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いらっしゃいませ! このブログでは、カヌチ二次創作(緋色の欠片、ウィル・オ・ウィスプ、ラスエス3他)、乙女ゲームの感想など、管理人ベルルの暴走気味の妄想をつらつらと書き綴っております。現在「三国恋戦記」絶賛応援中です!!     -since 2009.7.25-
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バレンタインSS  ウィスプから、ジルハンナ 第2弾です~(^^ゞ

まぁ、第2弾と言うよりも、昨日の続き…その後のお話ですね^^。

ジルもルディと同様に、私の中では色々と黒い感じがあったりするんです。
ん?黒い…というより、なんだろう?
全部計算尽くというか、罠みたいなものを張り巡らしてソコにしか辿り着けないようにするというか……まぁ、ある意味とっても深い人なのですが。
だからこそ。
彼にも少しくらいはあたふたして欲しいな~…なんて(^^ゞ。
上手くいったのかは分かりませんが、そんな感じを目指して書きました^^。

それでは、お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m




2月15日(Mon) -晴れところにより天気雨-


ほんの些細なタイミングで、ソレはハンナの目にとまった。
首筋に残る紅い痕―――。
一瞬で目が釘付けになり、そして信じられない思いでその人を見上げる。
真紅の髪の、黄金色の瞳の、彼女の優しい恋人を―――。

「…………ジル……」
「?ハンナ…?どうし…」
テーブルにティセットを並べながら、彼はいつも通り優しい笑みを少女に向ける。
が、一瞬でその表情は強張り、
「!?ひめ…?…どうしたの…!?」
ハンナの大きな菫色の瞳から、見る見るうちに涙があふれて大きな粒となってぽろぽろとこぼれだす。
その様子には流石のジルも驚いてしまって。

「……ジル………どい…」
「え!?」
「…ひどい………ど…して…?」
嗚咽の合間に漏れるのは、自分を責める言葉…。
けれど何故そんなことを言われるのか、ジルには見当がつかない。

「姫?…わたしは君に何か不都合な事をしただろうか?もしもそうなら謝る…けれど、君が涙をこぼす…その理由を教えてくれないか?」
宥めるように彼女の肩を抱き寄せようとしたら、その手を拒むように身を退かれ…。
初めての経験に、ジルは戸惑いを隠せない。

「…ハンナ…?」
―――こんなにも泣かせるような事をしただろうか?
しかも触れようとした手を拒まれるなんて……。
「ハンナ…お願いだ。―――わたしを見て?…理由を教えてくれないか?」

ハンナの前に跪き、彼女の顔を仰ぎ見る。
可哀そうなほどに零れおちる涙……。
それを拭ってやりたいのに……手を伸ばせば拒まれる…。
こんなもどかしい思いをしたのは、人の身になって初めてだ。
心に重みを抱えながら、ジルは尚も少女に懇願する。

「ねぇ、わたしの姫?……泣いていては分からないよ……わたしは君に、どう償えば許してもらえるのだろうか―――?」
「っ…………き…」
「『き』?」

「―――『キスマーク』…!!……ど…して……そんな…!」

泣いている為か、恥じらいからか…。
真っ赤になって言葉を紡ぐハンナへ、ジルは一瞬目を見開いてから―――破顔した。
「!ひどい…!…そんな……わ、笑うことなの!?」
明らかに傷ついた表情をして見せる少女へ、ジルはすぐに表情を改めて謝罪した。

「すまない………まさか、コレが見つかるとは思わなくて。…服で隠れていると思ったんだが」
「し、知らなければ…済む問題なの!?」
「いいや…けれどね、ハンナ。……コレは君がわたしにつけてくれたものだよ?わたしと君を繋ぐ鎖として―――ね?」
「え!?」

ジルの言葉に驚いて顔をあげたハンナの頬が、さらに赤く染まる。
シャツのボタンをはずし襟を開けたそこにある紅い痕にハンナの目は再び奪われて。
そしてジルの言葉に一瞬記憶を手繰るような表情をしたけれど…。
「うそ……私…そんな!」
しかしそこから目をそらすと大仰に首を振って否定した。
その彼女の言葉をジルはさらに否定する。

「嘘ではないよ。…ゆうべ、あのボンボン菓子を食べて後の記憶が、君には無いのだろう?実はあの時、酔って大胆に変身した君が…私に誓いの鎖を与えてくれた――――この身は永遠に君のものだ…とね?」
「…だって……だって…そんな…」
「わたしにとっては甘美な鎖だ……。さぁ、もう1度、あの心をかき乱す程に甘く激しい口接けを落としてくれないか?……そして願わくば……もうわたしの手を拒んだりしないで…」

彼女が戸惑うことなど承知の上で、ジルは手を伸ばしハンナの肩を抱きよせると己の腕の中に抱きいれ、さぁ…と少し身を屈めて彼女の眼前に昨日のハプニングの痕跡を突き付けた。
その行為に……少女はさらに頬を上気させ、再び泣きださんばかりの表情でジルを見上げる。
その愛らしい…そして嗜虐心をあおるような表情に、さらに虐めたい衝動に駆られながらも…。

「ジル―――――もう…許して……?」

蚊の鳴くような、小さな頼りない声でハンナは言い……それはジルに彼女を虐めすぎたことを悟らせる。
「どうやら……意地悪が過ぎてしまったようだ…。……わたしの姫…もう泣かないで…?」
彼の大きな手が少女の頬をそっと包み込むと、安心したのか瞳いっぱいにたまっていた涙が一粒零れて彼の手をぬらした。

「……ジル……」
小さくすすり泣く彼女の額にジルはそぅっと自分の額を合わせて、
「では……わたしからも一つ君に願いがある……」
「…………なぁに…?」
「昨日―――君が私の為に用意してくれていただろうモノを、どうか…この手に…」
そう言ってハンナの目の前に手を差し出す。
「/// で、でも……14日はもう、過ぎてしまったわ…」

「君の気持がこもった贈り物ならば……贈られるのが14日でも15日でも、わたしにとっては同じだけの意味がある……だから…どうか」
ジルの懇願に、ハンナはそっと視線を上げて。
額を併せたまま2人はじっと見つめあう―――。

「……ええ…そうね。昨日だけが特別に、貴方への想いをこめる日ではないわ………いつだって――――私は貴方が大好きなんだもの…」 
それこそが……彼の望む想いの形だと―――。
知ってか知らずかそう言ってはにかむ少女へジルは満足そうに微笑んで。
優しい口接けを落とすと彼女を抱きしめた――――。
 
 
THE FIN

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