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いらっしゃいませ! このブログでは、カヌチ二次創作(緋色の欠片、ウィル・オ・ウィスプ、ラスエス3他)、乙女ゲームの感想など、管理人ベルルの暴走気味の妄想をつらつらと書き綴っております。現在「三国恋戦記」絶賛応援中です!!     -since 2009.7.25-
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三国恋戦記SS から、子龍花 です!

あまりの暑さに―――ほのぼのしたのが書きたくなってしまいましたヽ(^o^)丿。
べったり甘々…というのは結構集中力がいるので…。

玄徳軍の影の癒し系、子龍くん(笑)。
本編でもメインキャラ達以外にも、色んな大人たちから、そのまっすぐさをからかわれること数回…。
翼徳とは対になる癒し系=からかわれ役だろう…との妄想で書いてみました。

だってさ、一途過ぎて時々息苦しくなっちゃうと思うんだ。
その一直線な部分を、玄徳とか孔明とかがプスっと一針ついて…ガス抜きしてあげてたらいいな…という意図もあったりして(^^ゞ。

それでは。
お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m
 



ばたばたとあわただしい足音がしたと思ったら。
「花殿…!!」 バン!
ありえないほどの勢いで子龍が執務室に飛び込んできた。

「わ!びっくりした!…子龍くん!?」
「子龍どの…いきなり部屋に入ってくるのは礼を失していますよ…」
呆れた様子で孔明がそうたしなめると、息を整えつつ子龍は頭を下げる。
「も、申し訳ございません、孔明殿。 しかし…花殿が…」
「…ご覧のとおり彼女はぴんぴんしてるでしょう? 一体誰に、何を吹き込まれたっていうんです?」
はぁ、とため息をつきながら孔明が言うと、花も子龍も恐縮したように肩をすくませた。

「……さきほど…玄徳さまに、帰着の報告をしたところ、…花殿が怪我をしたようだとおっしゃられていたので…」
言い難そうに子龍は答えた。
「…玄徳さまは最近よほどお暇と見える。 子龍どのをからかって遊ぶなど…徳篤き方のなさりようではありませんよ、まったく」
なるほど、とうなずきつつ孔明がそう言って。
しかし子龍はそのコトバも耳に入らないほど、心配顔で孔明と花とを見比べて。
「そ、れで…あの、花殿の傷の具合は…?」
「怪我だなんて大袈裟なんですよ。 紙で指の先をちょっと切っただけです」
「え」
「……子龍くん」
孔明の返答に拍子抜けした表情を見せた子龍が花へと視線を移すと、花もまた申し訳なさげに微笑んでうなずいた。

「……そうですか…」
「…おかえりなさい、子龍くん。 帰って早々びっくりさせちゃって、ごめんね?」
へたり込んだ子龍の前にかがんで座り、花はにこりと笑って遠征から帰った恋人に声をかけた。
「…本当に、大丈夫なんですか? 傷はちゃんと手当しましたか? 化膿したりしたら…」
「あのねぇ…子龍どの?」
花の手をとって心配顔でそんな事を言い寄る子龍へ、さすがに引きつった笑みをたたえながら孔明が、
「こちらはまだ仕事中なので―――彼女の手を取るのは、あなたと彼女の時間になってからにしてもらえませんか??」
「/// 師匠…!」
「!も、申し訳ありません…!」
子龍は慌てて花の手を離すと、非礼をわびて孔明の執務室を後にした。


「? どうした孔明?」
書簡の山を抱えたまま静止している相手へ玄徳は声をかける。
「…そろそろ子龍どので遊ぶのはやめていただけませんか…玄徳さま」
静かに孔明がそう切り出すと、玄徳は破顔して、
「血相を変えて走っていったからな! すぐにそちらに行っただろう?」
「お陰さまで、わたしも彼女も手を止められてしまい、業務に支障をきたしましたよ」
「いや、お前に弾き返されてとぼとぼと戻ってくる子龍の様子が可愛くてつい…」
「つい、じゃありませんよ。 そのたびに部屋に飛び込んでこられては…いい迷惑です」
「だが、お前だって時折花をネタに子龍をからかうだろう?」
「仕事中に血相を変えて飛びこんでこられる様なからかい方はしていません」
「まぁ、そう言うな。 潤いじゃないか…潤い♪」
「つまり―――改める気はないんですね」
「まぁ、しばらくはな」
主のその様子に孔明は深々と溜息をついた。


今日の分の仕事を終えた花は、自室に戻る前に子龍の部屋をたずねた。
「子龍くん? いる?」
「花殿…!」
すぐさま扉は開いて子龍が顔を出す。
「先ほどは、申し訳ありませんでした…。孔明殿にも貴女にもご迷惑をおかけして…」
しょんぼりと項垂れて、子龍は花に謝罪する。
きっとあの後、花は孔明から色々と突っ込まれたに違いないのだ。
大体、孔明自身だって自分や花をからかって遊んだりするのだから、玄徳の事を悪く言える立場にないはずなのに。
自分がソコ(孔明の執務室)へ飛び込んでいくような事になるといつも決まって、しかめつらしい顔で説教なんかをしてくるのだから、孔明の方がよっぽど性質(たち)が悪いと思う…。

「ううん、平気。 ごめんね?心配かけちゃって。でも大丈夫だよ? ホラ、傷っていっても、ほとんど分からないでしょう?」
子龍の前に右手を出して、花は人さし指をたてて見せる。
花のその手をとり、まじまじと指先を見つめる子龍の様子が可愛らしくて、花は顔をほころばせた。
いつも本当に―――びっくりするくらい自分を大切に扱ってくれる事をとてもありがたいとは思うけれど、時々、やっぱり行き過ぎていると思ったりもしてしまう…。

「―――なにが…可笑しいんですか?」
そんな花の様子に気付いて子龍は真剣な声で聞き返す。
「ご、ごめんなさい、だって、そんな真剣に指を見つめるから…可愛くて」
花がそう言うと、急に子龍は花の手を引き寄せ自室に連れ込むと扉を閉めた。
「!…し、子龍くん!?」
「わたしには、貴女がほんの少しでも傷つくことだって許せないんです…」
―――貴女は……わたしの、大切な姫君だから…
本心の、一番深い部分を言葉にはしなかったけれど。
花の肩を掴んで引き寄せ子龍は強い口調でそう言った。
「貴女を―――どんな危険からも守りたい……大切に、したいんです」
「子龍くん……うん、ありがとう。…私も、守りたいよ、子龍くんのこと。 ね、子龍くんこそ、お仕事で怪我はなかった?」

そっと子龍に身を寄せて、背中に手を廻す。
抱きしめるその温もりに ほっとするのは、きっと久しぶりの触れ合いだからではないだろう。
このご時世だから、外に出れば何があってもおかしくない。
彼の戦闘能力の高さはよく分かっているが、それでも、戦いとなれば無傷ではいられないだろう。
危険の伴う任務の多い子龍が外への任務にあたる時…その不安はいつも付きまとう。
「大丈夫です……貴女さえいれば…。 どこに居ても、何があっても…わたしは必ず貴女のもとに帰ります」
くぐもった声…けれど、どこか安堵したようなその声はきっと、自分と同じように大切な人の存在を肌で直接確認できたからなのだと思う。
「子龍くん…」
「花殿…」
抱きしめあっていた腕を緩め、お互いを見つめ合い。
どちらからともなくその距離が、詰まり…。
唇が―――触れ合わんばかりのその瞬間に。

「おーい、子龍…!居るか? 花もこっちに居るのか!?」

「!!っ」
「!?」
突然扉の向こうから玄徳の声がして。
2人は弾かれたように身体を離し、顔を見合わせる。
「子龍ー??」
「は、はいっ!?…玄徳さま!?」
もう一度呼びかけられ、慌てて子龍は扉をあけた。
「ああ、2人とも居たのか」
「は、はい…」
「さっき言い忘れたが、今日はお前も無事帰ってきたことだし、宴にしようと思ってな♪」
「…は、い…」
「夕刻からだ。 遅れるなよ」
空気を読んでいるのか、いないのか…何故か上機嫌に言いたいことだけ言って、玄徳はその場を立ち去った。

その後ろ姿を見送りながら…。
「―――花殿…」
「/// うん?」
「… 一刻も早く……貴女と居を構えたいと願うのは、―――わたしの我がままでしょうか…」
肩を落としそう問う子龍へ。
「えぇ…と、…我がままじゃないと、思うよ?」
苦笑しつつ花がそう答えると、2人は顔を見合わせ同じような笑みを漏らして溜息をついた。


 -終- 


 ―――「世界は2人の為に…」的な狭い視野を持つ子龍は、こんな風にラブラブしたい時を邪魔されているのがいいと思います^^。 by ベルル
 

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