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いらっしゃいませ! このブログでは、カヌチ二次創作(緋色の欠片、ウィル・オ・ウィスプ、ラスエス3他)、乙女ゲームの感想など、管理人ベルルの暴走気味の妄想をつらつらと書き綴っております。現在「三国恋戦記」絶賛応援中です!!     -since 2009.7.25-
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三国恋戦記SS > 公瑾花 です(^^)

………すみません…
本当にすみません…。
君のゆく道の花ちゃんサイドのラスト…というべきでしょうか…。
なんか、ちょびっと物足りなくて、悶々としてたので書いてしまいました。

ちなみに。
私の中の公瑾のイメージは、「段取り魔」です(笑)
自分で決めた段階通りにコトを進めていく感じです。
特に手の内に収めた後は、それが顕著だと……妄想してます(^O^)

それでは。
お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m



広大な長江の流れを河岸から見つめる。
穏やかな川風を帆に受けて、荊州へと向かう玄徳軍の船団は上流へ向けゆっくりと動き出す。
馬上でその様子を眺めながら花は小さくため息をついた。
「………寂しいですか?」
頭の上から静かに問われ、花は小さくうなずいた。
「少しだけ…。でも、もう一生会えない訳じゃないですし」
「今なら、あの船に追いつけますよ。お送りしましょうか?」
そう言いながらも公瑾は彼女の体に廻した腕に力を込める。
応と言ったところでこの腕を緩める気などない、と…そう言われているようで花は少し安堵した。
この人は……必要なら自分の手を離すことなど厭わないだろうと、そんな予感がするから…。

「寂しいのは、誰と別れても同じです。でも…」
そして花は自分を抱きしめる公瑾の手に自分の手を重ねて…力を込める。
「でも―――この手を離したら、私は一生、後悔すると思ったんです…」
「わたしもですよ。―――貴女と離れてしまっては…後悔してもし足りないと思いました…」
意外なほどあっさりと吐露されたその言葉に驚いて、振り返って仰ぎ見た公瑾の表情は思っていたよりずっと穏やかで…その瞳はまっすぐに自分を見つめていて。
だから花もまっすぐに公瑾を見つめ返す。
「公瑾さん……私のゆく道は、貴方と共にあります」
偽りも不安もない。
ただただまっすぐになそのコトバに。

「ならば―――貴女に恥じぬよう、しっかりと道標を努めましょう」

柔らかく笑んでそう言って…公瑾の滑らかな手が花の頬に触れる。
いとおしむように撫で、そっと包み込む。
その温もりに酔わされたように花は目を閉じた。
「花殿―――」
彼女の名を呼びかける静かな声が風に攫われて消えたとき、その唇に優しい熱が降りてきて。
呼応するように、花は胸が熱くなるのを感じた。


―――師匠……私はこの人と、歩いていきます。
この人を支え、この人に支えられながら…。
そのみちゆきが平坦でないとしても、この人となら歩いていけると思うから。
だから…私は大丈夫です…。


しばらくそうして抱きあって互いのぬくもりに身をゆだねていたのだが、不意に公瑾がたずねた。
「ところで……ひとつ確認しておきたかったのですが…」
「はい…?」
神妙な表情で、公瑾は腕の中の花に視線を落とす。
その脳裏には先ほどの―――別れ際の孔明の度を超えた行為が浮かんでいて…。

「あなた方師弟は、どのような関係にあったのですか?」

「!? えっ!…ど、どのような…とは!?」
「いわゆる―――――男女の仲だったのか、と聞いているのです」
「!? な!…そんな事!一瞬だって、そんな…ありえません!!!」
直接的な公瑾の言葉に驚いて、力いっぱい…全力で否定する花に対し公瑾は小さくため息をついた。
花だって先ほどの孔明の行為は気になっていた。
けれど、あの師匠の事だ…。
何らかの意図があってああいったことをして見せたのかも知れない…。
しかし彼が本当に意図したことを、弟子の身の自分に分かる訳がないのも事実で…。

「公瑾さん…! あの、本当に……何も…。師匠とは…なにも…」
語尾が弱くなるのは、上手く説明できない自分の不甲斐なさにあって、決して後ろめたいからではないのだが…。
それすら上手く言えなくて、花はますます情けない顔で公瑾を縋るように見上げた。
師匠と弟子―――。
その関係すら本当に成立していたのかさえ定かではないのだ…。

「――――今回ばかりは……伏龍に同情しますよ…」
微かな―――憐憫の色を含ませた声で、公瑾がそう呟くから…。

「え!?…どういうことですか?? 公瑾さん?」
「あなたは知らなくても良いことですよ」
「で、でも…! 私のことなんですよね? 教えてください…!」
「………早々言えませんね…」
ふいと視線を反らしてそう言われ、ますます花は慌てて問い詰める。
「ど、どうしてですか!?」
それは―――先ほどの孔明の行為は気にしないという意味だろうか?
それとも……公瑾には、孔明の意図が理解できたという事…?
どちらにしても、よく分からない。
当事者であるはずなのに、この置き去り感は何なんだろう??

「言葉にしなければ分からないなんて……少しは自分の鈍さを、自覚して下さいね…」
「えぇ!?」
「さ、帰りましょうか…」
情けない顔で考え込む花に顔をほころばせながら、公瑾は馬首を翻し京城への帰路に就いた。
己の腕の中にある、この幼く、けれどとてつもなく甘い蕾をようやく手に入れられたことに安堵のため息をもらしながら…。


 -終-

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