くちぶえ （公瑾×花）

過去拍手ＳＳから、公瑾花（＠三国恋戦記）です(^^♪。

ちなみに。
私はくちぶえは吹けません（笑）。


それではお楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m。

♪…♪ ♪ ～♪

高く…低く…、細く途切れがちな音。
合間に聞こえてくる鼻歌…。
扉を叩こうとした手を止め、公瑾は少しの間その拙い音色に耳を傾けていたが、思い出したかのように扉を叩いた。

「ぁ……公瑾さん」
扉はすぐに開き、目当ての人が顔を出す。
「今いいですか？　貴女宛ての書簡が混じっていたのですよ」
「すみません…お使い立てしちゃって…」
公瑾を招き入れながら花がそう言うと、公瑾はゆるりと首を振りながら手にしていた書簡を差し出した。


「…ところで、さっきのは……」
「！？…さっきのって……鼻歌とか、口笛…とかのことですか！？―――― 外にまで聞こえてました！？」
「えぇ、一応は。…扉の前に立てば気付ける程度ですが…」
「/// やだな…もぅ…。ちょっと片づけをしていて、自然に歌っちゃったんです。…はしたないって、おばあちゃんによく怒られたんですけど」
恥ずかしそうに頬を軽く染めながら花は苦笑した。

「はしたない…ですか？」
「はい…」
「もう一度、聞きたいですね…」
「え！？だ、ダメですよ…！　わざわざ人に聞かせるようなものじゃ、ないです…」
公瑾の思いがけない要望に花は慌てて首を振った。
音楽に関しては誰よりも耳ざといこの人相手に聞かせるような代物ではない。
そんな花の気持ちを知ってか知らずか、そのつれない返答に、
「即答ですね…わたしの琵琶を聞きたがるのに―――狡いですね？」
と恨み言を返してくる。

「ぅぅ……分かりました…少しだけですよ」
仕方なく花は彼女の国の旋律を口ずさみ、また口笛の音に変えて奏でる。
少し唇を尖らせて―――細く響く旋律…。
人に見られているからか、その様はたどたどしく…時に拙い。
こんな『音』で公瑾を満足させられるとは到底思えない……。
「――――――」
「っハイ！　お終いです……！？」
堪え切れなくなって、早々に口笛を切り上げた瞬間、公瑾に抱きよせられて仰のかされた。

「！？な、に…急に…！」
「――――貴女の…お祖母様の言も…頷けますね…」
そう囁かれて強引に塞がれる唇…。
「―――/// こうきん…さん」
唇が離れると同時に腕を解かれ、花は何が何やら分からないまま、その場に座りこんで茫然と公瑾を見上げた。
そんな花へ苦笑にも近い笑みをこぼしつつ、
「口笛――――わたし以外の前では禁止ですよ…」
と公瑾が囁きを落とせば、
「///　な、んで…」
耳まで赤く染めて花は情けない表情のまま問うた。


「――――まるで…口接けをせがんでいるようでしたよ…」

そう言い置くと公瑾は、何事もなかったかのように執務室へと戻っていった…。



　－終－