そろそろ城に戻りましょうか」
「…はい」
――――本当は…今日は…。
喉の奥で、声にならなった言葉が震えた…。
-続-
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現在お礼文3件UPしています!
(超小ネタSSSより OZMAFIA1・緋色1・
ブラコン1・2013.8.13.)
fxwill.com
お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。
こちらで取り扱いますゲームの内容やそれに関連する創作SSに関しましては、製造元などとは一切関係がございません。あくまでも個人的に書き連ねているものですので、ご理解・ご了承のうえお楽しみ下さいませ。
なお、内容に関しましては無断転記等一切ご遠慮下さいますようお願いいたします。