花酔い （公瑾×花）

三国恋戦記ＳＳ　公瑾花です～(^O^)

ちょっと……公瑾にしては甘い…気がする？？　（私の中ではかなり甘い…：汗）

本編では厳しい口調で突き放される事が多かったので、その線でＳＳも書いてることが多いのですが。
う～ん…今書きかけのいくつかのＳＳは、もっと冷たい…というか、上から目線というか。
なので、すんごい違和感を感じてしまいますっ(^^ゞ

今回のは…拍手用にと思って書いてたんですが、ちょっと長くなったのでもうこちらにＵＰしちゃいます（苦笑）。

それでは。
お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m

うららかな春の午後。
京城の裏庭の木陰で、花は自分の膝で眠る大喬・小喬の姉妹を見つめる。
「ふふ…２人とも可愛い。……こうして眠っていれば起きてる時よりずっとずっと可愛いのにね」
思わずそう呟くと、頭の上から思いがけず声がした。
「そのような事を言って……本人たちにお伝えしましょうか？」
「！公瑾さん！？」
驚いて、思わず声をあげてしまったら、シ…と指を口元に当てて身ぶりで静かにするよう指示される。
慌てて膝の上の小さな天使たちに目をやり、ぐっすり眠っている様子にほっと息をつく。

「いつの間にそこに…？今の、聞いてたんですか？」
「えぇ」
「え…と……告げ口は良くないんですよ？」
「おや、…告げ口に当たる内容だったと、認めるんですか？」
「………ずいぶん意地悪ですね？」
「ふ…ご存知のはずでしょう？」
「黙っててくれる気はないんですか？」
「口止め料次第―――でしょうか…」
にっこりと笑顔で。
腹の黒さを満面にした笑顔で返されて、花は絶句する。
そして―――大喬・小喬の頭を撫でながら一思案。

その様を公瑾はじっと見つめる。
彼女の…そうした柔らかな空気が公瑾は好きだった。
懸命に考えていてさえも、緊迫感よりはむしろ人の心を和ませる不思議な魅力に…存分に中てられたのは何よりも自分だったから。
時折こうして他愛ない言葉遊びの様なやり取りを仕掛けるのも、彼女のその空気を感じたいが故だった…。
「（これは―――重症だ…）」
そして自分がこれほどに彼女に囚われている事に気付くたび、心の内で苦笑を洩らしながらもその心地よさに酔っているのだ…。

「公瑾さん」
ついと視線をあげて花はチョイチョイと手招きする。
その誘いに乗って身をかがめ顔を寄せてみると、内緒話をするかのように手で口元を覆い隠した彼女の顔が近付いて――――。
それから頬に触れた……柔らかな、感触。
チュと微かな音を立ててすぐにその温もりは距離を置き、頬を染めてはにかむ彼女が小さく言った。
「…これで……許していただけませんか…？」
「――――仕方、ありませんね…」
期待した以上の行為を返されて、公瑾は思わず顔をほころばせていた。

そこへ侍女が数人やってきて、花の膝で眠る２人をそれぞれ抱き起こし部屋へと連れて行った。
「……行っちゃった…」
「残念そうですね？」
「だって…」
侍女たちの去った方向を見つめる花に苦笑して公瑾も立ちあがり、
「では、わたしたちも行きましょうか…。…？どうかしたのですか？」
身じろぎしない花に、怪訝な視線を向ける。
「えぇ…と、あの……足が痺れてしまって…。先に行ってて下さい、私はもう少しここで…」
同じ姿勢で、尚且つ２人の体重も掛っていた為か、動こうとすると感覚が盛大に反発する。
苦笑しながら花がそう言うと、公瑾は、
「では…」
すい…と身を寄せたかと思うと花の背に腕を廻し、もう片方の腕で彼女の膝を掬いあげた。

「！！ちょ…公瑾さん…！？（こ…これって…お姫様抱っこ！？）」
「暴れないで…落としてしまいますよ？」
何でもないことのように言うけれど―――人目を憚るタイプのこの人が…こんな場所でこんな事…！
あり得ない！と思いながら花は、
「だ…って、誰かに、見られる、かも…！」
「誰も見ませんよ。―― 人は、意図的に目に映るものを選別出来るんです」
「？？え？ちょ、意味…分かりませんっ」
「さきほどは、口止め料を過分に頂きましたからね。お返しに部屋までお送りしましょう」
「それ、答えになってませんっ」
「そうですか？」
「ど、どうしたんですか！？公瑾さん、まさか……酔ってるんですか！？」
そう思わなければこんな事―――説明がつかない。
こんな――――大胆なこと…！

「ふふ…そうですね。それなら……わたしは貴女に、酔っているのでしょう」
「！！！も…ぅ///　からかわないで……下さい」
あまり聞く事のない公瑾のその甘い言に…熱が、のぼる。
「からかってなどいませんよ？」
そう言って微笑む公瑾の瞳の奥に、えも言われぬほどの甘い熱を感じて。
その視線から目を逸らす事が出来なくなる。

「///…っ…よ、酔ってしまいそうなのは……こちらの方ですっ」
どうしよう…。
顔に上る熱が止まらない。
更に真っ赤になって身の処し方に戸惑いを隠せない彼女を公瑾は力強く抱きしめて、そ…と囁いた。

「えぇ――――貴女ももっと酔えばいいんですよ……わたしと、同じくらいね？」

　－終－

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やっぱり必死すぎるっ(T_T)

カウンター　４５００ＨＩＴ　ありがとうございます！！(^^ゞ

三国恋戦記　＞　雲長ＥＤ　到達しました！！

ああ……すごく良かったですけど。
このＥＤを見ると、その他のルートでの雲長がめちゃくちゃ辛くなります（涙）。
こんなのホント…辛いよ。
勿論、だからこそ、本人ルートでは大団円なんだと思えるんですが…。

それでは、感想は続きから。
ネタバレしてますので未ＰＬＡＹの方はご注意くださいませm(__)m

ネタバレです！　反転でお願いしますm(__)m


必死すぎる人、健在…（笑）。

初めのころに書いたと思うんですが、私の中での彼のイメージ＝「必死すぎるっ！！」
だって…特典ＣＤの中で姑息な手で子龍の失敗を誘おうとしてたんですもの！
正々堂々…という言葉は何処へ？？って思いました（苦笑）
どれだけ花ちゃんの事、好きなの？？…保護しようとしてるの？？みたいな…ね？

本編でも言葉尻は厳しいのに、でもその響きはどこか優しくて……心にしみてくるんですよ。
今思えば…初めてこの世界に来て玄徳の保護を受けたとき、軽々しく「仕えるな」と厳しく言いつのったのは、やはり優しさなのでしょうね。
この世界の者ではない現代人には…しかも女子にはちょっと厳しい世界だから。
ショックを受けすぎる前にそこから遠ざけたいと思ったのかも…。（良く解釈しすぎ？？）
でもね。
分かりにくいよ！
そんな…抜き身を突きつけるように迫られたら、誰だって腰が抜けるよ…（苦笑）。
とにかく、冷静で勇猛な武将……と言うには、あまりにも必死すぎる雲長なのでした＾＾。

雲長ルートでの見どころの一つは芙蓉姫と雲長のやりとりでしょうか。
とにかく突っかかっていく芙蓉姫と、それを微妙に往なしきれてない雲長がＧＯＯＤですｖｖ
それから―――眼鏡雲長もＧＯＯＤです！
やー、別に眼鏡キャラが好きな訳じゃないんですよ？
ちなみに。
私…動物ネタも大好物なんですが、乗馬練習の時の赤兎…いい味出してます。
なんか顔グラフィック出されて返事してるみたいにブルルル…って嘶きを入れられたら、キャラとして確立できるんじゃないの？って思ってしまう…。

赤壁の戦いの直後、襄陽へと逃げのびる孟徳を捕えんとする雲長と孟徳のやりとりも、シビレます。
「計らずも逃がした二人が立ち塞がる…」の件（くだり）、好きですｖｖ　
決まり文句というか決め台詞というか…カッコいいｖｖ
そしてこの後、花ちゃんの本をネタに取引を仕掛ける孟徳のあざとさが好きですっ！

結局、雲長は槍を納め、孟徳の逃亡を許します。
本は花ちゃんの手に戻り、ひと段落です＾＾。
でも、これ…他のルートでも孟徳・雲長のこのやりとりがあって本を取り返してくれたとなると……雲長、何処まで花ちゃん想いなんだっ（涙）。

そして話は進んで、雲長と２人…過去に飛ばされます。
およそ１０年前の世界…。とにかく冷静に現状把握に努める雲長。そんな彼を「どんな時でも落ちついてる」と評する花ちゃんですがこれには裏がありました。
雲長―――まさか君まで現代人だったとは！！！
というか、それならすごく腑に落ちる。
最初の頃の花ちゃんへの厳しい態度とか、微妙に身の回りの物の呼び方とかを通訳してくれたりとか。
ついでに言うと……本の力ってオソロシイ…。

まさか正しく本を使用できなかった人を、本当の駒としてしまうとは！！
みんな軽い気持ちで本の世界に引き込まれたはずなのに、こんなしっぺ返しが待ってるなんて夢にも思ってないよ？
ていうか、そういう大事なことは、取扱説明書にでも書いててくれなきゃ！
危なくって仕方ないじゃない！！

もうこの後からは…雲長の悲しい運命のお話が重くて辛くて…本当にしんどかった！
本来あるべき「関雲長」と入れ替わる形で駒として生きてきたことを語る雲長―――。
そして、花ちゃんとともに、その定めを変えたはずなのに、やはりその世界では「本物」が消え、雲長が「本物」として認識される現実。
どうあっても―――雲長が、元の「長生」に戻れる事は無い…という事実を突きつけられて。
雲長を助けたいと願う花ちゃんと、もうどうしようもないと全てに背を向ける雲長。
元の世界に戻って、花ちゃんは雲長を救いたくて懸命にその方法を探そうと説得します。
けれど…。

「もう、あきらめたいんだ、俺は」
「断たれるだけの望みなんてもう持ちたくない。叶わない願いなんて―――」
「この世界に来てから、何年経ったと思う。死の苦痛よりも、終わりの無い生の虚しさのほうがつらい」

ついに本音をぶちまけます。
そりゃ、帰りたいよね…。でも、願えば願うほど…そこに手が届かない。
望みをかなえる術がない。
期待して、希望を抱いて…そして結局元の辛い運命の輪の中に戻されるくらいなら、最初から何も望まなければいい―――あきらめていればいい…。
与えられた役割を、駒を、演じていればいい…と。

もう自分に関わるなと言われ、どう接していいか分からなくなる花ちゃん。
雲長と廊下でばったり出会っても沈黙のみが流れます。　そこに師匠が表れて、２人の様子を見、
「雲長殿、あまりうちの子をいじめないでくださいよ」
と発破をかけてくれます(^^)
師匠ーっGJｖｖ
そのまま花ちゃんを連れて行こうとする師匠に、「こちらが先約だから…」と雲長が花ちゃんを呼び戻して師匠と別れます。
雲長？もしや…嫉妬した？　師匠と仲が良い感じが、許せなかった？？（＜ほ～ら、必死だ：笑）

そして再びの乗馬練習の時―――落馬した花ちゃんを庇って下敷きになる雲長。
その時、彼の髪が花ちゃんの服のボタン？に絡まって。
花ちゃんの任せておけず、自分でとろうとして…気付きます。胸のボタンなんだよね（爆）
急遽自分の髪の毛を引きちぎって対処。
ここはお約束でも、ニヤニヤして見てしまいますっ
ラストに向かう前のちょっとした息抜きのような、この得も言われぬニヤニヤ感！
ごちそうさまです♪

この後怒涛の展開があって、ようやく雲長も花ちゃんへの気持ちを認め、また、元の世界に帰る事を望んでくれます。
これならきっと２人で、帰ることができるはず。
玄徳軍の面々に別れのあいさつをしていると、翼徳が別れるのが寂しいと花ちゃんに抱きつきます。
それに対して、本気で殴る雲長って…（爆）
だから……最後までやっぱり必死なの？？？（爆笑）

っていうか。
このシーン見たとき、物語序盤で翼徳が花ちゃんのスカートの中を覗こうとした時、その現場に雲長も居て欲しかった！！！
一体どんな事が起こっていたのか……見物というか、なんというか（苦笑）。
きっとコテンパン（死語）に翼徳を締めたと思いますけどね！

皆と別れて、夕日に包まれて２人で現代に帰るシーン……凄く好きです。
夕暮れ時の心もとない淋しさと、心細さが、何とも言えず２人の状況を象徴しているようです。
共に手を携えて。
現代に戻っても、又出会うことを、思い続けることを約束する２人。

「どこにいても、どれだけ離れていようとも、お前だけを想い続ける」
「この想いだけは、いつまでもお前と共に在る」
「お前を……愛している」

！！……愛してるって言ってくれたの…雲長が初めてじゃない？？
ただの「好きです」告白じゃないんだ！
初恋がテーマの全年齢ゲームで、ここまで言わせるかぁ(^O^)
いや、でも、雲長にとってはそれほどまでに大きな存在だったものね＞花ちゃんは。
そして―――現代へ＾＾。
良かったよ～～、無事に帰れて！！
これからどんどん幸せになってね！今までの分も！！
雲長ルート以外では、雲長の気持ちを思うと凄く切なくなるの……。だから、もう絶対幸せになって欲しいんだ！！
花ちゃん、幸せにしてあげてね！！

ふぅ…このルートでの最萌スチルは～やはり…「落馬した花ちゃんを庇って下敷きになる雲長」でしょうね！

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あれはあれでいい♪

三国恋戦記は、雲長ルート終わりました＾＾。
が、感想は明日になりますm(__)m

別件で一言。

ラストエスコート　クラブカッツェ　がＷＥＢコンテンツで漫画になってます！！
（今日？２話目が更新されてました！）

ゲームの作画を担当された方が描いてらっしゃいます。
微妙～に展開やキャラが違うんですけど、とにかく面白いです！
これはアリだなぁ～って思いながら読みました＾＾。
（柊店長なんて、ここでもやっぱりエロいし！！（爆））

ＵＲＬの直リンクはまずいかも…と思ったので、行き方だけ…。
ラスエス３ オフィシャルＨＰの「開発者ブログ」経由で、「コミックビーズログ　エアレイド」へ。
または、直接検索サイトで「コミックビーズログ　エアレイド」と入れてもＨＩＴするはずです。
（ありがたいことに、無料で読めますｖｖ）

ラスエス繋がりでおいでいただいたお客様♪
まだご覧になられてなければ、是非見てみて下さい。
……私はここでも柊店長に転がりました～（笑）

井蛙 （孟徳→花）

三国恋戦記ＳＳ　より　孟徳花？です（*^_^*）

孟徳クリア前に書いてたＳＳです。
まだ物語の前半――孟徳軍に囚われてすぐの頃。
ありえないけど、襄陽で過ごした邸の庭にて…？？　…うぅ―――やっぱ、ありえないと思う！（苦笑）


ちょっと今……私自身、盛大に凹むことがあって。
なんていうか…孟徳に側に居て欲しい気分っ（笑）。
そう、こういうときは公瑾じゃなくて孟徳だと思う。勿論師匠でもダメ。
例え自分をダメにするって分かってても、甘やかされたい時ってあるじゃないですか？
そんな感じ…って、何言ってんでしょうね。

それでは…ちょっと微妙な感じですが、お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m

「花ちゃん？」
彼女に会いたくて孟徳はその部屋を訪れたのに、彼女の姿が無いのに首をかしげる。
「―――彼女は何処へ行った？」
侍女の１人に尋ねると、半刻程前に散歩に出ると言って出て行ったと言う…。
「……散歩…ねぇ？」
散歩にしては…不在が長い気がする。
そう思いながら彼女の部屋を出て廊下をわたり、庭に下りようとした所で元譲とでくわした。

「何処へ行く孟徳…先ほど届けた書簡はもう処理したのか」
「悪いね元譲、書簡よりも彼女だ…。散歩に出て戻らない。迷子になってるかも知れないから、探してくる」
「待て！！お前が行かずとも」
「彼女が心配で仕事にならない。…じゃ、後は任せた」
ひらひらと手をふって、孟徳は庭に下りて行ってしまった。
「――――慣れない土地なのはお前も一緒だろう。……ったく！おい、誰かいないか！」
ムとした表情を隠そうともせず、元譲は衛兵を呼びつけた。

空にはぼんやりと月が昇っていた。
その月明かりを頼りに、手入れが行き届いてるはずの庭の奥の奥へと突き進み。
そして…草が伸び放題になっている一帯にぶち当たった。
「……見るからに怪しい…」
呆れて肩をすくめながら、孟徳はその草むらに踏み込んでいく。
「っと、太守の居城の一部が……こんなに荒れてていいの？？」
面倒になって、長剣で草を薙ぎ払いながら足を進めていると、キラリと光る何かに気付いた。
傍まで近寄り手に取ると、桃色の小さな物体…。

「コレ…あの子の…！花ちゃん！！花ちゃん！？いるのかい！？」
辺りを見回して大声を上げる。
「孟徳さん！？」
「！花ちゃん！！…ドコ！？」
「下です！！」
どこからともなく聞こえてきた声に指摘されて足元に目を遣ると、少し先の草むらの中にポッカリと大きく口を開けた古井戸の跡があった。
覗き込むと目当ての少女の姿がある。

「花ちゃん！いま行くから！」
「え！？待って下さい、孟徳さん！」
止めるのも聞かず、孟徳は古井戸の中に飛び込んだ。
「花ちゃん！良かった…！心配したよ、大丈夫！？ケガしてない！？」
下りてみれば分かるが、中には枯草やら落ち葉が程良く堆積していてかなりフカフカしていた。
これなら、多少変な落ち方をしても大丈夫なように思える。
「私は大丈夫です、でも…孟徳さんまでこんな所に来ちゃったら―――ここ、登れないですよ？」
心配半分、呆れ半分といった少女の声に、孟徳はためらいなく腕を伸ばし彼女の細い体を抱きしめた。

「も、孟徳さん！？」
突然のことに彼女が体を強張らせたのを感じたけれど、孟徳は腕の力を緩める気にはならなかった。
「だって―――怖かったでしょ？心細かったでしょ？？…そう思ったら、側についてあげたくなった。大丈夫だよって…ちゃんと触れて伝えてあげたくなった。…確かに、中からここを這いあがるのは無理だけど、俺の不在を許す奴はいないからね。みんな血眼になって探し回るに決まってる。それなら君の心細さを取り払ってあげる方が先決だと思ったんだ…」

そんなふうに頭の上から響いてくる温かい言葉に少女は涙が溢れそうになった…。
確かに怖かった。
心細かった。
このまま誰にも見つけてもらえなかったらと思うと…不安だった。
抱きしめられてその温もりに心が溶けだしたような気がしたのも、事実だった。
「………っ…でも……だって、孟徳さんは……みなさんの大事な人なのに…。私の為に、こんな……ダメです」
「…俺が俺の大事な人の為に、懸命になっちゃダメなの…？」
「そ…それは……でも…」

腕を解いて、彼女の両頬を手で包み込んで…孟徳はその顔を覗き込む。
淡い月光の下でも、彼女の瞳が潤んでいるのは見てとれた。
良かった…迷わずここへ下りてきて正解だった…。
「君にこんな表情（かお）―――させたくないよ……。一緒に側にいさせてよ、ね？元譲には言ってきたから…すぐにあいつが見つけてくれるよ」
少女の気持ちを解きほぐすように努めて優しく囁いて。
「ごめんなさい…ご迷惑、おかけして…」

気が緩んで涙声になりながらの健気なその言葉に、どうしようもなく心が揺さぶられる。
もっと甘えてしまえばいいのに…それをしない彼女に対してまた興味が増す。
「なに言ってるの？こうして君と２人きりになれたんだから……役得、役得♪」
けれど今は、明るく笑い飛ばす方が上策なのかも知れない。
笑いながらそう言うと少女は漸く少しだけ微笑んでくれた。

「…役得ついでにさ…」
孟徳は少女の肩を抱き寄せた。
「こうしていようよ…ほら、温かいでしょ…」
たしかに触れ合う肩や腕は、お互いの体温で温めあう事になる。
少し緊張しながらも少女が小さくうなずいたから…そのまま２人で井戸の壁にもたれて、並んで腰をおろした。

「―――あ、お月さま…綺麗ですね」
視線を上げると、井戸の丸い形の空の真ん中に月が見えていた。
その月に向かって少女は子供のように手をのばす。
「うん…あぁ…すごいな、コレってそのまんま井蛙なんだ…」
孟徳が感心したように洩らすと、少女は聞きなれないその言葉に首をかしげた。

「せいあ…？」
「ん……井の中の蛙…だよ。ここから見える、あの丸い空しか知らないんだ……あの空が世界のすべてだった…」
「聞いたことあります」
「へぇ？」
「でも………孟徳さんは、そうじゃないですよね？」
「ん？」
「…空の広さも、山の高さも、川の大きさも…知ってるじゃないですか？このちっぽけな空だけを知るような…視野が狭いと言うよりは、むしろより多くの事を知っていて…それで」
「あはは…そーだねぇ、でも」
少女の言いたいことを遮って孟徳は口を挟みそれから、少女の頬に触れ髪を掻きあげる。

「君のことは何も知らないよ？―――女の子の事なら分かるつもりなんだけど……君がどうしたら俺に心を寄せてくれるのかは、分からないんだ……困っちゃうね？」
「えぇ……と…」
「…もっと、君に触れたいな………。触れていい？」
「え！？」
そうしてゆっくりと彼女の唇を目指して顔を寄せて…。
「ッ……も、」
息をのむ少女の反応と…声と…そして―――。

「もーとくーっ、もーとくーっ！！」

野太い声がして、武具の鳴る音と草を踏み分ける音が近づいてくる。
「孟徳…！！」
「うるっさい！！」
少女を腕に抱え込んで、いいことろを邪魔された孟徳は地中から一喝した。
その声に、古井戸の中を覗き込んだ元譲が少しばかり安堵の表情を見せ、用意していた梯子をおろさせて２人はようやく地上に帰ることができた。

「あの…ご迷惑をおかけしてすみませんでした」
少女は目の前で渋い表情の元譲に頭を下げる。
「いや…その……大丈夫だったか？…色々と」
「え？」
「あいつと２人で………あんな場所では…まぁ、その…」
「聞こえてるぞ！元譲！」
古井戸を埋める指示を出していた孟徳からの声を背中にうけ、元譲は身を縮める。
「くす…心配いただいてありがとうございます。でも…大丈夫でしたよ？………孟徳さんは、私がよくわからないんですって♪」
言葉の後半をこそっと小声で囁いて、少女はにっこり笑う。

「あ”ー…まぁ…そう、だろうな…」
なんだかぎくしゃくと答えながら、その気持ちが分からなくはないなと元譲もまた、思ったのだった。
 
　－終－

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泣かせてやったぜ！！

三国恋戦記　＞　孟徳　攻略しました……

嗚呼…もう、なんか……辛かった！
甘いのに、めちゃ甘やかしてくれるのに、すごく辛かった。
なんでなんだろう？
どっちも相手を好きなのに、お互いに気持ちが伝わらなくてすごくすごく苦しかった…
甘いが故に苦しさ倍増！！(>_<)
あ、最後はちゃんと幸せになれたんですけど、その前が私にはず～んと重くて……。

とりあえず、感想行きましょうか。
ネタバレしてますのでご注意くださいませm(__)m
　

ネタバレしてます！　反転でお願いします。


※今回かなり破綻した文章の予感がします…ご容赦下さいませm(__)m
　　なんか…色々好きすぎてダメみたいです…（苦笑）



見た目はちゃらい天才…孟徳です（笑）
三国志では私の敵でした！
大っ嫌いな人でしたよ！！<(｀^´)>

雪崩のような勢いで全てを飲み込んでいくようで…。
そこから逃げ出すのは到底無理なんじゃないかというほど圧倒的な武力。
覇道を進むにふさわしい知力と武勇を併せ持つ人。
そんなイメージ。
でも…。
落されましたよ～～(>_<)
花ちゃんも大好きな、あの笑顔に！！
正直あれは反則だと思いました！


花ちゃんを大事に思ってて、手放したくなくて、どうしようどうしようっていつも考えてるくせに。
それ以外の所では鬼のようにきっちり仕事して、戦して。
何が恐いって、この人の判断に隙が無いこと！
それから花ちゃんの事なら全部掌中で転がしてしまえる余裕があること！

だけど逆にそれが、花ちゃんからしたら「孟徳さんって分かんない…」って思われる原因で（泣）。
そりゃ確かに。
本の力があっても無くても、まず大の男が女子高生に初対面から好意的って…（笑）
しかも、それが「女の子免疫ゼロ」だった人からじゃなくて、寧ろこの世の花は全て手に入れてきたような人だから！！（爆）
（や、多分、望めば手に入ったはず…）

信じられないよね？好きって言われても。
そのうえ花ちゃんは恋愛初心者。
恋の機微は分かりませんし、分かったとしても孟徳のはきっと読めないよ…（苦笑）
多分、好きだよ、っていうのと、眠たい…っていうのは同じ語感で言ってると思う。
当たり前のように…普通は当り前に使わない言葉を使うから、冗談かと思われるんだよ…。

長坂橋で孟徳軍に囚われた最初からラストまでずっと…通じ合うことがない2人の気持ちが辛かった…。
特に終盤の…本が焼けて帰る方法が無くなった花ちゃんに対して、余裕を無くした孟徳の行動が…（涙）

この人ね…あの手酷い裏切りに遭ってからはきっと、人に対して自分を信じてもらうことも期待してないんだろうと思います。
自分も当然相手を信用していないから、自分を信じてもらう必要が無いんだよ…きっと。
それを意識していたかは別にして。
誰が裏切っても…もしかしたら誰もが裏切って当然とすら思っていたかも知れないけれど。
だから、自分の本当の気持ちとか考えとか…そういうものを示して自分を信じてついてきて欲しいという気持ちも無くしてしまっていたのかも。
けどそれも―――花ちゃんに対してだけは別だった…のかな？

本が燃えてしまった火事について聞いたとき。
いつになく花ちゃんをそして自分を追い込む孟徳の姿が痛々しかった！！

「……同じようにしてしまえればいいなあと思っていたのは、事実だよ」
「そうすれば、帰れなくなるだろ？」
「手放したくないって思ってたんだ。もうずっと」

「一番初めに本を奪ったのから全て、君を俺のそばに留めるためだったとは考えなかった？」

本があるから、花ちゃんは帰ってしまう。
いつか目の前からいなくなってしまう。
それが恐くて、それがイヤで……そうしないで済む方法をずっと考えていた―――。
そう告げる孟徳の言葉は、花ちゃんにとっては「本を焼いたのは自分です」と同じ意味に聞こえてしまって。
それに奴め…最終的には本を隠しちゃおうかと思ってた…くらい普通に言いそうで！
それじゃ鶴の恩返しじゃなくて、羽衣の方が題材としてふさわしいですけど！
とにかく。
これでもう花ちゃんの気持ちはぐちゃぐちゃになってしまって。
どんどんすれ違って行くんです(>_<)

孟徳は孟徳で花ちゃんを大事にしたい、危険な目に遭わせたくないって思いつめていて。
　※2人の間に入る元譲が可哀そうですっ（泣）
それなのに、ちゃんと説明せずに別の屋敷に移して監視まで置いちゃうから花ちゃんも誤解するんだよ。
何が危険で、どうしてこういうことをしているのか。
そうすれば―――孟徳の傍に自分が居ることがふさわしくない…なんて口車にのせられることもなかったのに。

けれどね。
恋する女の子はやっぱり強い！
孟徳の事が信じられなくて、疑って、孟徳に信じてもらえないことが辛くて、辛いから逃げ出したくて。
甘言にのせられてそうしようと思ったのに―――でも、最後の最後、土壇場で気づいた。
好きだから、孟徳を信じたい。
好きだから、孟徳に信じて欲しい。
自分が孟徳を信じられなかった事、疑ってしまった事もまた孟徳を傷つけていたと…。

孟徳の部屋で。
眠り薬を混ぜた水を飲ませようとして、でも、怪しい人影が目に入り暗殺計画に気付いた花ちゃんは、逆に薬を自分で飲み、刺客が標的を間違えるように誘導します。
そして―――狙い通り、自身で刺客の刃を受けます。
斃れた花ちゃんからの…決死の告白…。

「不安になって、疑ったりしてごめんなさい…」
「（信用されたいって思いながら、信用してなかったのは私も同じだ）」
「疑った、けど、結局は信じたくて―――」

「（信じ合うって、きっと信じたいと思いあうってことだ）」
「（孟徳さんは信じたいって思ってくれてた。それなら、ずっと一緒にいられるかな―――）」

（泣）健気だ！！
可愛すぎるよ、花ちゃん！
一生懸命、孟徳を好きでいる覚悟をしたんだよね！

ここで画面がホワイトアウトして、現代に戻ってしまいます。
え！？まさかのＢＡＤ　ＥＮＤ！？とおもいきや。
図書館には例の本があって。
でもそのまま開いたら、またいきなりあっちの世界に飛んでしまうから、（花ちゃん冷静だ！！）いったん家に帰って、お母さんに言います。

「すごく、好きな人ができたの。その人といたいの」
「全然私の事なんか信用してくれなくて、疑り深くて、何でもできて、何でも持っていて」
「でも、そばにいてあげたい」
「（私は…孟徳さんのそばにいたい）」

そして再び―――孟徳の元へ…。
眠る花ちゃんの手を握り、その目覚めを待つ孟徳…。
ようやく目を覚ました彼女へ…告白。

「俺も君が好きだ」
「お願いだから信じさせて。裏切らないで…」

ある意味何かを乗り越えたような孟徳の言葉に拍手！！
本当に良かったよ、気持ちが通じ合えて＾＾。
もう本当に…ずっと苦しかったから。
信じたいのに信じられなくて。
他愛ない言葉に心がざわついて、向けられた言葉の裏ばかりを読んでしまって。

お互いに傷ついたけど、ようやく心を繋ぐことが出来たから…もう大丈夫だよね？
もう繋いだ手のぬくもりを、信じることが出来るよね？
あの夜、傷ついた花ちゃんを抱き起こし孟徳が見せた涙を―――信じることができるよね？
あんな顔、もうさせちゃ駄目だよ…お互いに(^^♪
あとはホラ、もう幸せになるだけだからっ！
はぁ～～～っ(>_<)、良かったよ…幸せの道筋が見えて！ヽ(^o^)丿


孟徳ルートでの萌スチルは、素敵なのが多くて1つには決められないですが。
うん、「新野から逃げる民間人の荷に火を放ちそれを眺める孟徳」と…「本が焼けて泣いている花ちゃんを抱きしめる孟徳」…かな？
前者はとにかく孟徳の横顔のアップが素晴らしくて！！！
もうひとつの方は…孟徳の腕の中にすっぽり収まってる花ちゃんが可愛くて好き♪

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