カヌチバレンタインSS から、アキクラトです(^O^)/
う~ん、いつもなら「クラトアキ」なんですけど、今回のはどちらかというと僅差でアキ→クラト…なのかな?と思ったので(^^ゞ。
この2人の場合、既にいいトコロまでいってるはずなのに、お互いそれを認識できていない…というもどかしさをいつも感じてしまうのです。
このSSでも、そういう感じが出ていればいいんですが…。
とにかくクラトなのでね!
甘いSSへの道程は、遥か彼方まで続く遠い道……なんだと思います^^。
それでは。
お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m
「俺……好きな子がいるんだ。貰うならその子からだけって決めてるから…ゴメン、受け取れない」
作業台に置いたチョコの包みを見つめて、アキは吐息をついた。
警備隊のみんなにいわゆる『義理チョコ』を手渡した後、ちょっとだけ特別な想いをこめたチョコを手にクラトを探していたら、偶然聞いてしまったその言葉……。
聞いた瞬間には思わず自分に言われたのかと、固まってしまったが。
どうやら、お城で働いている女性とのやり取りだったらしく、すぐに遠ざかっていく足音が耳に入ってきた。
けれどその衝撃的な言葉は耳にずっと残り……。
それはつまり……義理チョコの皮を被ったこのちょっと特別なチョコも又受け取ってもらえないのでは…との不安につながって。
その後注文を聞いている間も、何度も手渡すタイミングはあったのに結局チョコという単語すら口の端に乗せることはできなかった。
「せっかく…作ったのに…」
ラッピングこそ、他のみんなと同じようだけど。
そこに込めたのは日頃の感謝と…少しだけ……少しだけ特別な想い…。
「―――――好きな人からだけ…かぁ……。はぁ…いいなぁ……クラトさんに好きになってもらえる女の子……」
告白のつもりなんてない…。
特別な想いを込めたけれど、自身にはそう言い聞かせてきた。
今はまだ気持ちを伝えなくても……クラトとの今の関係を壊したくないという気持ちの方が強いから…。
けれど、一番渡したい人に渡せなかった事と、相手に想い人がいた事実が二重にショックで……店に戻った今も、アキは何もやる気が起こらずにいた。
「―――クラトさんの………………ばか…」
「んっふっふっ♪ アキちゃんからチョコレート貰っちゃった♪」
休憩時間。
食堂でクラトがお茶を飲んでいると、シンがニヤけた顔で上機嫌にそう言った。
「え!?」
「『義理ですから!!』な~んて言って、顔を真っ赤にしちゃってサ。…ホント、かわいーよねぇあの子…」
「……そーですか…(アレ??…さっき会ったけど…何も言ってなかったよな…?)」
「ウキツやミトシにも渡してたみたいだったから本当に義理なんだろうけど…こういう気遣いが嬉しいよねっ♪」
「…………(他のみんなに渡した…って?……なんで俺だけ…?)」
「?クラト?聞いてる?」
「すいません、聞いてないです」
「へ?」
「ていうか…俺、ちょっと出てきます!」
言うが早いかクラトは食堂を飛び出していた。
「(何だよ…俺だけ…避けられたのか?…いやいや、俺が一番つきあい長いんだし!『お世話になってる』とかだったら、まず俺だろ…!?それとも他に何か理由があるのか?)」
チョコを貰えなかった理由を考えていると、何だか哀しいような悔しいような気持ちになってきて……クラトはとにかく急いでアキの店に向かった。
「アキ!!いるか!?」
納得がいかない気持ちを抱えたまま勢い込んで店に入ったものの…人の気配がない…。
「留守!?…ったく、あいつは…戸締りもしないで不用心だな……」
肩すかしをくらったというのにクラトはいつものように保護者目線で小さくボヤく。
それから、視線をめぐらした先――作業台の上に置かれた小さな包みに目をとめる。
「ん…?」
手に取ってみるとリボンに付けられたメモには自分の名前が書いてある。
「……俺、宛て……だよな??………………そっか……アキの奴…店に忘れてきてたんだな……まったく、そそっかしいな…」
ホっとして、クラトはその包みに軽くキスをする。
こんな所まで慌ててやってきたものの、チョコを催促するなんて馬鹿げている…。
冷静になればそう思えてきて……正直アキに面と向かってなんと言えばいいのか分からなくなっていたのだけれど……。
今年はたった1つ―――アキからのチョコレートだけを受け取るつもりでいた。
例えソレが100%義理の気持ち満載のチョコであっても、アキから貰える事に意味があるから……。
そう、欲しいのはたった1つ。
好きな娘から貰うチョコレート―――。
「クラトさん!?」
「あ…何だ、いたのか。アキ…」
2階から顔を覗かせたアキが慌てて降りてくる。
そしてクラトの手にあるものに気付き、
「クラトさん……ソレ…あの…」
「ん?あ、コレ、俺宛て…だよな?……貰ってもいいんだろう?」
「え!?」
思いもかけない言葉にアキが聞き返すと、
「え?ダメなのか…!?」
「いえ…その…でも…(ダメなのは…クラトさんの方じゃ……)」
「さっきシンさんに自慢されちゃったよ。……俺の分、店に忘れてきたんだろ?相変わらずおっちょこちょいだよな…アキは…」
なんだかクラトが嬉しそうに見えて……アキはあっけに取られて彼を見る。
―――だって……昼間は…欲しいのは1つだけって……言ってたから。
だから……言いだせなかったの……。
そんな風に笑ってくれるなんて……思いもしなかった…。
「食べてもいいか?」
「え…えぇ…もちろん」
あっという間にリボンを解くとクラトは中のチョコを1つ口に放り込んだ。
「ど……どうですか??」
「うまいよ……なんか、いつもよりうまい気がするよ」
「!」
心なしか頬が上気しているように見えるクラトが、本当に嬉しそうに、美味しそうに食べてくれるから……
「(……言って……みようかな…?)」
アキは胸の内にある自覚した想いを抱きしめる。
「(すごい勘違い……してるのかもだけど、どうしよう……)」
握り合わせた両手に力が入る。
「?アキ…?」
「(―――もしも、言っちゃったら…クラトさんどうするかな?…困るかな??慌てるかな??…できれば――――今みたいに笑ってほしいな…)」
「アキ?どうした??…あ、お前も食べたいんだろ?いいよ、ホラ、味見しても」
黙ってしまったアキの目の前に、クラトはチョコを差し出した。
クラトの手と顔を見比べながらアキの唇は震える声を発する。
「クラトさん……あの…」
――――ソレには他の人とは違う気持ちが入っています……て言ったら、貴方はどんな風に笑ってくれますか…?
♪BGM with【Every Little Thing:fragile】
……となりで笑っていてくれるのならば これ以上他に何も要らないよ…
THE FIN
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現在お礼文3件UPしています!
(超小ネタSSSより OZMAFIA1・緋色1・
ブラコン1・2013.8.13.)
fxwill.com
お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。
こちらで取り扱いますゲームの内容やそれに関連する創作SSに関しましては、製造元などとは一切関係がございません。あくまでも個人的に書き連ねているものですので、ご理解・ご了承のうえお楽しみ下さいませ。
なお、内容に関しましては無断転記等一切ご遠慮下さいますようお願いいたします。