スミマセン。
ちょっと仕事に追われ、更新が儘なりませんでした。
ついでにSSもネタ切れで…またしてもシンさんに頼ってしまいました…。
今回は長めになってしまいました。
何処で切っても半端な長さになってしまうので。
一気に読んで貰おう!と思いました(^^)。
久しぶりに…少しだけ動きのある文章を書いてスッキリしました(^^ゞ。
ちなみに。
小狡いんですが、本タイトルの1作目は拍手お礼文の2本のうちの1本にUPしてます。
ランダムで出る(はず)ですので、興味のある方はドウゾ♪
(別に続きものではありません。別個のお話です(^^))
それでは、お楽しみ頂けましたら幸いです…
「おや、お出かけ…?」
いつものようにアキの店に顔を出したシンは、荷物をまとめているアキに出くわし少し残念そうな顔をした。
採取ではないようだが、声が掛からなかったという事はさほど手がいる用事ではないのだろう。
「シンさん……こんにちわです…。―――あの…」
「うん…?」
挨拶をして、アキはシンの顔を見上げた。
「?……どしたの?アキちゃん…」
何か言いたげなアキの顔……。口を開いて…そして声を発する前に閉じてしまう…。
「―――え…と……あの…、今日…」
「?…何なに…?…俺に用事……??珍しいね?」
シンがまとわりつくことはあっても、アキがシンに頼ることは極端に少ない…。
とにかくまぁ、自立心旺盛というか、甘え下手というか。一人で何でもやらなければ…という行動方針を忠実に守っているタイプなのだ。
「えぇ…と……その…」
そんなアキが、何だか言いにくそうに躊躇いながらもじもじしている…。
非常に珍しく、可愛い光景だ。
「何でも言ってくれていいんだよ…?」
シンがそう促すと、ようやくアキは口を開く。
「あの…今、お時間ありますか…?――できれば少し…手伝って……。いえ!あの…やっぱり、いいで…」
「水臭いよ、アキちゃん」
「え!?」
「男手がいるときは遠慮しないでって、いつも言ってるじゃない…。コレ…注文を受けた商品を届けに行くんじゃないの…?」
「あ……ハイ…そうなんです…けど…」
「そーいうこと、手伝うのはスゴク嬉しい事なんだって、何度言えば分ってくれるのカナ??」
アキの頬を両手で包みこみ、軽く仰のかせ拗ねたように抗議すると、アキは頬を染め首を横にふった。
「ち、違うんです…!…いえっ…そーなんですけど、でもっ……あの…!」
「クスクス……よく分かんないなぁ…?何を言いにくそうにしているのかは置いといて、とりあえず届けにいくんでしょ?コレ…。――ヤダって言っても、一緒に行くからね?」
シンが顔を近づけて念を押すように言うと、更に顔を赤くしてアキは小さくうなずいた。
「――――あのさ…」
「…はい…」
「…コレ……本当に、全部一度に注文された品……?」
「……………はい…」
ヤカミの郊外にあるとある屋敷の一室…。
注文の品を届けに来たと告げると通された部屋の中で、シンは小さく聞いた。
検めてもらうために卓上に置かれた品は、片手剣・大剣・霊剣・細剣…と様々だった。
通常は戦い方も含めて1種類…場合によっては2・3種類の武器を扱う者もいるが、間合いや戦い方のクセもあって1つの武器に落ち着くものだ。…1人でこの多さはあり得ない…。
「…そりゃ、アキちゃんの腕がいいのは認めるけどさぁ……悪いけど、ここのおうちじゃ何人も傭兵とか雇えないでしょ…?」
複数の傭兵を抱える程の身分でも、またそれを叶える財力も無いと判断したシンは、そう指摘しながら傍らのアキを見る。
小さくなって、シンに言われるがまま頷くアキはこちらを見ようとしない…。
そうしているうちに盛大な足音を立ててノックも無しに入室してきた依頼主の姿を見て、シンはついてきて正解だったと確信した。
「ア、ア、アキさん、思ったより早く仕上がったんですね!」
少々肉のつきすぎた感のある、おおよそまともに剣など扱えぬであろう風貌の男は、そう言ってアキの手をとった。
それから、気付いたようにアキの傍らに立つシンに目をとめる。
「そ、その方は?」
「―――彼女の…番犬ですよ♪」
「は?」
そう言うと透かさずシンはアキの肩を抱きよせ、男からアキを引き離す。
「…シンさん…!」
そして卓上の霊剣を抜き放つとその切っ先を男の鼻先に突きつけた。
「ひぃ!?」
「…彼女の剣を扱うに相応しい御仁かどうか…試させて貰いますよ…!」
その言葉と、シンの腕の動きはほぼ同時だった。
しかしその動きが認識される前に、剣は鞘に納められていた。
「!!…あ…!」
身じろいだ男の上衣がハラハラを床に舞い落ちる。
シンの剣技に腰をぬかしながらも、男はアキへ抗議の声を上げた。
「ア、アキさん!こ…これは、どーいう」
「あ、あの」
アキが謝罪の言葉を発しようをすると、その前に立ちはだかりシンは男を冷たく見下ろした。
「彼女の剣を手にいれたくばその腕を…、彼女の心を手にいれたくばご自身を……、律し鍛えられることをおススメしますよ………俺のようにね…」
「シンさん……」
「アキさん、……この男と、君は…!」
アキとシンを交互に見ながら男は顔を引きつらせる。
「おっと……それ以上の詮索は無用に願いますよ??…もちろん、今後の彼女への手出しも無用…。―――彼女の店と彼女自身に不審なことが起きたときは―――」
シンは腰をかがめ男に顔を寄せ、なにごとかを囁いた。
「!!…ひぇぇぇぇ…!!!」
「シンさん…!?」
アキには聞こえないように囁いたその一言は、男の顔色を青くさせガタガタと震えあがらせた。
驚いてシンを見るアキにいつもの笑みを返し、シンは卓上の品物を手早く片付ける。
「ああ……折角なので、1本、彼女の作品を残していきますよ?―――将来にわたって自慢できる1本だ……」
それは先ほど男に突きつけられた霊剣……。
これを見る度にこの男は、シンとシンの剣技を思い出さざるを得ないだろう…。
「さ、じゃぁお暇しようか、アキちゃん」
シンがそう促すと、
「あの…ありがとうございました……」
男に深々と頭を下げ、アキはシンに肩を抱かれて部屋を出た。
「――あの……さっき、何て言ったんですか…?」
屋敷を出てシンと共に足早に歩きながらアキは尋ねた。その一言を聞いたあとの男の変わりようと言ったら…。
アキの問いにシンはようやく歩をゆるめ、
「んーー?ふふん……女の子には聞かせられないコト…♪」
「…(な、何を言ったんだろう……?)」
さっきは…いつものおちゃらけたシンとは違う顔を見て正直驚いたし、鮮やかな剣技の一端に目を奪われた。
本当に、掴みどころのない男性(ひと)だ…。
「…アキちゃん……。――あの客……今回が初めてじゃないよね?」
「え…は、はい…。…今までにも何度か注文があって、その時はいつも店まで取りにいらしてたんですけど……。その都度注文する剣の種類も違うし、今回は1度に沢山の注文で……その…」
「ふーーーん………ようやく、アキちゃんも”おかしいな”って気付いたんだ?」
「――――は…はい……」
顔を赤らめて、アキは小さく頷いた。
…本当に、全くの想定外だったのだが、ここまであからさまに下心全開にされては、いかにそういう事に鈍いアキといえど気付かざるを得ない。
「…………」
「……シ……シンさん…?」
まっすぐ自分を見つめるシンの瞳に囚われて、アキは困惑する…。
「―――もしも…俺が一緒に行かなかったら………どうするつもりだったの…?」
ぐい、とアキを抱き寄せて、静かに問い質す。
思いがけないその真剣な声音に、アキは言葉を詰まらせる。
「あ…あの…」
「―――身の危険……感じたんだよね…?アイツにさ…?」
言葉の調子は軽いのに、目は笑っていなかった。
店を出るまえ確かに何かを躊躇っていたのは、一緒に来てほしいが、理由をうまく言えないと思ったが故なのだろう。
客の下心など口にするのも厭だろうし、認めたくもないだろうし、また勘違いであれば…自意識過剰も甚だしい――。
しかし。
何かあってからでは遅いのだ。
自分以外の誰にもアキに触れさせたくないし…ましてや―――傷つけるなんて許せない…。
そう――アキに触れるのも……アキを傷つける事さえも……自分一人の特権(もの)だから―――。
他の誰にもそれを許すつもりなど……ない…。
きっとアキは、自分がこれほど激しい想いを抱いていることなど知りもしないけれど。
今はそれで構わない。
いつかその身の全てを手に入れる時には、ちゃんと教え込んであげるから―――。
シンの身勝手な想いなど露知らず、アキはシンの問いにおずおずと懐から短剣を取り出した。
「………護身用…?」
「は、はい…」
声が小さくなるのは、そこまで用意していた自分に対して、シンが何を思うかを想像しての事。
きっと…どうしてもっと自分を頼らないのかと…言われるに決まっている…。
でも、分かっていてもそこまで甘えて良いものかと……やはり躊躇われるのだ。
「うん……良い出来だね…♪」
アキお手製のその短剣は、彼女の手にピッタリのシンプルな短剣だった。
それを取り上げて手の中で転がして眺め、シンはうんうん頷く。
「……でも、君にはこうして守ってくれる男がいるんだから…こんな物騒なモノ、持たなくてよろしい…」
「シンさん……あの、ごめんなさい……私…!」
「俺は――君を守るためにいるんだからね…?」
そしてアキのあごを捉えるとその唇を塞ぐ。
「…ん……!」
「君に……こんな事、してイイのは……俺だけなんだから…」
忘れないでね…と何度もアキの唇を奪う。
甘いキスに絡め取られ立っていられなくなったアキを抱きしめて、シンは彼女の耳に囁きを落とす。
「今日のご褒美に…この短剣は俺が貰うよ?……そのかわり、いつでも俺を……君の傍らにおくこと。―――いいね?」
♪BGM with 【氷室京介:KISS ME】
……KISS ME 今ふたり ひとつになれるから…
THE FIN
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現在お礼文3件UPしています!
(超小ネタSSSより OZMAFIA1・緋色1・
ブラコン1・2013.8.13.)
fxwill.com
お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。
こちらで取り扱いますゲームの内容やそれに関連する創作SSに関しましては、製造元などとは一切関係がございません。あくまでも個人的に書き連ねているものですので、ご理解・ご了承のうえお楽しみ下さいませ。
なお、内容に関しましては無断転記等一切ご遠慮下さいますようお願いいたします。