一度は書きたかったカトライア名物のバラネタです。
マティアス・アルフレート・クラウスではこのバラが良い具合に活用されていたのに、大本命(??)のルシアルートではかなりあっさりとした扱いだったので…(^^ゞ。
どうやって相手の手に届くか…ということにちょっとだけ捻りを加えてみました。
けど、この2人。
ケンカしたら絶対ルシアの方から謝ってくる気がする…。
元々おしゃべりなキャラですからね。
きっと、『沈黙』は彼にとってこの上ない苦痛でしょう^^。
私はずーっと喋らないままでも全然大丈夫ですけどね!(笑)
それでは。
お楽しみ頂けましたら幸いですm(__)m
早く…早く…。
逸る気持ちを抑えながらティアナはカトライアの街中を走りぬける。
昨夜のちょっとしたケンカの所為で、今朝はルシアと口を利かなかった。
ルシアも今朝は朝食にほとんど手をつけず、ローゼレット城へ出かけてしまった。
いつもならペロリと平らげてお替りまでしていくのに…。
微妙に―――2人の間の歯車が狂っている…。
こんなちょっとしたケンカ……よくあることだろうけど、やっぱり落ち着かない。
ルシアの笑顔がないと、色んな事が色あせて見える…色んな音が遠くに聞こえる。
ルシアが居ないと、こんなにも世界は面白味を失ってしまう…。
そんな簡単なこと、今まで全然気付かなかった。
「…ルシア、…待ってて……」
いつもとびきりの笑顔をくれる。
口は悪いけど好きという気持ちをいつも音楽に乗せて届けてくれる。
ちょっとだけ意地を張った分、今スゴク後悔してるから。
だから。
その想いを少しでも伝えたい。
いつも貴方の事を想っているから…。
「―――――あのさ、ルシア」
「なんだよ…」
「その仏頂面、何とかしてくれないと、オレ…仕事に身が入らないよ~」
「オレはいつもこーいう顔してるの!」
「あーもうっ、景気が悪くなるから! 仲直りするまでは出入り禁止!!ほら、出てって、出てって!」
クルトに背を押されてルシアは執務室から追い出される。
「朝一番に手に入れたアレ…謝りがてら渡してきたら??」
クルトのその一言に、ルシアの顔色が変わる。
「!!っな、んで…お前が」
「クラウスがね、溜息つきながら城までやってくるルシアを見たって言ってたよ♪ ほんと、ルシアって素直じゃないよね…」
「う、うるさい!」
「あ、怒った顔がアヒルさんだ~♪」
「クルト!!」
噛みつかんばかりにがなったら、鼻先で扉がバタンと閉められた。
ムとした表情から一転、ルシアの表情はさっきまでの景気の悪いものになったのだが。
「……ま、情けないよな…オレも…」
そう呟くと、ルシアは城を飛び出していた。
だって、だって―――正直恐いんだ。
大好きだって、いつも伝えてる。
音に乗せて、言葉にして。
でも―――お前は?
自信がないんだよ…ていうか、もしも…何の変化も無かったら、落ち込むなんてレベルじゃないんだよ。
オレは―――今もこんなに情けないヤツで…!
けれど、お前を好きなこの気持ちはホンモノだから!!
ほんの少しの勇気があれば、ケンカになんてならなかったから。
だから―――謝って、届けたいんだ。
ほら、あの角を曲がって…大通りを抜けたらすぐ家なんだから…!
勢いよく街角を曲がろうとして…。
ドン!
「うわぁ!?」
「キャ!!」
誰かとぶつかって、尻もちをついた。
「ご、ごめん! 大丈夫か!?…ぁ!」
「こちらこそ、急いでたから…!」
顔をあげ、お互いぶつかった相手に謝ったところで一瞬止まる。
「…ティアナ」
「ルシア…」
乱れた息を整えながら…発すべき言葉を探す。
昨夜からの些細なケンカで今朝もずっと微妙な空気だったけれど。
「「…ごめんなさいっ!!」」
2人声をそろえて同時に頭を下げて―――それから、顔を見合わせて噴き出した。
「なんだよ、オレが悪いって言ってんのに」
「違うよ、私が悪いんだもん」
「………ま、もぅいいか!」
「うん!」
どっちが悪いというよりも、仲直りをしようと息を切らしながら相手を求めて走ってきた事実が―――嬉しいから。
「なんか…やっぱ変なんだよな。 お前と口を利かないと……調子狂うっていうかさ…」
「うん、私も。 ルシアのおしゃべりが無くてすごく寂しかった」
少しだけ照れたように笑い、お互いの手元に目を止める。
「ルシア…それ」
「ティアナこそ…」
ぶつかった拍子に手から離れてしまったけれど、お互いの手のすぐそばにはあのバラの蕾…。
渡された相手と想いが通じていれば花が開くと言うカトライア名物の…。
「同じ事……考えてたね…」
「そーだな…」
「いいの? ヤだったんじゃないの?」
「お前こそ……あのバラを 『贈られ』 たかったんじゃないのか?」
「うん、でも貰ってばかりじゃ不公平だから。 今度は私が贈ろうと思って…」
「オレだって、これが咲くところを見たいと思って…」
「…………」
「…………」
それから再び視線を合わせる。
そこに宿る喜びと信頼と想いを、ただ伝えたいと思ったから。
「…じゃあお互いに…交換だな」
「うんvv」
そう言って手元のバラの蕾を手にとったら…。
「「!!!」」
固く閉じられていた蕾が―――大きく花開いて…。
ルシアの手にもティアナの手にも、大きな一輪のバラが咲いていた。
「なんで…さっきまで、蕾だったのに」
「!!ね、ルシア、もしかして…!」
ティアナの声にルシアも顔を上げて。
「ぶつかった拍子に、お互いの手元から相手の方へ飛んだのか!」
「きっと…そうだよ…」
見事に咲いた手の中のバラはお互いの想いが相手に通じていることを証明している。
「/// な、なんか…さ」
「/// うん?」
「顔、まっかだぞ、ティアナ」
「ルシアこそ…」
「だってさ」
「照れる…よね」
肩をすくめて…けれど顔を真っ赤にしたまま、2人そろって締まりのない笑みをこぼして手元のバラを見つめる。
「なんだよ、欲しいって言ったのはお前じゃないか…」
「でも、渡そうと思った蕾が開いちゃったら、びっくりするよ。……嬉しいけど恥ずかしいよ…」
「ま―――アレだ、不意打ちは…結構照れるっつーか…」
「…うん…」
けれど2人の顔には幸せな笑みが浮かんでいて。
「―――帰るか…」
「うん」
ようやく立ち上がり、家への帰路へ足を向ける。
「ねぇ、ルシア…。 いつか又―――このバラを贈ってくれる?」
「え”ーー?」
「お願い…」
両手を合わせて上目遣いのお願いポーズをされ、ルシアは頭を掻きながら、
「……しょーがねぇなぁ…」
渋々と言った体で頷く。
そんなルシアの腕に抱きついて、ティアナは囁いた。
「大丈夫だよ、これからもずっと―――ルシアから貰うバラは咲き続けるからvv」
THE END
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現在お礼文3件UPしています!
(超小ネタSSSより OZMAFIA1・緋色1・
ブラコン1・2013.8.13.)
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お見苦しいところが多々あると思いますが、よろしくお付き合い下さいませ。
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